タカタ (企業)

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タカタ株式会社は、シートベルトチャイルドシートエアバッグなど自動車用安全部品を製造する企業。自動車メーカーの資本を受けていない完全独立の部品メーカーである。

シートベルトでは多くのシェアを持ち、ホンダ・レーシング・F1チームパナソニック・トヨタ・レーシングスーパーアグリF1チームの日系3チームに供給されていた。チャイルドシートは自動車メーカーの純正品にも採用されている。

創業の地である彦根市と、その周辺の長浜市愛荘町に国内の製造拠点がある。

歴史

  • 1933年 - 高田武三が彦根で高田工場として創業。織物製造を開始。織物の技術を活かした救命索も製造。
  • 1956年11月 - 自動車用乗員拘束装置、農工業用灌漑ホース等の製造および販売を目的として、法人化し、株式会社高田工場を設立。
  • 1960年12月 - シートベルトの製造・販売を開始。(日本初の二点式シートベルト)
  • 1969年11月 - 本店を東京に移転。
  • 1983年12月 - タカタ株式会社に社名変更。
  • 2006年11月 - 東京証券取引所に上場。

エアバッグ世界シェア20%「タカタ」品質問題(2014年8月)

自動車部品メーカーのタカタ(本社・東京)が製造したエアバッグの不具合をめぐり、世界の自動車市場が大揺れだ。日本車を含めた世界の自動車メーカーが大規模リコール(回収・無償修理)に相次ぎ追い込まれ、問題はなおも広がる様相をみせる。米ゼネラル・モーターズ(GM)の大量リコールに重なる品質問題に、業界関係者は緊張を隠せない。

膨れ上がるリコール
「車に乗っている人が重傷を負う可能性がある」米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は2014年7月18日ウェブサイトで強い警告を発した。

三菱自動車はこの日、助手席にタカタ製のエアバッグを搭載した2004、2005年型のセダンランサー」をリコールするとNHTSAに届け出た。NHTSAによると、助手席のエアバッグが開く衝突事故が起きた際、ガス発生剤とともに金属片が破裂し、乗員が大けがをする恐れがあるという。

タカタ製エアバッグをめぐっては、金属片の破裂のほか、出火につながったケースも報告されている。2009年には米オクラホマ州で死亡事故が発生したほか、日本でも2014年1月に静岡市でエアバッグが破裂する事故が起きている。

三菱自のほかホンダトヨタ自動車、GM、米フォード・モーター、独BMWなど世界の名だたる自動車メーカーが、タカタ製エアバッグの不具合でリコールを発表している。その合計は全世界で900万台超に上り、なおも積み上がる見通しで、「1000万台の大台突破は時間の問題」との声もある。

リコールは、原因を招いたタカタの業績ももちろん直撃。8月7日に発表した4~6月期の連結決算で386億円の最終赤字を余儀なくされた。エアバッグ問題の処理で巨額の特別損失を計上したためで、通期も当初予想の160億円の黒字から一転、240億円の赤字に転落する見通しを明らかにした。

「帝王」の不安
いったいなぜ、ここまで騒動が広がっているのか。

まず指摘されるのは、自動車部品市場におけるタカタの「存在感」だ。問題のエアバッグを製造したのはタカタ1社だけだが、リコールを発表した自動車メーカーの顔ぶれでも分かるように、日本のみならず各国で取引があり、世界シェアの約2割を握る。

もともとタカタは織物製造から出発した企業で、自動車のシートベルトなども製造していた。その品質を高く評価していた自動車メーカー幹部がタカタに「エアバッグも作ってほしい」とラブコールを送った。創業家で元社長の高田重一郎氏は「危ない橋は渡れない」と当初は乗り気ではなかったというが、メーカー側の熱意にほだされ、数十年前にエアバッグ事業に進出した経緯がある。

高田氏は決断すると、会社の総力を挙げて開発に打ち込む。同社が製造したエアバッグはたちまち自動車業界でも評判になり、世界市場を左右するまでの存在になった。高田氏は平成23年に死去したが、かつて米誌フォーブスの富豪ランキングに名を連ねるほどの立志伝中の人物となり、「エアバッグの帝王」(ロイター通信)とも呼ばれた。

実際、タカタは今回の品質問題を起こす前まではその技術力が高く評価され、「財務面も安定している」(アナリスト)ように堅実経営で知られた。日本車メーカー関係者は「大量のエアバッグを製造できるメーカーは限られているし、タカタなら安心して取引できた」と口にする。

市場でタカタが高い信頼を得ていただけに、業界が受けたショックもまた大きい。タカタは「事態を真摯に受け止め、品質管理の強化を図る」としているが、高田氏の不安が図らずも的中したとの見方もある。

泣きっ面に蜂?
次に、業界関係者なら嫌でも連想してしまうのが、同時並行で起きているGMのリコール問題だ。

GMがこれまでに発表したリコールは全世界で2900万台超に上る。タカタの3倍以上の規模で、GMの場合は点火スイッチの不具合が主なリコール原因であり事情は異なる。それでも、自動車業界としては相次ぐ大規模リコールがダブルパンチとなっている。

各社がタカタ製エアバッグの不具合でリコールに相次いで踏み切っているのも、10年以上も前の不具合を半ば放置して対応が後手に回ったGMの「二の舞だけは避けたい」ためだ。当のGMも、エアバッグ問題で被害者から訴訟を起こされるなど厳しい状況にあり、対応に神経質になっている。

当局の危機感も強い。NHTSAはタカタのエアバッグ問題の調査を慎重に進めながら、6月には日米欧の自動車メーカーに問題となっている車の自主回収を要請した。

ただでさえ、GMのリコール問題で自動車ユーザーの不安が高まっている中、品質問題の火の手がこれ以上広がれば、ようやく回復してきた米自動車市場の腰折れを招き、世間の批判は当局にも向かいかねない。

さらに、自動車業界では足元で、中国が独占禁止法違反で日米欧の自動車メーカーの調査を進めている問題が波紋を広げている。品質問題の今後の展開次第では、自動車市場が危機的な状況に直面しかねないとの緊迫感が、業界を覆っている。

宣伝・広報活動

現在、SUPER GTの500クラス、TAKATA童夢NSXのメインスポンサーになっている。

提供番組

エアバッグとリコール

エアバッグの草創期より製造を進めてきた経緯から、日本の自動車各社のほかフォルクスワーゲンGMなど各国の自動車メーカーにも納品し、世界シェアは2位を誇る。セット数千円の単価ながら、2014年3月期決算では、社の売上高の約4割がエアバッグによるものとなっている。一方で、2008年頃より、部品の不具合などが相次いで判明。断続的にリコールを行った結果、数百万台規模となった。

外部リンク