ダットサン
'''ダットサン'''(''Datsun'')は、[[日産自動車]]の小型車(乗用車・トラック等)のブランドである。ブランドと同時にトレードマーク([[商標]])でもあり、車名([[車検証]]等に記載)にも使われた。市場によっても使い分けがあり、たとえば日本では「サニー」のペットネームで販売された乗用車も米国市場では「ダットサン」であった。 黎明期以来の日産を代表するブランドであり、特に米国市場ではNissanの何倍もの認知があったにもかかわらず、1981年に日産ブランドへ統一するという方針が定められ(経営陣の社内政治的事情によるものと言われている)、それ以降順次新型車からブランド名が外されて消滅した。 型式(かたしき)では、十の位が「1」の[[乗用車]]と、「2」の[[商用車]]が相当する。排気量が大きい[[日産・フェアレディZ#初代(S30系 1969-1978年)|初代フェアレディZ]]のみ、中型乗用車用の「3」が与えられている。 2012年3月20日、[[CEO]]の[[カルロス・ゴーン]]によって[[新興国|新興]]市場向けの低価格ブランドとしてダットサンの復活が発表され、併せて新しいロゴも公開された。2014年から[[ダットサン・GO|GO]]を最初の車種として[[インドネシア]]、[[インド]]、[[ロシア]]で製造・販売を開始する計画である<ref>“[http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120320-OYT1T00535.htm 日産「ダットサン」復活、新興国向け低価格車で]”. 読売新聞 (2012年3月20日). 2012年3月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年3月20日閲覧。</ref><ref>“[http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTJE82J00C20120320 日産自が「ダットサン」ブランドを復活、新興国市場に投入へ]”. ロイター (2012年3月20日). 2012年3月20日閲覧。</ref><ref>“[http://www.carscoops.com/2012/03/carlos-ghosn-officially-confirms.html Carlos Ghosn Officially Confirms Rebirth of Datsun Brand in 2014, Reveals New Logo]”. Carscoops (2012年3月20日). 2012年3月20日閲覧。</ref>。なお、[[中華人民共和国|中国]]市場に関してはすでに現地[[合弁事業|合弁]]の「[[東風汽車有限公司]]」が独自の低価格ブランド「ヴェヌーシア」を展開している。 == 概要 == 日産自動車では、かつて、「車といえばダットサン」、「一家に一台ダットサン」などと[[宣伝]]していたこともあり、[[日本車|国産]][[大衆車]]の[[代名詞]]的存在であったが、1981年に当時社長の[[石原俊]]の方針により、「DATSUN」ブランドが順次廃止されることとなった。移行過渡期の[[輸出]]向け車には、「DATSUN by NISSAN」のエンブレムが見られる。 「NISSAN」ブランドへの統一以降は、日産車の「車名」として唯一存在していた[[日産・ダットサントラック|ダットサントラック]]が[[2002年]]の[[自動車排出ガス規制|排ガス規制]]で国内販売を終了し、同型の海外向けも[[日産・フロンティア|フロンティアやナバラ]]へと車名が変わったため、「DATSUN」の名称が一時期途絶えていた。 [[アメリカ合衆国]]では「ダットサン」と発音する人はほとんどおらず、「ダッツン」または「ダツン」("ダ"にアクセントが来る)と呼ばれている。北米でのダットサンの販路を築いた「Mr.K」こと[[片山豊]]は、「僕は販売に際してダッツンなんて言わせなかったし、実際にアメリカ人の発音を聞いてみると、ちゃんとダットサンって発音しているんです。ダッツンって聞こえたのは日本人だけじゃないのかな」とアメリカ人が「ダツン」および「ダッツン」と発音していたことを否定している<ref>別冊宝島327僕らの「名車」物語70年代でいこう!のインタビューより</ref>(ただ、実際にテレビCMで流れた発音は「ダッツン」に近い)<ref> [http://www.youtube.com/watch?v=4vx1iYrZMK0|1982 datsun pick up diesel commercial]</ref>。正確には「デァーツスン」のように発音しているが、この「ツ」と「ス」は、日本語の様に母音でなく、子音で終わっている関係で、日本人には繋がって「ツ」に聞こえることから、「ダッツン」と聞こえるが、日本人がダッツンと言っても、英語圏の人には理解されづらい。 == 沿革 == * [[1924年]] - [[快進社]]、ダット3/4トントラックを[[軍用自動車補助法|軍用保護自動車]]として生産。 * [[1926年]] - [[実用自動車製造]]株式会社と[[快進社]]自動車工場が合併し、[[ダット自動車製造]](本社:大阪)設立。 * [[1931年]] - [[鮎川義介]]がダット自動車の株を肩代わりする。戸畑鋳物株式会社自動車部となる。 * [[1932年]] - '''ダットサン'''のブランドが誕生。吉崎良造がダットサン商会を設立。 * [[1933年]] - 石川島自動車製作所が[[ダット自動車製造]]株式会社を吸収合併して東京自動車工業株式会社に改称(後の[[いすゞ自動車]])。 * [[1933年]] - 旧ダット大阪工場を戸畑鋳物が70万円で購入、'''自動車製造株式会社'''となる。鮎川義介が東京自動車工業株式会社に対し、ダットサンの製造に関する一切の権利を譲渡するよう嘆願し、無償<ref>東京自動車工業の設立は、商工省の意向による''軍用保護自動車''および商工省標準車[[いすゞ・TX#1945年以前のTX|いすゞ]]の生産を主体としたものであり、ダットサンの如く小型車製造はその対象外であった。</ref>でダットサンの製造権を譲り受ける。製造権と図面と技術者を得て、自動車製造が開始される。 * [[1934年]] - '''自動車製造株式会社'''が[[日産自動車]]と改名。「ダットサン」をアジア、中南米などに向けて輸出を開始する。 * [[1981年]] - 輸出ブランド名を「NISSAN」に統一する方針発表。「ダットサン」ブランドの使用を停止。以後、新型車から「NISSAN」ブランドに変更する。 * [[2012年]] - 新興国向けに31年ぶりに「DATSUN」ブランドが復活。 * [[2013年]] - 7月にインドで「[[ダットサン・GO|GO]]」を、9月にインドネシアで「GO+」をそれぞれ発表。 * [[2014年]] - 2月、[[ニューデリーオートエクスポ]]に「redi-GO」コンセプトを出展<ref>“[http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2014/_STORY/140205-01-j.html ダットサン 「redi-GOコンセプト」を発表、将来のデザインの方向性を示唆]”. 日産自動車ニュースリリース (2014年2月5日). 2014年3月6日閲覧。</ref>。 == 車名の由来 == * [[橋本増治郎]]が創業した [[快進社]]自働車工場(のちに[[日産コンツェルン]]に吸収)の支援メンバーである、[[田健治郎]]の「D」、[[青山禄朗]]の「A」、[[竹内明太郎]]の「T」と、それぞれの頭文字を採り、早く走ることのたとえに使われる「脱兎(だっと)」に掛けた、「脱兎号(DAT CAR)」を始祖とする。 :[[1930年]]に、DATの「息子」を意味する「DAT'''SON'''」を商標として掲げたが、日本語読みで「損」を連想させるため、音が同じで[[太陽]]を意味する「DAT'''SUN'''」に改められた。 * 日産自動車が協賛していた映画『[[若大将シリーズ]]』([[加山雄三]]主演)の第11作「ゴー!ゴー!若大将」([[1967年]]、[[東宝]])で、青大将([[田中邦衛]])がマドンナの澄子([[星由里子]])に上記の由来を説明する場面がある。 == ロゴマークの由来 == * 「ダットサン」のエンブレムは、[[吉崎良造]]と[[田中常三郎]]が[[シボレー]]のものにヒントを得て、赤の[[日の丸]]と[[太陽]]をベースに天空をモチーフとしたコバルトブルーを入れ、真ん中に白で横一文字で「DATSUN」と書いた。これは近年ほぼ統一された、丸の前に横長長方形があってそこにNISSANと書かれている日産のエンブレムの原型である(赤丸と青い長方形の組み合わせも2001年まで残っていた)。 * 第2世代(2010年代~)のロゴマークについては、過去のダットサンが持っていた信頼性や力強さなどのDNAをモダンに表現したものであり、メインカラーは「信頼性」を示す青を採用している<ref>“[http://jp.autoblog.com/2012/03/21/datsun-reborn/ 日産が復活させる「ダットサン」は、どんなクルマになるのか!?]”. autoblog (2012年3月21日). 2013年9月27日閲覧。</ref>。 == ダットサンブランドで販売された車種一覧 == * [[ダットサン11型]](1932年) * [[ダットサン・ロードスター]] * [[ダットサン・フェートン]] * [[ダットサン・セダン]] * [[ダットサン・110/210]] * [[ダットサン・フェアレディ|ダットサン・スポーツDC-3]] * [[ダットサン・スリフト]] * [[日産・サニー|ダットサン・サニー]] - B310型まで。B11型からニッサン・サニー。 * ダットサン160J / New 510(日本名:[[日産・バイオレット|バイオレット]]) * [[日産・ブルーバード|ダットサン・ブルーバード]] - 910型まで。U11型からニッサン・ブルーバード。 * [[ダットサン・フェアレディ|ダットサンスポーツ フェアレディ]] * [[日産・フェアレディZ|Datsun 240Z/260Z/280Z]](日本名フェアレディZ) - SP310型まで。以後はニッサン・フェアレディZ。 * ダットサン240K(日本名:[[日産・スカイライン|スカイライン]]) * ダットサン200L/240L/260L/280L/(日本名:[[日産・ローレル|ローレル]]) * ダットサン200C/220C/240C/260C/280C/300C(日本名:[[日産・セドリック|セドリック]]) * ダットサンサニートラック - B120型まで。以後、ニッサン・サニートラック。 * [[日産・ダットサントラック|ダットサントラック]](通称:「'''ダットラ'''」) * [[ダットサン・サニーキャブ/日産・チェリーキャブ|ダットサン・サニーキャブ]] - C20型まで。以降は[[日産・バネット|バネット]]に改称。 * [[ダットサン・キャブライト]]/[[日産・キャブスター|ダットサン・キャブスター]] - A320型まで。以後は[[日産・アトラス|ニッサン・アトラス]]。 その他、海外向け日産車に付けられ多数の車に使われていたが、[[石原俊]]元日産自動車社長の方針による海外向けのブランド名をNISSANブランドに統一する戦略により、DATSUNブランドは消滅する事となった。過渡期の海外向けモデルには DATSUN by NISSAN の表記が見られた。 == 日産ブランドで日産車の車名として販売された車種一覧 == * [[日産・バネット|ダットサンバネット]]/[[日産・ラルゴ|ダットサンバネット ラルゴ]] - C120型まで。 * [[日産・AD|ダットサンADバン]] == 現在、ダットサンブランドで販売される車種一覧 == * [[ダットサン・GO]] * ダットサン・GO+ * [[ダットサン・on-DO]] == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} == 関連項目 == * [[水の江瀧子]] - ダットサンのCMに起用された女優 ; ダットサンを由来とする名称 :* [[我妻栄#エピソード|ダットサン民法(法律書)]] - [[我妻栄|我妻榮]]著の『民法』の通称。「小型でパワフル」という評判から「ダットサン」と呼ばれるようになった。 :* [[ジーン・ドットソン|ジーン・ダットサン]] - 1982年に[[福岡ソフトバンクホークス|南海ホークス]]でプレーした[[外野手]]。正式な姓のスペルは「DOTSON」(ドットソン)だが、ネイティブな発音が似ていたため「ダットサン」を[[登録名]]にした。 :* [[ザ・ダットサンズ|ダットサンズ]] - [[ニュージーランド]]のロックバンド :* [[DATSUN320]] - 日本のロックバンド == 外部リンク == * [http://www.datsun.com/ ダットサン公式サイト] {{en icon}} * [http://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/PROFILE/2007/Profile07_J_46-48.pdf 日産の沿革] * [http://www.mikipress.com/books/2010/03/post-45.html ダットサンの忘れえぬ七人] {{Wikipedia/Ja}} {{DEFAULTSORT:たつとさん}} [[Category:日産自動車]] [[Category:自動車の歴史]]