ライオン
この項目では、動物について説明しています。その他の用法については「ライオン (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
?ライオン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
250px ライオン Panthera leo
左:オス 右:メス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
種の保全状態評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
VU | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
* ワシントン条約付属書II類
P. l. persica インドライオン
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
地質時代 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
- | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Panthera leo (Linnaeus, 1758) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ライオン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Lion | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
下位分類群 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[[画像:|0200px|]] |
ライオン(Panthera leo)は、哺乳綱食肉目ネコ科ヒョウ属に分類される食肉類。獅子とも表現される。その威風堂々とした容貌、強さなどから「百獣の王」と呼ばれる。
目次
分布
- P. l. persica インドライオン
形態
体長1.5-2.4m。体重150-260kg。動物園の個体では400kgを超える場合もある。
本種の顔には人間にとっての指紋と同じように一生変わらない部分があり、ひげの生え際にある黒い点がそれである。この点は個体によって全て位置や数が異なる。
- P. l. persica インドライオン
やや小柄で、体色がうすい。オスの鬣もあまり発達しない。
亜種
- Panthera leo persica Meyer, 1826 インドライオン
絶滅亜種
生態
サバンナに生息する。(亜種インドライオンは森林。尚、同じインドに棲むトラとは生息地が違うため、野生下で遭遇する事はない。)雄1-2頭、雌3-6頭、そして子供多数のプライドと呼ばれる群れを形成し、生活する。若い雄は産まれ育った群れから追い出され、成長するまで雄だけで暮らす(兄弟2頭で行動することが多い)。 狩りは集団で行う。獲物を狩るのは基本的に雌の役目だが、雌が手こずったりする場合は雄も加わる。 育児は群れの雌全員で行い、雄は基本的に外敵(他の雄ライオン、ハイエナ)の駆除を生業としている。またハイエナが捕らえた獲物を奪う事もよく知られている。
食性は動物食で、昆虫類から大型草食獣まで実に様々であり、主な獲物はヌー、シマウマ、アフリカスイギュウ、イボイノシシ、キリン、カバ等である。大型の獲物を襲う場合には抵抗力もあるため少なからぬ危険を冒すことになる。アフリカゾウの成獣は捕食の対象外であるが、稀に子供が狙われることがある。時として人間を襲う場合もあるので接する場合は注意が必要である。体調が優れない時は、胃の内容物を嘔吐するため草を食べる事もある。
妊娠した雌は、出産が近くなるとプライドから離れ、一頭で行動し、出産する。妊娠期間は約108日前後。幼体がプライドの移動に遅れないくらい歩けるようになると元のプライドに戻る。
オスは2歳前後でタテガミが発達し、群から排除されるが、単独または兄弟たちと数年放浪した後(これはノマドと呼ばれる)他のプライドを襲って乗っ取りを図る。乗っ取られたプライドでは新たに君臨したオスによって子殺しが行われ、子供がいるうちは発情しないメスが発情するようになり交尾して新たな子孫をもうける。しかし、例外のある地域もアフリカにある。大きな違いは、暑さのためオスのタテガミはほとんどないことと群れを獲得した後子殺しはしないことである。
人間との関係
種小名leo は「ライオン」の意で、本種そのものを指している。
かつてはアフリカ・アジア・ヨーロッパ南部の広い地域に分布し、有史以後も長く中近東やバルカン半島などに生息していた。しかし毛皮目的や古代ローマ時代では闘技場で奴隷と戦わせるための乱獲、開発による生息地及び獲物の減少、害獣としての駆除等の理由でアフリカ大陸北部やユーラシア大陸(インドの一部を除いて)では絶滅した。動物園でも簡単に繁殖するため種としての絶滅の危機は少ないが、生息地における純粋な亜種の個体数は自然の破壊とともに減少の一途をたどっている。
象徴
その威風堂々とした容貌・態度と最強動物の候補として挙げられる単体の強さから 「百獣の王」と称される本種は古来より紋章や文様に用いられている。古代エジプトでは人の顔、ライオンの体、鷲の翼を持つスフィンクスとして神格化された。日本の狛犬や沖縄のシーサーもインドでライオンを意匠化したものが中国経由で伝わったものと考えられる。
キリスト教では、本種は聖マルコの象徴である。聖マルコはヴェネツィアの守護聖人であるため、サン・マルコ広場 にあるライオンの像を始め、ヴェネツィアのいたるところで本種の意匠を見ることができる。ベネチア映画祭の金獅子賞もそれに由来する。
イングランド王室でも王冠をかぶったライオンが象徴として用いられているが、これはノルマンディー公時代から受け継がれており、現在のフランスのノルマンディー地方でも本種をあしらった旗が用いられている。勇猛なことで知られるイングランド王、リチャード1世は獅子心王とよばれていた。
物語上の設定
動物を擬人化した物語・アニメ・漫画などでは、ライオンは温厚な性格に設定され、他の(擬人化された)動物や人間との関係も比較的良好なものが多い。「百獣の王」の異名故か動物世界の君主の設定も多いが、さりとて暴君ではなく温和な君主の設定が多く見られる。
本種が登場する作品
- 『ライオン』Le Lion (1958): フランスの作家ジョゼフ・ケッセルの小説。1962年に米国で映画化された。
- 『野生のエルザ』Born Free (1966): アフリカの狩猟監視官のアダムソン夫妻とライオンのエルザとの交流を描いて世界的にベストセラーとなったノンフィクション。1966年に英・米合作で映画化された。続編に『永遠のエルザ』『エルザの子供たち』がある。
- 『ゴースト&ダークネス』THE GHOST AND THE DARKNESS (1996): 東アフリカ鉄道建設中の1898年、ケニアのツァボ東国立公園(TSAVO-EAST National Park)の建設現場で起きた事件を映画化したもの。当時事件を起こした本物の2頭の人食いライオンは、シカゴのフィールド博物館に剥製として展示されている。映画では、たてがみのある2頭の雄ライオン「ゴースト」と「ダークネス」が描かれているが、実際のライオンには、たてがみはなかった。ツァボ地域には、このような「たてがみのない雄ライオン」は珍しくない。
- 『ナルニア国ものがたり』:イギリスの作家C・S・ルイスによるファンタジー小説。アスランというライオンが作った世界の物語。
- 『ジャングル大帝』: 白ライオンのレオを描いた、手塚治虫のマンガおよびアニメ作品。西武ライオンズのマスコットキャラクターとしても使用される。
- 『ライオン・キング』: ディズニーのアニメ映画。ミュージカル化もされた。発表後、上記『ジャングル大帝』の盗作ではないかという疑惑が起こり、日米のアニメファンの間で議論が交わされた。
- 「ライオンは寝ている」The Lion Sleeps Tonight: 米国のポップグループトーケンズが歌った1961年のヒット曲。元は南アフリカに古くから伝わる曲。
- 「Serengeti : Natural Order on the African Plain」: 岩合光昭さんがタンザニアのセレンゲティに在住中に撮影した写真集。この中の雄ライオン同士のすさまじい死闘は、野生であることの厳しさを伝えている。
- ZOO KEEPER ブロックの一種として登場。
- ドラえもん +1巻と+5巻に登場。(+1巻→強いペットが欲しい/+5巻→イイナリキャップ)
- 『ライアンを探せ!』:2006年12月公開予定のディズニーのアニメ映画。親ライオンがキリンやコアラとともに子ライオンを探す旅に出るライオン版『ファインディング・ニモ』といった物語。
- 『ライオンのめがね』:ビルドラック
- 『やさしいライオン』:やなせたかし
- 『らいおんみどりの日ようび』:中川李枝子
- 『ジオジオのたんじょうび』:岸田衿子
本種にまつわる言葉
- 獅子身中の虫
- 味方として恩恵を受けながら、害をなすもののたとえ。たとえ獅子でも、体内の虫には勝てないの意。
- 獅子の子落し
- 子供を厳しく鍛え育てること。獅子は自らの子を千尋の谷に落として、生き残ったものだけを育てるという言い伝えから。
- 獅子搏兎(はくと)
- 獅子は兎を狩るのにも全力を以てす、より簡単なことでも全力をつくすこと。
- 眠れる獅子
- 日清戦争の頃の中国の俗称。現在はおとなしいが、国土・人口が多大であり、強大な軍事力が潜在しているだろうと列強から恐れられ、そう呼ばれた。
ただし、これらに用いられる獅子は、ライオンそのものではなく、ライオンをモチーフに生まれた中国の幻獣を指す。
備考
- 中国語でライオンを示す「獅」や、日本語の「獅子」という語は、「百獣の王」=「師」であることから作られた語である。
- タンポポの英名であるdandelion(ダンデライオン)は「ライオンの歯」を意味する。これは、葉の形がライオンの牙を連想させることによる。
- 社会奉仕団体のライオンズクラブはLiberty(自由)、Intelligence(知性)、Our Nation's Safety(わが国の安全)の頭文字を並べたものであり、動物のライオンとは直接関係はない。
- ライオンはヒョウ属の他種との間に雑種を生じることができる。有名なところでは、雄ヒョウと雌ライオンの雑種がレオポンである。ライオンとトラの雑種の場合、父がライオンであればライガー、父がトラであればタイゴンと呼ばれる。ごく一部の例外を除いて、これらの雑種動物には繁殖力がない。
- ホワイトライオンは、白変種である。
- 違う雄ライオンによって群れから追い出された雄のライオンは野垂れ死にしてしまう。このことから、雄ライオン1匹では生存能力に乏しいことがうかがわれる。
- ライオンのたてがみの数え方は「1むら」。
- 同じネコ科ということで「ライオンとトラが戦ったらどちらが強いのか?」という話がよく持ち出されるが、生息地域が離れており、なおかつ一般的に草原に主たる生活圏を持つライオンと密林に主たる生活圏を持つトラが直接対決するシチュエーションの設定自体が困難である。また、ライオンもトラもそれぞれの生活環境において優れた戦闘能力が発揮できる肉体の構造をしており、その環境によっても有利不利が働くために、同じような体格・健康状態においたとしても「その状況次第でどちらも勝利する可能性がある」としか答えようがないと考えられている。
参考文献
- 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社、1984年、77項
- 『小学館の図鑑NEO 動物』、小学館、2002年、60項
関連項目
外部リンク
- 2007 IUCN Red List of Threatened Species
- Bauer, H. & Nowell, K. 2004. Panthera leo. In: IUCN 2006. 2006 IUCN Red List of Threatened Species.
- Cat Specialist Group 2000. Panthera leo persica. In: IUCN 2006. 2006 IUCN Red List of Threatened Species.
- Bauer, H. & Nowell, K. 2004. Panthera leo. In: IUCN 2006. 2006 IUCN Red List of Threatened Species.
- CITES homepage
- 百獣の王ライオン画像動画集:ライオンキングス
このページはウィキペディア日本語版のコンテンツ・ライオンを利用して作成されています。変更履歴はこちらです。 |