構造化連想法
構造化連想法(Structured Association Technique, 通称SAT)とは、 健康心理学者宗像恒次によって1990年代に開発された、①構造化Structuredされた理論体系、技法手順、訓練法、審査体系を用いて、②通常意識あるいは瞑想意識の中での思考、感情、心像の連想 Associationを活用し、②再現性のある成果をうみだすエビデンスに根拠に置く自己開発とストレス病予防・治療のユニバーサル技法Techniqueである。日本発の心理療法で、2010年米国マーキューズWho'sWho in the Worldにおいて、その世界的な学術的貢献が評価された。
SATの特徴
①学歴や経験を問わず誰もが参加できる構造化された技術と教育の体系
構造化されたSAT理論、構造化された基本姿勢(観察、傾聴、確認、共感)、構造化された問いかけの技法手順、構造化された手技訓練、構造化された自己成長教育、ラダー化された専門資格(傾聴支援士→健康行動変容支援士→心理カウンセラー→ヘルスカウンセラー→イメージ療法士→インターン→健康心理療法士)、客観化された審査(学力審査・技能審査)のシステムをもっている。
②誰もが自ら自分の潜在意識を変えて、輝ける本来的自己に戻るイメージワーク法
通常意識(脳波β波,7歳~優位の脳波)の中でおこなわれるコーチングやカウンセリングや心理療法だけでは、認知基盤が祖先からサバイバル脚本(生き残るために、みない、聞かない、感じない、考えない、関わらないなどの人生脚本)をもっているので、生き残りをかけていきる社会的自己や他者報酬型自己としての知覚、思考、感情から抜けることはできない。サバイバル脚本としての潜在意識(脳波θ波、~6歳まで優位の脳波)は、思い出そうとしても思い出せないが、常に身体感覚(嫌悪系感覚は冷え、緊張、肩こり、腰痛など)で表現されている。それは環境と遺伝子の受精期から6歳までの相互作用によって生物の表現型としてプログラミングされたものである。それは胎内感覚(嫌悪系感覚は胎内が暗く、冷たい、硬い子宮壁など)で世代間伝達されるもの(胎児期条件づけ)である。その胎内感覚の自覚や変更には6歳まで支配している脳波θ波を意識的に利用する胎児期退行瞑想法(誰でも安全な方法で退行瞑想できるよう構造化されている)が必要不可欠になる。
③パフォーマンス、自己成長、健康増進、ストレス病治療のユニバーサル法
生き残りをかけてストレス蓄積性の高い社会的自己や他者報酬型自己に従って生きることから、人生満足が得られる本来的自己や自己報酬型自己に自己成長し、自分を満足させ、助け合って生きる愛情脚本(心の満足が得られるよう、周りをよくみて、感じて、考えて、関わるなど)をもつ輝ける自己に変わるには、本人を支配している潜在意識としての身体感覚を変化させる必要がある。実はその身体感覚は胎内感覚や養育者の表情表象(顔、音声、動作)を変えることで実現する。たとえば、眼を閉じ、自分が胎内にいて頃を想像し、胎内が暗く、冷たい子宮内を想像すると、母親の緊張のある厳しい顔がみえる。逆に、暖かく、明るい、柔らかな胎内感覚を想像すると、母親の笑顔が見えるだろう。そのような胎内感覚の中で育てられれば、輝ける本来的自己の自分を映像化できる。
ところで、胎内感覚や養育者の顔・声・動作の表情表象には、実は流産、病気、戦争、事故などで不条理死した親族や祖先の情報が含まれる。その死亡した親族や祖先の情報には、スピリチュアル・キーパーソン(SKP)とよばれるひとの情報がある。そのSPKの表情表象を胎児期退行法でさまざまなSAT法に基づく誘導イメージ法を用いて映像化して、良好な顔表象として自覚できると、養育者への期待水準が低下し、その結果養育者の良好な表情表象がえられる。そのSKPと養育者の良好な顔表象を描画、写真、宗教画などの代理表象で脳に高頻度刺激し、その表象がいつも浮かべることができるように固定化を促し、同時にそれらの家族同士が瞑想イメージ法で支えあう物語のイメージワークできると、「認知基盤」とつくっている脚本としての養育者の顔・声・動作の表情表象に変化がうまれ、あらゆる対人認知が変わり、本人に安心感や自信感がうまれ、良好な自己イメージスクリプトとなり、さまざまなストレス症状が軽減する。
この結果は、心理検査(STAI不安,SDSうつやストレス蓄積性の高い各種自己イメージスクリプトの心理特性の改善)のみならず、遺伝子発現(1~2回の介入でがん抑制遺伝子p53、RUNX3など約3500の遺伝子発現、GO分析でクロマチン修飾がおこなわれていることが判明)、免疫反応(リンパ球比率の上昇、SIgAの上昇など)、内分泌反応(副腎皮質ホルモンの低下、血糖値の低下など)、自律神経反応(顆粒球比率などの適正化)など血液検査でも、再現性のある成果がえられる。
SATは、自己イメージスクリプトを変え、遺伝子発現の変化を通じた心身症、精神症状、悪性腫瘍、自己免疫病などのストレス病治療だけでなく、失敗や挫折や病気を自己成長のエネルギーに変え、職場のメンタルヘルス改善やスポーツや幸福追求のパフォーマンスの向上をしていく、科学的な成果を持っている。
参考文献
- 宗像恒次『最新行動科学からみた健康と病気』(メヂカルフレンド社)1996 年
- 宗像恒次、後藤恵子『服薬指導のためのカウンセリングテクニック』(ミクス) 1995年
- 宗像恒次編著『栄養指導のためのカウンセリング』(医歯薬出版) 1996年
- 宗像恒次編著『子供達は成長したがっているー小・中・高教師のためのカウンセリング対話法』(広英社)1996年
- 宗像恒次『SATカウンセリング技法』(広英社) 1997年
- 宗像恒次『自己カウンセリングで成長する本』(DANぼ) 1997年
- 宗像恒次監著『歯科衛生士のためのヘルスカウンセリング』(クインテッセンス出版)1997年
- 宗像恒次『マインドウィルス』(法研) 1998年
- 宗像恒次『親子カウンセリングで成長する本』(DANぼ) 1998年
- 宗像恒次『自己成長のためのカウンセリング入門』(DANぼ) 1999年
- 宗像恒次編著『看護に役立つヘルスカウンセリング』(メヂカルフレンド社) 1999年
- 宗像恒次編著『ヘルスカウンセリング』(現代のエスプリ、至文堂) 1999年
- 宗像恒次監著『ヘルスカウンセリング事典』(日総研) 1999年
- 宗像恒次監著『生活習慣病とヘルスカウンセリング』(日総研)2001年
- 宗像恒次『自己カウンセリング本当の自分を発見する本』(中経出版) 2001年
- 宗像恒次編著『患者ケアと栄養指導の実践ヘルスカウンセリング』(医歯薬出版)2001年
- 宗像恒次監著『カウンセリング医療と健康』(金子書房)2004年
- 宗像恒次『がん、うつ病から家族を救う愛の療法』(主婦と生活社)2005年
- 宗像恒次監著『運命愛は取り戻せるー50歳からの夫婦心理学』(講談社)2005年
- 宗像恒次監著『人生をリセットしたいあなたに』(三松出版事業部)2005年
- 宗像恒次『SAT療法』(金子書房)2006
- 宗像恒次、小林啓一郎『健康遺伝子を目覚めさせる がんのSAT療法』(春秋社)2007
- 宗像恒次『自分のDAN気質を知れば人生が科学的に変わる』(講談社+α新書)2007
- 宗像恒次『遺伝子を味方にする生き方』(きこ書房)2007
- 宗像恒次監著『SAT法を学ぶ』(金子書房)2007
- 宗像恒次『感情と行動の大法則』(日総研)2008年