イスラエルの政治
イスラエルの政治(イスラエルのせいじ、פוליטיקה של ישראל)は、イスラエルの基本法に基づいて行われる。
目次
基本法
イスラエルは議会制民主主義を採用しており、事実上の憲法となる11の基本法を基本としている。議会はクネセトと呼称され、行政府は首相により統率される。
国家元首
国家元首は大統領であり、クネセトが選出する。任期7年で3選は禁止されている。大統領の権限は儀礼的なものであり、国政の実質的権限は抑えられている。
立法
クネセト
原義では集会を意味するクネセトは一院制の議会であり、任期4年の議員120名により構成されている。選挙は全国一区、拘束名簿式比例代表制であり、1958年に制定された基本法により規定されている。クネセトはイスラエルの立法府として法の制定、行政の監視に従事し、大統領および国家監査官を罷免する権限を有している。
イスラエルの議会は、2005年まで概ねリクードと労働党による二大政党制が形成されていたが、カーディーマーが2005年11月に発足し、2006年の総選挙で第1党になった。また、これまでの総選挙においてある一党が過半数の61議席を獲得したことは一度も無い。1948年からイスラエルの政府は常に複数の政党の連立によって成立してきた。2006年の時点では10の政党(政党連合を含む)がクネセトに代表者を有しており、それらの政党により政治的、宗教的なスペクトルが形成されている。
選挙システム
イスラエルの選挙法は基本法 (The Knesset) および1969年成立のクネセト選挙法 (Knesset Elections Law) によって規定されている。
選挙は秘密投票により行われる。議員の任期は4年間であるが、首相の不信任案が可決された場合には議会は解散され総選挙が実施される。有効投票総数の3.25%以上(1992年以前は1%、2003年以前は1.5%、2014年以前は2%)を獲得した政党に対して得票をドント式を用いて議席配分する。投票により政党ごとの名簿順位が変動することはない。1992年には政党法が施行され、認可された政党のみが立候補を許可されている。選挙区は全国区の一つのみであり、すべての有権者は同一の立候補リストに記載されている政党を選ぶ。選挙権は18歳以上の男女、被選挙権は21歳以上の男女に与えられており、諸外国に比べると選挙権・被選挙権ともに年齢制限が低い。投票所は規定されておらず、国内のどの投票所も利用することができる。不在者投票は外交官および商船の乗組員にのみ認められる。
以上のような選挙制度はイギリスによるパレスチナ委任統治期にユダヤ人植民組織であるYishuvにおいて規定されていたものに由来している。この制度においては一つの政党が単独過半数を獲得することが困難であり、小党分立を招きやすい傾向にあり、政府は複数政党の連立により運営される。大統領は最も与党を形成するであろうと見られる政党の党首を首相に指名する。総選挙後の45日間で首相は閣僚を選任し政府を発足させる。
1996年5月の選挙制度改革で首相は国民による直接選挙により決定されることになったが、この制度は2001年に撤廃された。(首相公選制#イスラエルの例も参照)
行政
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司法
司法府は行政より独立しており、安全保障、宗教に関する判断も下す。
裁判所
イスラエルの司法は三審制を採用している。
- 下級判事裁判所
- 地方裁判所
- 最高裁判所
1985年12月にイスラエル政府は、イスラエル司法が国際司法裁判所の判決に従わないことを発表した。
政党
第18回イスラエル議会総選挙も参照。
その他の政治組織
イスラエルの政治組織は一般にパレスチナ問題への対応を巡って右派から左派に分類される。
右派
- Gush Emunim ヨルダン川西岸へのユダヤ人の入植に積極的に賛成する。以前はガザ地区での植民にも賛同していた。これらの地域における植民者の強制排除には反対する。
- Yesha Council (Yeshaはヘブライ語で"ユダヤ、サマリア、ガザ"の頭文字) 帰属係争地区における植民者の代表よりなる。高い組織力を有しており、政治的影響力が強い。
- Almagor テロ被害者による組織
- Professors for a Strong Israel
左派
- Israeli "Peace Camp" イスラエル政府の占領地全面返還を含めた"land for peace"プログラムによる和平を提唱している。
- Peace Now ヨルダン川西岸の割譲に賛同し、レバノン内戦における政府の行動を批判、レバノン南部の占領にも反対している。
- Geneva InitiativeおよびThe People's Voice (HaMifkad HaLeumi) 2004年にイスラエル、パレスチナ双方の著名人により提唱された。非公式、双方向的な恒久和平のモデルを提示する。イスラエルにおける支持はすくない。
- Histadrut ("the Union"の意、イスラエル同聾者連盟) 労働者組合の連合組織。労働党と協力関係にある。前の議長であるアミル・ペレスは2005年12月現在労働党党首を務める。
- いくつかの政治組織が兵士にヨルダン川西岸およびガザ地区での兵役拒否を訴えている。HaOmetz LeSarev ("拒否する勇気")、Yesh Gvulなどがその代表。世論の支持は少ない。
- トロツキスト政党「マーヴァク」。1999年結党。パレスチナ連帯、反資本主義を掲げる。世論の支持は現状では少ない。
利益団体
- キブツ・ロビー 補助金の増額などを求める。
- 農業団体 水利用への補助金、免減税を求める。
- フェミニスト・ロビー 女性の地位向上を求める。
- Or Yarok ("緑の光") 交通事故を減らすために政府の取り組みを求める。
その他
- シャスおよびUnited Torah Judaismには特定のラビが強い影響を与えているとの指摘がある。
- ナートーレー=カルター 超正統派の分派で選挙をボイコットしている。政治的影響力は小さい。
- the Monitor Committee of Israeli Arabs アラブ系イスラエル人を代表する。分離主義的な主張を行っているため、多数派ユダヤ人からは敵視されることが多い。政治的影響力は小さい。
政治課題
イスラエルの抱える主な政治課題には次のようなものが存在する。
- パレスチナ紛争およびアラブ・イスラエル間の紛争
- ユダヤ教と国家の関係
- 経済・貿易関係
国際機関への参加
黒海経済協力機構 (オブザーバー)、欧州評議会 (オブザーバー)、CERN (オブザーバー)、欧州復興開発銀行、欧州経済委員会、FAO、米州開発銀行、IAEA、IBRD、ICAO、ICC、ICFTU、IDA、IFAD、IFC、ILO、IMF、IMO、インマルサット、インテルサット、インターポール、IOC、IOM、ISO、ITU、OAS (オブザーバー)、OPCW、OSCE (パートナー)、常設仲裁裁判所、UN、UNCTAD、UNESCO、UNHCR、UNIDO、UNWTO、UPU、WCO、WHO、WIPO、WMO、WTO.
イスラエル・アラブ諸国に関係する条約
- パリ講和会議(1919年)
- ファイサル・ワイツマン協定(1919年)
- 1949年休戦協定
- キャンプ・デービッド合意(1978年)
- イスラエル・エジプト平和条約
- マドリード会議(1991年)
- オスロ合意(1993年)
- イスラエル・ヨルダン平和条約(1994年)
- キャンプ・デービッド首脳会談(2000年)
- イスラエル・パレスチナ間における紛争の和平プロセス
- 中東和平への提案のリスト
- 国際法とアラブ・イスラエル間の紛争