日産・ガゼール

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日産・ガゼールGazelle)は、日産自動車で生産されていたクーペ乗用車である。

概要

1979年、シルビアが3代目(S110型)にフルモデルチェンジしたのと同時に発売開始されたシルビアの姉妹車である。シルビアとは販売会社が分けられ、シルビアが日産サニー店系列の扱いであったのに対して、ガゼールは日産モーター店系列での扱いとなった。北米、欧州向けなどの輸出名称は200SXだったが、S12型が豪州でのみ、日本国内と同じガゼールの名称で販売された。

歴史

初代 S110型(1979年-1983年)

  • 1979年3月、初代ガゼール(S110型)発売開始。

構造はシルビアと共通であるが、販売店の顧客層を考慮し、革巻(シルビアはウレタン)のパーキングブレーキレバーグリップの採用や、ディーラーオプションで用意されたエンジンフードガゼルグラフィックなど、高級感を演出した外観や内装を特徴とし、シルビアに比べ、やや上位の位置づけであった。また、価格もガゼールの方がシルビアより5000円高かった[1]

外観上の両車の差異は、フロントグリルがシルビアはブロックタイプ(マイナーチェンジ後は格子)、ガゼールは横スリットとなり、リアコンビランプもハードトップは見分け難いものの、ハッチバックは、格子と横基調の違いで比較的判り易い。その他、前述のフェンダーミラーのほか、Bピラーのデザインも異なる。シルビアが黒を基調とした概観を採用していたのに対し、ガゼールはメッキパーツを多用して個性をアピールしていた[2]

搭載エンジンはZ18/Z18E型直列4気筒・1800ccおよびZ20E型直列4気筒・2000ccが搭載された。グレードは装備と搭載エンジンから、T-I、T-II/TE-I、TE-II/XE-I、XE-IIの6種類。また、日本初のドライブコンピュータなど先進機器を多く搭載した。

  • 1979年8月 ハッチバック追加及び一部改良。ハッチバック車にはオーバーライダー付き大型バンパー、シングルアームのフロントワイパーが装備された。
  • 1980年6月 一部改良。
  • 1981年5月 マイナーチェンジ。外観では前後ウレタンバンパー、ランプ、グリル、エンジンフード等が変更された。グレードが整理され、TE-Iが廃止、2000ccモデルに当時流行したデジタルメーター装備の最上級グレードXE-II・Gを追加。Z18ET型ターボ付エンジンを搭載する「ターボXE/XE-II」が追加された。ターボXEは黒一色のビニールレザー内装で装備も簡素化されていた。シルビアとの差別化を図るため、フェンターミラーがメッキ仕上げとなる。
  • 1982年4月 R30型スカイラインにも搭載された4バルブ・DOHCのFJ20E型エンジン搭載する「H/T 2000DOHC RS/RSエクストラ」を追加及び一部改良。シルビア / ガゼールに搭載されたFJ20E型は、吸・排気の取り回しの違いから、スカイラインに搭載されたものとは若干特性が異なる。

1983年からは、生産拠点が日産自動車九州工場に移された。

シルビアと同様、富士グランチャンピオンレーススーパーシルエットに参戦した。

当時放映されていたテレビドラマ『西部警察』では、石原裕次郎演じる木暮課長の専用車として、2000XE-IIをベースに自動車電話付のガゼールのオープンカーが登場した。この劇用車のボンネット・トランクに描かれたグラフィックは、車名の由来となったカモシカの仲間であるガゼルをイメージしたものである。

2代目 S12型(1983年-1986年)

1983年8月、シルビアと同時にフルモデルチェンジし、2代目(S12型)が発売開始された。

先代と同様、ノッチバックとハッチバックの2本立てで生産。ノッチバックはセンターピラー付きのボディになったのに伴い、日産による公式な呼び名は「ハードトップ」から「クーペ」に変わった。加えて、ワイパー付フルリトラクタブル・ヘッドライトを採用した。搭載エンジンは先代のZ型に替わり、CA18S型直列4気筒・1800ccキャブレター、CA18E型直列4気筒・1800cc、CA18ET型直列4気筒・1800ccターボ、そして、FJ20ET型直列4気筒・2000ccターボの4機種となった(ガゼールにはFJ20Eは搭載されず)。また、世界初のパワーウーハー、日本初のチルトアップ機構付電動ガラスサンルーフおよびキーレスエントリーなどが採用。

外観上のシルビアとの違いは、フロントグリルやテールランプなどで見分けることができる。グリルは、シルビアが横長長方形を組み合わせたものに対し、ガゼールはハニカム状のもの。テールは、クーペ/ハッチバックとも、シルビアが縦型デザインに対し、ガゼールは横型のデザインになっている(S110から継続)。

ボディーカラーでも、シルビア・ガゼールで各々のツートンカラーがあり、その配色でも見分けることができる。

1986年2月、シルビアがマイナーチェンジされCA18DET型DOHCターボエンジンが搭載されるのと同時に車種を統合され、ガゼールは生産終了。事実上の後継車種は180SX[3]。海外輸出は唯一豪州のみ行われた。

モータースポーツ活動

  • 富士GCスーパーシルエット

車名の由来

アジアアフリカに生息する、カモシカの仲間であるガゼルに由来する。

脚注

  1. J's Tipoネコ・パブリッシング2006年9月号、25頁、『シルビアを知る。その壱 3代目(S110型)』。
  2. 自動車史料保存委員会 編 『日本の自動車アーカイヴス 乗用車 1975-1981』 三樹書房2010年8月25日初版発行、ISBN 978-4-89522-554-0、68頁。
  3. 但しガゼールがモーター店で販売されたのに対し、180SXはプリンス店とチェリー店で販売された。ガゼール廃止後のモーター店ではそれまでサニー店のみで販売されたシルビアを扱うようになった。

関連項目

外部リンク