イヌ
この項目では、動物のイヌについて説明しています。その他のイヌ、いぬ、犬については「いぬ (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
テンプレート:生物 画像 テンプレート:生物 分類開始 テンプレート:生物 界 テンプレート:生物 門 テンプレート:生物 亜門 テンプレート:生物 綱 テンプレート:生物 目 テンプレート:生物 亜目 テンプレート:生物 科 テンプレート:生物 亜科 テンプレート:生物 属 テンプレート:生物 種 テンプレート:生物 亜種 テンプレート:生物 分類終了 テンプレート:生物 学名 テンプレート:生物 和名 テンプレート:生物 英名
イヌ(犬)は、イヌ科の動物。ネコ目イヌ科イヌ属に分類される。
学名は Canis lupus familiaris。イヌはリンネ(1758年)以来、伝統的に独立種 Canis familiaris とされてきたが、イヌをタイリクオオカミ (Canis lupus) の亜種の一つとする学説(1993年、 D.E.Wilson and D.A.M.Reeder)が、現在は受容されつつある。
広義の「イヌ」(後述)と区別して「イエイヌ」(英名 Domestic Dog)とも言うが、これは伝統的な学名 C. familiaris (家族の-犬) に対応した呼称。
また、広義の「イヌ」は広くイヌ科に属する動物 (イエイヌ、オオカミ、コヨーテ、ジャッカル、キツネ、タヌキ、ヤブイヌ、リカオンなど) の総称でもあるが、日本ではこちらの用法はあまり一般的ではなく、欧文翻訳の際、イヌ科動物を表す dogs の訳語として当てられるときも「イヌ類」などとしてイエイヌと区別するのが普通である。以下では狭義のイヌ(イエイヌ)についてのみ解説する。
イエイヌは人間の手によって作り出された動物群である。最も古くに家畜化されたと考えられる動物であり、現在も、ネコ Felis silvestris catus と並んで代表的なペットまたはコンパニオンアニマルとして、広く飼育され、親しまれている。
野生化したものを野犬(やけん、のいぬ)といい、あたかも標準和名のように、カタカナで「ノイヌ」と表記されることも多いが、もちろん種や亜種としてイエイヌから区別されるわけではない。
犬種については犬の品種一覧を参照。現在、ジャパンケネルクラブ (JKC) では、国際畜犬連盟 (FCI) が公認する331犬種を公認し、そのうち176犬種を登録してスタンダードを定めている。
目次
生態的・形態的特徴
イヌの属するイヌ科は、森林から開けた草原へと生活の場を移して追跡型の狩猟者となった食肉類のグループである。待ち伏せ・忍び寄り型の狩りに適応したネコ科の動物に対して、イヌ科の動物は、細長い四肢など、持久力重視の走行に適した体のつくりをしている。
また、イヌは古くから品種改良が繰り返されて、人工的に改良された品種には、自然界では極めて珍しい難産になるものも多く、品種によっては、出産時に帝王切開が必要不可欠となる。
鳴き声
日本では一般的に「ワンワン」と聞き做される。そのため、その鳴き声から犬のことをワンコやワン公とも呼ぶ。また英語圏では「バーク」「バウワウ」など、中国では「ウーウー」、韓国では「モンモン」と鳴くとされる。
骨格
イヌの歩き方は、指で体を支える趾行(しこう)性で、肉球(4つの指球(趾球)と1つの掌球(蹠球))と爪が地面につく。爪は先が尖っており、走るときにスパイクのような役割をする。ただしネコ科のものほど鋭くはない。爪を狩りの道具とするものが多いネコ類とは異なり、イヌ科の動物は爪を引っ込めることができず、各指は広げることができない。ネコ類と同じく、第3指(中指)と第4指(薬指)の長さが同じである。後肢の第1指(親指に相当する)は退化して4本指の構造となっているが、たまに後肢が5本指のイヌもいる(こうしたイヌの後肢の第1指「狼爪」と称する)。前肢は5本指の構造となっているが、やはりその第1指も地面には着かない。
前肢はほとんど前後にしか動かず、鎖骨は失われている。逆に股関節は、靭帯による制約が少ないために、他の家畜類に比べて可動性が広く、後肢を頭を掻くのに用いたりし、また、雄は排尿時に高く持ち上げるが、陰茎の位置からして大型犬のほうが有利ではある(雌はしゃがんで少し上げる)。反面、靭帯が少ないことは、しばしば股関節脱臼を起こす原因ともなっており、高齢犬・著しく体重が増えた犬・大型犬でその傾向が高い。
肋骨は13対で、ヒトより1対多く、走るのに必要な肺と心臓は、体のわりに大きい。心臓はネコ目の他のグループの動物と違って球形に近く、特に左心室が非常に大きい。
尾は走行中の方向転換で舵として働くが、オオカミなどと比べると細く短くなっており、また、日本犬に多く見られるように巻き上がっているものがあるのは、筋肉の一部が退化して弱くなっているためである。
歯
歯式は 3/3・1/1・4/4・2/3=42 で歯は42本(21対)あり、32本(16対)の歯をもつヒトや、28-30本のネコと比べると、あごが長い分、歯の数も多い。ヒトと比較すると、切歯が上下各2本、前臼歯(小臼歯)が各4本多く、後臼歯(大臼歯)は上顎で2本少ない。ネコ亜目に共通の身体的特徴として、犬歯(牙)のほかに、裂肉歯と呼ばれる山型にとがった大きな臼歯が発達している。この歯はハサミのようにして肉を切る働きをもつ。裂肉歯は、上あごの第4前臼歯と、下あごの第1大臼歯である。食物はあまり咀嚼せずに呑み込んでしまう。
消化器
イヌ科グループの他の動物と同様、イヌは基本的には肉食だが、植物質を含むさまざまな食物にも、ある程度までは適応する。消化管はそれほど長くないが、腸の長さが体長(頭胴長)の4–4.5倍程度であるオオカミに対して、イヌの方は5-7倍と、いくらか長くなっている。肉食獣の中には盲腸をもたないものもあるが、イヌはそれほど大きくないものの5–20cm程度の盲腸をもつ。
腺
イヌの耳下腺は、副交感神経性の強い刺激を受けると、ヒトの耳下腺の約10倍のスピードで唾液を分泌する。唾液は浅速呼吸(あえぎ)により口の粘膜と舌の表面から蒸散する。激しい運動のあと、イヌが口を開け、舌を垂らしてさかんにあえいでいるのはこのためである。イヌの体には汗腺が少ないが、この体温調節法は汗の蒸発による方法と同じくらい効果的であるという。
肛門には肛門嚢(のう)と呼ばれる一対の分泌腺があり、なわばりのマーキングに使われるにおいの強い分泌液はここから出ている。ジャコウネコやハイエナのように外に直接開いてはおらず、細い導管で肛門付近に開口している。なお、イヌが雨にぬれたときなどに特に匂う独特の体臭は、主に全身の皮脂腺の分泌物によるものである。
嗅覚
警察犬の遺留品捜査や災害救助犬の被災者探索等でよく知られるように、イヌの感覚のうち最も発達しているのは嗅覚であり、においで食べられるものかどうか、目の前にいる動物は敵か味方かなどを判断する。また、コミュニケーションの手段としても、ここはどの犬の縄張りなのかや、相手の犬の尻のにおいをかぐ事で相手は雄か雌かなどを判断することでも嗅覚は用いられたりする。そのため、犬にとっては嗅覚はなくてはならない存在である。
イヌの嗅覚はヒトの数千から数万倍とされるが、その能力は有香物質の種類によっても大きく異なり、酢酸の匂いなどはヒトの1億倍まで感知できる。嗅覚は鼻腔の嗅上皮にある嗅細胞(嗅覚細胞)によって感受されるが、ヒトの嗅上皮が3–4平方センチなのに対し、イヌの嗅上皮は18–150平方センチある。嗅上皮の粘膜を覆う粘液層中に分布する、「嗅毛」と呼ばれる線毛は、においを感覚受容器に導く働きをするが、イヌの嗅毛は他の動物のそれより本数が多く、長い。嗅細胞の層も、ヒトでは一層であるのに対して、イヌでは数層になっており、ヒトの500万個に対し、2億5千万から30億個あると推定されている。鼻腔の血管系もよく発達している。ヒトが顔や声について特別な記憶力をもつように、イヌは匂いについての優れた記憶力をもっている。イヌを含む動物群の鼻先のいつも湿っている無毛の部分を「鼻鏡」と呼ぶが、これは風の向きを探る働きをすると考えられる。
聴覚
イヌは聴覚も比較的鋭い。また可聴周波数は 40–47,000 Hz と、ヒトの 20–20,000 Hz に比べて高音域で広い。超音波の笛である犬笛(約30,000 Hz)は、この性質を利用したもの。聴力には、犬種による違いはほとんどみられない。
視覚
イヌの眼には、赤色に反応する錐状体の数が非常に少ないといわれ、明るいときには、赤色はほとんど見えていない可能性が高い。色の明暗は認識できるが、全色盲に近いと考えられている(信号機だけは識別できるとされていたが、実はこれも灯火の点灯順序と人間の動きを関連づけて倣っていたに過ぎない事が確認されている)。ネコやキツネの瞳孔が縦長であるのに対し、イヌの瞳孔は収縮しても丸いままである。視覚は犬種によってかなり差があることが知られている(もっとも、最近の研究では、人間ほどではないものの、イヌも色彩を認識できるのではないかという事が分かってきたようだ)。また、動体視力も優れているため、テレビ画像などはコマ送りにしか見えていない。
出産と成長
メスの発情周期は7–8か月だが、犬種により差がある。妊娠期間は50–70日。3–12子を一度に出産するため、乳房を左右に5対持っているのが一般的である。6-12か月で成犬の大きさになり、その後2–3か月で性的に成熟する。これはオオカミの2年に比べて早熟である。小型犬は成犬に達するのが早い分、性成熟も早い。
寿命
イヌは10歳になると老犬の域になり、12歳から20歳程度まで生きる。ただし犬種や生育環境によって異なり、基本的に大型犬の方が小型犬よりも短命である。また、いわゆる座敷犬(家屋内に飼われている犬)よりも、屋外で飼われている犬の方が、短命な傾向がある。一般的には、純血種よりも雑種の方が長命である。
分布
イヌの染色体は78本 (2n) あり、これは38対の常染色体と1対の性染色体からなる。これは同じイヌ属のオオカミ類、ジャッカル類、コヨーテ類、ディンゴなどとも共通である。これらの種は交配可能であり、この雑種は生殖能力をもつ。ただし、これらは行動学的に生殖前隔離が起こり、また地理的にも隔離されている。ジャッカル類は主にアフリカとアジアに、コヨーテ類は北米に分布する。
また、オーストラリアとニューギニア島に生息するディンゴは、約4,000年前に、人類によって持ち込まれたイヌであり、かつては別種とされていたが、現在はイエイヌとともに、タイリクオオカミの1亜種とされている。
社会性
イヌの特徴としては、社会的意識をもち、群れで行動することが挙げられる。また、人にもよく馴れ、訓練次第でよく指示に従うことなどがある。家庭で飼われているイヌは、人間の家族を、自身をその一員とする1つの群れと見なしていると考えられる。
イヌの起源
イヌは最も古くに家畜化された動物である。手に子犬(イヌかオオカミかはっきりしない)を持たせて埋葬された、1万2千年ほど前の狩猟採集民の遺体が、イスラエルで発見されている。分子系統学的研究では1万5千年以上前に東アジアでオオカミから分化したと推定されている。イヌの野生原種はタイリクオオカミ (Canis lupus) の亜種のいずれかと考えられている。イヌのDNAの組成は、オオカミとほとんど変わらない。イヌがオオカミと分岐してからの1万5千年という期間は種分化としては短く、イヌを独立種とするかオオカミの亜種とするかで議論が分かれている。
人間社会との関わり
元来は、住居の見張り、次いで狩猟の補佐のために家畜化されたと考えられるが、現在はほとんどが愛玩用であり、日本ではおよそ5世帯に1世帯がイヌを飼っている。長い年月をかけて交配が試みられ、ダックスフント、トイ・プードル、ブルドッグなど、用途に応じたさまざまな品種が開発されてきた。19世紀に生まれたケネルクラブによって、外形、気質などにより犬種の人為的な選別が進んだが、20世紀以降に生まれた新犬種の多くは、見た目だけのために作られたものが多い。
「シェイプシフター」(変身動物)と呼ぶ研究者がいるように、小さなチワワから大型のセント・バーナードまで、幅広いサイズと形態をもつ。
イヌは、下記のような形で人間に利用され、あるいは人間と関わってきた。
- ヒツジやウシなど家畜の飼育を助ける
- 愛玩動物(ペット)、コンパニオン・アニマル(伴侶動物)として飼育される
- 愛玩犬
- TVのCMやドラマなどで活躍する
- タレント犬、モデル犬
- 人間の住居等を見張り、野獣や不審者の接近・侵入を防ぐ
- 番犬
- 体に障害のある人を助ける
- 麻薬捜査、犯罪の容疑者追跡など、犯罪捜査を助ける
- イヌぞりや荷物運びの引き手として使われる
- そり犬、荷運び犬
- 食用にされる: 犬食
- 闘犬やドッグレース、曲芸などの娯楽に用いられる
- 競走犬、演技犬
- 狩猟の際、獲物の発見、追跡、捕殺、撃ち落とされた獲物の探索などを助ける
- 猟犬 (鳥猟犬、獣猟犬)
- 軍事目的に使われる
- 雪山や海、さまざまな被災地などで、遭難者の発見・救助に利用される
- 病院、監獄等の各種施設で、患者等の心理面のケアに利用される
- セラピー犬
- ブタなどと同様、トリュフなどにおいの強い食物の探索を助ける
- 実験動物 系統管理されたビーグルが使われることが多い
行動学からの詳細な議論については、(データとしては古くなってしまうが)コンラート・ローレンツの『人イヌに会う』(至文堂)を参照するとよい。
さまざまな犬種ごとのイヌを繁殖させて販売する業者をイヌのブリーダーといい、各ブリーダーの犬舎を、しばしばケンネル、ケネルとも呼ぶ(英語 kennel から)。各国で犬種の管理等を行う蓄犬団体は「ケネルクラブ」と称し、日本にも社団法人ジャパンケネルクラブがある。
90年代以来のペットブームの中、イヌはネコや他のペット動物とともに、高い注目を集めてきている。人気犬種は時代によって変わるが、1990-2000年代に話題を呼んだ犬種としては、シベリアン・ハスキー、ゴールデン・レトリバー、ウェルシュ・コーギー、ブルテリア、ダルメシアン、チワワなどが挙げられる。 ただし、特定の犬種に人気が集まるいわゆるブームが起こるのは、日本特有の文化であると言われている。
漫画『動物のお医者さん』(チョビ)によるシベリアン・ハスキー、ディズニー映画『101』によるダルメシアン、アイフルのテレビCM(くぅーちゃん)によるチワワなど、テレビ・映画・漫画などの影響で、期せずしてブームとなった犬種もある。
また、子犬を鼻先からアップで撮影した The Dog シリーズをはじめとして、じゃがいぬくん、しばわんこ、お茶犬、アフロ犬など、イヌをモチーフとする最近のデザインやキャラクターものは、枚挙にいとまがない。
だが、イヌはネコとともに愛玩動物として飼育されている数が多い分、虐待・虐殺により、苦しみながら命を落とすものや、「捨て犬」として不法に遺棄されるもの、あるいは飼い主やその家族の手によって保健所に送られるものも少なくない。例年、非常に数多くのイヌたちが、全国の保健所施設で殺処分されている。
さらに、離島などで野生化した野犬(ノイヌ)の存在は、野猫や人為的に持ち込まれたマングースとともに、絶滅が危惧される小動物にとって、大きな脅威となっている。
イヌと歴史・文化
人間と暮らし始めた最も古い動物であるイヌは、民族文化や表現のなかに登場することが多い。
古代メソポタミアでは彫刻や壷に飼い犬が描かれており、古代エジプトでは犬は死を司る存在とされ(→アヌビス神)、飼い犬が死ぬと埋葬されていた。紀元前に中東に広まったゾロアスター教でもイヌは神聖とみなされるが、ユダヤ教ではイヌの地位が下がり、イスラム教では不浄な動物とされるようになった。聖書にも18回登場するが、ここでもブタとともに不浄の動物とされている。現在でもイスラム圏では牧羊犬以外に犬が飼われる事は少ないが、欧米諸国では犬は多くの人々に飼われている。中世ヨーロッパの時代には、宗教的迷信により魔女の手先として忌み嫌われ虐待・虐殺された猫に対し、犬に対する見方は良かった。
古代中国・日本ではしばしば、境界を守るための生贄など、呪術や儀式にも利用されており、「けものへん」を含む「犬」(山犬の象形)を部首とする漢字の成り立ちからも、しばしばそのことがうかがわれる。古来、人の感じることのできない超自然的な存在によく感応する神秘的な動物ともされ、死と結びつけられることも少なくなかった(地獄の番犬「ケルベロス」など)。 漢字のなりたちとして、犬の`は、耳を意味している。
日本においては縄文時代の遺跡から埋葬されたイヌが見つかっており、古代日本人とともに日本列島に渡ってきたと考えられる。奈良・平安時代には貴族が鷹狩や守衛に使うイヌを飼育する職として犬養部(犬飼部)が存在した。後の犬飼・犬養姓はここから生まれたとされる。鎌倉時代には武士の修練の一つとして、走り回るイヌを弓矢の的にする犬追物が盛んになった。江戸幕府五代将軍徳川綱吉は戌年の生まれであったため、彼によって発布された「生類憐みの令」(1685年 - 1709年)において、イヌは特に保護された。これにより綱吉は、「犬公方」(いぬくぼう)とあだ名された。
欧米諸国では、古代から狩猟の盛んな文化圏の為、猟犬としての犬との共存が長く古い。今日では特に英国と米国、ドイツに愛犬家が多い。世界で最古の1873年に設立された愛犬家団体の英国のケンネルクラブと1884年に設立された米国のアメリカンケンネルクラブがそれを物語っている。ヨーロッパ諸国の王家や貴族の間では、古来から伝統的に愛玩用、護衛用、狩猟用などとして飼われている。特に英国王チャールズ2世とエドワード7世は愛犬家として有名である。現英国女王エリザベス2世も愛犬家で知られている。現在でも英国王室は犬舎を所有して、犬を飼育・繁殖している。政治家ではアメリカの歴代大統領に愛犬家が多い。特にクーリッジ大統領とルーズベルト大統領は愛犬家として有名である。現米国大統領ブッシュ大統領も愛犬家。
イヌは一般に出産が軽い(安産)ことから、これにあやかって戌の日に安産を願い犬張子や帯祝いの習慣が始まるようになる。 イヌの鳴き声は、現代日本では「ワンワン」などの擬音語で表わされるのが普通だが、歴史的には「ひよひよ」「べうべう」などと書いて「ビョウビョウ」と発音していた期間が長い(狂言などにその名残りを留める)。江戸時代に今のような「わん」が現われ、一時期両者が共存していた。その他の鳴き声および表記としては「ばうばう」「ぐるるるる」「うぉーん」「くーん」「きゃいーん」など。
「人間の最良の友 (Man's best friend)」と言われるように、その忠実さによるプラスイメージもあるが、東西のことわざや、「犬死に」「犬侍」「犬じもの」「負け犬」のような熟語では、よい意味で使われることはあまりない。また、忠実さを逆手にとって、権力の手先やスパイの意味で用いられえる。英語では雌犬を表すbitch が女性への罵倒語として使われる。 植物の和名では、イヌタデ、イヌビエなど、本来その名をもつ有用な植物と似て非なるものを指すのにしばしば用いられる。
イヌはマスコットや漫画など、現代のフィクションのキャラクターなどとしても頻繁に登場する。イヌがテーマとなった、あるいはイヌを主要なキャラクターとする映像作品・文学作品等については、イヌを主題とする作品一覧、架空の犬一覧、Category:架空の犬を参照。
歴史に名を残したイヌ
ノンフィクションの分野でも、忠犬ハチ公や南極物語などのように、実在した犬にまつわるエピソードや芸術作品などが数多く存在する。
- 1880年代
- 1900年代
- 1930年代
- 1950年代
障害犬
近年高まるペットブームの中、一部の悪徳業者によって無理な乱繁殖が行われ目、耳、脚などに障害がある犬が生まれている。生まれながら障害を発症している犬もいるが、生まれてしばらくしてから障害を発症する犬も少なくない。生まれながら障害を発症している犬は処分されることが多い。国はこうした障害犬の増加をうけ、動物管理法を改正し悪質業者を処分できるようになった。しかし、消費者の意識が変わらなければ障害犬を産む乱繁殖をとめることはむずかしい。
イヌの登場することわざ・故事成語
五十音順に並べる。
- 赤犬が狐追う
- 一犬影に吠ゆれば万犬声に吠ゆ
- 一犬虚に吠ゆれば万犬実を伝う
- 犬一代に狸一匹
- 犬が西向きゃ尾は東
- 犬が星見る
- 犬腹(いぬっぱら)
- 犬になっても大家の犬
- 犬になるなら大所の犬になれ
- 犬にも食わせず棚にも置かず
- 犬に論語
- 犬の川端歩き(犬川)
- 犬の糞で敵を討つ
- 犬の遠吠え(負け犬の遠吠え)
- 犬の蚤の噛み当て
- 犬は三日の恩を三年忘れず
- 犬骨折って鷹の餌食/犬骨折って鷹に捕らる
- 犬も歩けば棒に当たる
- 犬も頼めば糞食わず
- 犬も朋輩、鷹も朋輩
- 犬を喜ばせる
- 飢えた犬は棒を恐れず
- 兎を見て犬を放つ
- 内は犬の皮、外は虎の皮
- 大犬は子犬を責め、子犬は糞を責める
- 尾を振る犬は打てず/尾を振る犬は叩かれず
- 飼い犬に手をかまれる
- 鶏鳴狗盗
- 犬猿の仲
- 狡兎死して走狗烹(に)らる → 韓信#良狗煮らる、范蠡#引退
- 米食った犬が叩かれず、糠食った犬が叩かれる/笊(ざる)舐めた犬が科かぶる
- 夏の風邪は犬もひかぬ
- 夫婦喧嘩は犬も食わぬ
- 吠えぬ犬は噛まぬ
- 煩悩の犬追えども去らず
- 負け犬の遠吠え
- 羊頭狗肉
名前にイヌを持つもの
生物の名、特に植物の名で、イヌが付くものも多い。イヌの特徴などに似ていることによるものもあるが、多くの場合、イヌが付かないものに比べて、より有用性が低かったり、使えなかったり(=食用にならなかったり)することを意味する。
関連項目
- ドッグライフカウンセラー
- トリマー
- ブリーダー
- 血統書、 鑑札
- ドッグショー
- ドッグファイト
- ドッグフード
- ドッグイヤー
- 優位性攻撃
- AIBO
- クローン犬計画
- 宇宙犬
- 狂犬病
- ジステンパー
- フィラリア
- 体毛
- パブロフの犬
- 犬儒派
- 狛犬
- 犬神
- 犬神人(いぬじにん)
- 戌(十二支)
- イヌを主題とする作品一覧
- 架空の犬一覧
- 名犬
- 元犬(落語)
- 犬張子
- 人面犬
- 犬飯
- 犬追物(いぬおうもの)
- 犬吠埼
- 犬かき
- オオイヌノフグリ(植物)
- おおいぬ座、こいぬ座、りょうけん座
- ペーパーわんこ(ペーパークラフト)
外部リンク
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