マイナスイオン

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'''マイナスイオン'''は、主に空気中の過剰[[電子]]により[[イオン]]化した[[大気]][[分子]]の[[陰イオン]]を表すと思われる<ref group="出典" name="内科診療の実際"/>[[和製英語]]である。負の[[大気イオン]](negative air ions)または[[アニオン]](anion)を表すとする見解がある一方で、マイナスイオンは未だに物質が特定できる状況にないため、[[未科学]]の領域に属する存在と見る研究者もいる。また、国内の[[日本マイナスイオン応用学会]]や[[分子動力学]]などの分野では、陰イオンなどの意味でマイナスイオンという言葉が、学術用語として用いられている(詳細は後述)。実際には、現在{{いつ|date=2015年1月}}主流となっているゲルディエン式コンデンサ形イオン密度測定器 (Gerdien condenser) などを用い、JIS B9929:2006「空気中のイオン密度測定方法」に基づいて空気中の陰イオンを計測した結果をもって、マイナスイオンが発生していると主張する[[家電メーカー]]が大半である<ref group="出典">{{cite web|url=http://www.japan-ion.jp/ |title=日本機能性イオン協会 |langugae=日本語 |accessdate=2014年04月12日 }}</ref>。 マイナスイオンの健康面の効果については、いわゆる「マイナスイオンブーム」が巻き起こった1990年代の終わりから21世紀の初頭にかけて、十分な裏付けが得られないまま効能を謳うメーカーが数多く現れた結果、「[[似非科学]]商法」を糾弾する社会問題に発展した実態がある。ただし、負の大気イオンの生体・生物学的影響に関する研究を行った学術論文や書籍は幾つも存在する(詳細は後述)。また、[[厚生省]]の認可を受けた[[医療機器]]として、マイナスイオン電子波動投射装置([[マイナスイオン電子波動投射装置|AWG]])が存在する。 「実際には[[科学]]で言うところの[[陰イオン]]と(マイナスイオンは)無関係である」と主張する研究者も存在する。[[大阪大学]]の[[菊池誠 (大阪大学)|菊池誠]]教授は「イオンという[[科学]][[用語]]を使用してあたかも科学的に立証されているかのように誤解を故意に与える[[疑似科学]]・[[オカルト]]・[[霊感商法]]として関連物品の販売に使用されているのが実情である」と報告する<ref group="出典">[http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/nisekagaku/nisekagaku_nyumon.html ニセ科学入門] (大阪大学教授菊池誠の報告書)、 [http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1140679872 ニセ科学入門のマイナスイオン] </ref>。 ところが前段の菊池誠教授等の主張が事実と異なる点を疑問視して、いわゆる「マイナスイオン商法」を糾弾し続ける人々の指摘の信憑性をやや疑問視するむきもある。 近年{{いつ|date=2015年1月}}では、マイナスイオンの研究をさらに発展させて、[[クラスター (物質科学)|クラスター]]や[[OHラジカル]]やアニオンといった物理学の概念を導入することで、技術の向上を目指し、携帯型[[空気清浄機]]や[[ヘアドライヤー]]などの分野で、より付加価値の高い製品を生み出す動きも見られる。 == 概要 == 「マイナスイオン」という言葉は、[[20世紀]]の終わり頃から[[メディア (媒体)|メディア]]に頻繁に登場するようになり、[[1999年]]から[[2003年]]頃が[[流行]]のピークであった。日本の流行語となった<ref group="出典" name="ryukou"/>。この頃のマイナスイオンは、一見「科学用語」のようにみえる便利な「[[マーケティング]]用語」として、[[家電製品]]や[[衣類]]・[[日用雑貨]]などの[[キャッチコピー]]に頻繁に利用された、いわゆる「[[バズワード]]」の典型例の一つとみなされていた。 なお、[[家電メーカー]]13社からはマイナスイオンの定義として「空気中の原子や分子が電子を得てマイナスに帯電したもの」というほぼ共通した回答がある。一部に関しては特性に関する[[#家電メーカーの研究データ|自社の研究データ]]がある<ref group="出典" name="メーカー回答">「家電メーカーの回答 リフレッシュ効果の根拠ってこれだけ?」『食品と暮らしの安全』2003年12月、No176、pp8-9。</ref>。 家電製品のイメージは「[[健康]]によいもの」であったが、実態は[[#曖昧な「マイナスイオン」|統一的な定義もなく]]、健康に関して標榜されたさまざまな効果効能の中には[[#「マイナスイオン」研究の実態|科学的に研究されたものもある]]が、実証が不十分であるものが多い。「マイナスイオン」は「擬似科学」の代名詞ともいわれるようになり、現在{{いつ|date=2015年1月}}では多くのメーカーがあまり大きく宣伝しないようになるか、一定の距離を置くようになっている。また、他の概念を導入して、マイナスイオンとは異なる技術を謳う方向に移行する動きを見せる家電メーカーも存在する。 == 「マイナスイオン」の起源と流行 == 滝の近辺で空気が負に帯電する現象について、[[20世紀]]初頭前後にドイツの気象学者[[フィリップ・レーナルト]]が、「水滴が微細に分裂して摩擦することによって空気が負に帯電する」という[[レナード効果]]で説明した。ドイツを中心にこの現象の生理や病理との関連が研究され、日本でも[[1920年代]]から[[1930年代]]に同様の研究がおこなわれるようになったとされている<ref group="出典" name="イオンハンドブック">藤野薫・編著『マイナスイオンハンドブック』せせらぎ出版、2002年、ISBN 978-4884161095。</ref>。日本で[[1922年]]([[大正]]11年)に出版された『内科診療の実際』<ref group="出典" name="内科診療の実際"/>において空気中の陰イオン(英語で aero-anion、物理学・化学でいうイオンとは無関係である)を指して「空気マイナスイオン」という訳語が使われ、生理学的作用が報告された。[[1930年]]頃には病気に対する症例報告が行われるようになった<ref group="出典">青木文昭『マイナスイオンの治療効果を検証』タカタイオン医学研究所、2008年、ISBN 978-4806909620。</ref>。 その後、戦争によって研究の進展が停止したものの、20世紀後半に入って再び注目を集めるようになった<ref group="出典" name="イオンハンドブック"/>。 マイナスイオンの[[流行語]]としてのピークは[[2002年]]夏ごろである。当時「マイナスイオン商品」と呼ばれる様々な商品が大量に市場に溢れる現象がおこり社会問題となった<ref group="出典" name="metro1">[http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2006/11/20gbr500.htm 科学的根拠をうたったネット広告にご注意 "「マイナスイオン商品」表示を科学的視点から検証しました"]{{リンク切れ|date=2015年1月}}([http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/ 東京都・生活文化局]) 報道発表2006-11-27</ref><ref group="出典" name="metro2">[http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2006/11/DATA/20gbr500.pdf 「マイナスイオン商品」表示を科学的視点からの検証について]{{リンク切れ|date=2015年1月}}(PDF, 354KB, 14ページ)</ref>。それら商品は、マイナスイオンの効果効用を標榜するもののその実証はなく、またマイナスイオンが科学的に何を意味するのか(何の[[物質]]や現象を指すか)についての[[定義]]も明確ではなかった。それにも拘らず、それら商品の広告や関連の健康本では、「イオン」という科学用語を使った上でのあたかも科学であるかの如く表現されていたため、マイナスイオンは典型的な[[疑似科学]]用語であるとされた<ref group="出典">[http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/nisekagaku/nisekagaku_nyumon.html ニセ科学入門] (大阪大学教授菊池誠の報告書)、 [http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1140679872 ニセ科学入門のマイナスイオン] (報告書へのコメント)</ref>。このような、あたかも科学的に健康効果があるかのようにみせる表現は、消費者を欺き商品の購買意欲を誘うものとして問題視されている。 === マイナスイオン「健康論」の起源 === 換気論の分野で、[[19世紀]]末から[[20世紀]]初頭の[[欧米]]で一部の学者(1910~1920年頃のSteffens、Dessaurなど)が負の[[空気イオン]](negative ions、negative air ions)が健康に好影響を与えるとする仮説を主張していた<ref group="出典">平凡社『世界大百科事典』の換気の項参照</ref>。西川義方<ref group="脚注">元・宮内省侍医、元・東京医大教授</ref>らが医学書<ref group="出典" name="内科診療の実際">西川義方、西川一郎『内科診療の実際』南山堂、1922年(絶版)。([https://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9832221307 書籍情報]{{リンク切れ|date=2015年1月}})</ref>に「空気マイナスイオン」と訳語を記載し、生理学的効果を検証報告したことから国内でも知られるようになった。1930年代には、空気イオンによる療法として特に日本やドイツで陰イオンと陽イオンの病気が病気にどのような影響を与えるかという研究論文が医学会誌に掲載された<ref group="出典" name="イオンハンドブック"/>。[[1940年]]前後には、[[北海道帝国大学]]医学部で空気イオンの医学的研究をしていた木村正一らが欧米の学者の説と自身の研究をまとめて出版した<ref group="出典">木村正一、谷口正弘『空気イオンの理論と実際』南山堂、1938年(絶版)。</ref><ref group="出典">井上善一郎『空気イオンの医学的研究』北隆館、1946年(絶版)。</ref>。空気イオン説が国内で言われるようになったのは、これらの医学書の記述が発端となっている。 これらの研究による検証は単純な[[二元論]]であり、すなわち、負イオンは健康に好影響を与え、正イオンは悪影響を与えるとする臨床的な実証がなされた。ただ、マイナスイオンが体に良く、プラスイオンが体に悪いという白黒二分法的な理論の科学的根拠はない。ニセ科学の一種である。南風が吹くと空気のプラスイオンが増えるため、人の精神に悪影響を与え犯罪発生率が上がると主張され、スイスではプラスイオン量が増大する[[フェーン現象]]は犯罪の実刑が軽くなる情状酌量の証拠として認定されている<ref group="出典" name="イオンハンドブック"/>。 日本以外の国では、 健康機器としてion generating device(イオン発生装置)が[[1950年代]]頃に一時流行したことがあった。しかし[[1960年代]]初頭には、イオン発生装置や副産物の[[オゾン]]に対して[[アメリカ食品医薬品局]] (FDA) が警告を出したことにより、イオン発生装置は健康市場から制限を受けることになった<ref group="出典">Kinne, Stephen M., "A public health approach to evaluating the significance of air ions", AEROSPACE MEDICINE AND BIOLOGY, NASA SP-7011 (449), pp.10-11, 1997.([http://www.sti.nasa.gov/Pubs/Aeromed/med449.pdf PDF書類]{{リンク切れ|date=2015年1月}})</ref>。結果として業者らは、空気清浄機として販売しなければならない状況になった<ref group="出典">{{cite web|url=http://www.air-purifier-power.com/ionic-air-purifier.html|title=Ionic air purifier: "Ionic" needs clarification|last=Air-Purifier-Power|langugae=英語 |accessdate=2007年8月30日 }}</ref>。 これらの空気イオン商品は数十年後の[[1990年代]]、「マイナスイオン商品」と名称を変えて日本に再登場した。 === あるある大事典とマイナスイオンブーム === 1990年代後半から、マイナスイオン商品は散発的に販売されていたが、ブームのきっかけは[[1999年]]から[[2002年]]にかけて、テレビの情報バラエティ番組「[[発掘!あるある大事典]]」<ref group="脚注">後継の「[[発掘!あるある大事典2]]」は2007年1月に[[捏造]]発覚をきっかけに番組[[打ち切り]]、同年4月には同番組の制作局であった[[関西テレビ放送]]の社長が辞任した。</ref>がマイナスイオンの特集番組を放送したことであった<ref group="脚注">番組にはマイナスイオン専門家を自称する[[堀口昇]]、[[山野井昇]]、[[菅原明子]]ら(三者ともマイナスイオン関連の大量の著作がある)が出演していた。</ref>。番組ではマイナスイオンの効能が謳われ<ref group="出典">{{cite web|url=http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/AruAru.htm|title=あるある大事典訂正 市民のための環境学ガイド|date=2000-12-09|last=安井 至||authorlink=安井至|langugae=日本語 |accessdate=2007年8月27日 }}</ref>、ブームに火がつき、マイナスイオンは[[2002年]]の[[流行語]]となった<ref group="出典" name="ryukou">[http://www.dentsu.co.jp/trendbox/adnenpyo/r2002.htm 広告景気年表:2002年]{{リンク切れ|date=2015年1月}}([[電通]]) この年の流行語:タマちゃん、W杯、中津江村、貸し剥がし、声に出して読みたい日本語、真珠夫人、ダブル受賞、内部告発、ベッカム様、ムネオハウス、拉致、びみょー、GODZILLA(ゴジラ)、プチ整形、イケメン、食肉偽装、マイナスイオン、ワン切り、○○再生(リンク先サイトより引用)、[http://singo.jiyu.co.jp/nendo/2002.html 流行語大賞 2002 年](自由国民社)大賞はタマちゃん、マイナスイオンは入賞せず落選。</ref>。 当時の家電市場は不況<ref group="脚注">家電最大手の松下電器産業(現 パナソニック)は、2001年度には約4200億円の赤字を出している。</ref>であり、大手家電各社はなりふりかまわず様々なマイナスイオン商品を販売したが、その効果効能の実証をしてはいなかった。2002年の家電販売店の店頭は一時マイナスイオン商品で溢れかえる事態となった。そのため、2002年上半期の[[日本経済新聞社]]発表のヒット商品番付では、マイナスイオン家電が[[小結]]にランクされた。家電以外でも、[[繊維]]製品や雑貨品各社もブームに便乗して、マイナスイオン効果を謳う商品を市場に投入した。これらの商品も臨床実証がされぬまま、情緒的に効果や効能が謳われた。 === 流行の実態 === 「マイナスイオン専門家」<ref group="脚注">堀口昇、山野井昇、菅原明子など。</ref>のステレオタイプな説明では、「マイナスイオンは常に好ましいもの」であり、対して「プラスイオンは様々な害悪を発生させる根元」とされる。そして[[善悪二元論]]の論理でマイナスイオンを身の回りに満たす方法を提唱した。 マイナスイオンの健康問題を扱う一般書籍<ref group="出典">[[堀口昇]]『マイナスイオンが生命危機の時代を救う』健友館、1996年、ISBN 4773703423。</ref><ref group="出典">[[山野井昇]]『マイナスイオンの健康学』サンロード、1995年、ISBN 4914986396。</ref><ref group="出典">[[菅原明子]]『マイナスイオンの秘密―心を癒し健康をつくる』PHP研究所、2003年、ISBN 4569579027。</ref>やマイナスイオン商品の広告<ref group="出典">[http://www18.ocn.ne.jp/~ionmedic/ マイナスイオン発生器広告(吹上商事)]{{リンク切れ|date=2015年1月}}(マイナスイオンは細胞の酸化を防ぎ、新陳代謝を活性化する働きがあるとの記述がある)</ref><ref group="出典">[http://www.bigflat.on.arena.ne.jp/follow/environment/Vitamin-kun/vitamin-kun.html マイナスイオン発生器広告(空気のビタミンくん)](マイナスイオンは細胞の酸化を防ぐ効果があるとの記述がある)</ref><ref group="出典">[http://www.ecoworks.jp/ マイナスイオン発生器広告(ファインの滝)](マイナスイオンの血液浄化作用、臓活作用、抵抗力の増進作用等の記述がある)</ref>の中には、科学としてマイナスイオンによる効能を扱うものが見られる。 マイナスイオン商品の解説や健康本の著述の中には、「マイナスイオンが[[疲労]]回復・[[精神]]安定を始めとする様々な[[健康]]増進効果をもたらす」と主張するものがあるが、これらの効果は客観的に証明されたものではないものが多くある<ref group="出典" name="メーカー回答"/>。また、本来のイオンとは関連性のない効果や現象を混合したものもマイナスイオン効果と呼称している場合もある。 雑誌・健康本の世界では、実証されていない様々な効果効能が標榜された。健康増進に寄与することが実証されていなくとも、商品販売とは関係がなければ、書物の記述は医薬品医療機器等法の規制対象外であるためである。これらの言説がマスコミ(特に[[テレビ]])や[[インターネット]]で引用され、拡大再生産された(参考:[[アカデミック・マーケティング]])。 流行が過熱した[[2002年]]頃には、流行に便乗して様々な「マイナスイオン商品」が発売された。[[エアコン]]・[[冷蔵庫]]といった大型で高価な家電製品、衣類・タオル・マスクなどの繊維製品、マッサージ器やドライヤーなどの健康機器・美容機器、芳香剤・消臭剤などの[[日用品]]、自動車用品<ref group="出典">[http://www.store-mix.com/ko-bai/product.php?pid=390098 「マイナスイオン21」燃費向上装置]</ref><ref group="出典">[http://www.c-able.ne.jp/~tada4-ya/ 燃費削減マイナスイオン16,000ionsセラミックグッズ]</ref>、[[パーソナルコンピュータ|パソコン]]<ref group="出典">[http://esp2003.hp.infoseek.co.jp/m_shame.html 恥かしい商品批評1(日立:マイナスイオン付きパソコン)]{{リンク切れ|date=2015年1月}}</ref>、パソコン関連製品など多岐にわたっている。また、マイナスイオンを発生させるという触れ込みの商品であっても、実際には単なる置物・装飾品・印刷物<ref group="出典">たかはし じゅんいち 『[[秋吉久美子]]写真集』 [[バウハウス]]、2003年、ISBN 978-4-89461-957-9 ([[ヘアヌード]]写真集、帯の表示は「世界初!マイナスイオンが発生する写真集」)</ref>であるものも存在した。何かが発生しているように見せかけるため、[[音]]や[[光]]を出す商品や説明文書を添えた商品も存在した<ref group="出典">[http://www.salt-crystal.net ソルトクリスタルランプ『[[岩塩]]ランプのメーカー直営 公式ショップ』]</ref>。 === 景表法改正による取締り強化とブーム沈静化 === [[2003年]]になると、[[景品表示法]]が改正され商品の表示に対しては合理的な根拠が要求されることとなり、マイナスイオンブームの逆風となった。法施行後、大手家電はマイナスイオン家電のパンフレットから効果効能の記述を削除し、そして販売自体が中止されたマイナスイオン家電も多く出た。2003年、国民生活センターは、マイナスイオンを冠した商品すべてに科学的に健康効果が実証されているわけではないと報告している<ref group="出典" name="国民生活センター学識者意見">{{cite web|url=http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20030905_2.html|title=マイナスイオンを謳った商品の実態-消費者及び事業者へのアンケート、学識経験者の意見を踏まえて-(報道発表資料)|last=国民生活センター|date=2003-09-05|langugae=日本語 |accessdate=2007年8月27日 }}</ref>。2003年8月には、マイナスイオンブームの旗手であり、マスコミに頻繁に登場していた[[堀口昇]]が経営するメーカーが製造するマイナスイオン器具関係が薬事法(現・[[医薬品医療機器等法]])違反で行政処分を受けた。これ以降、堀口昇がマスコミに取り上げられることは稀となった。2004年になると、マイナスイオン関連製品の月別発表件数は最盛期(2002年8月)の1/10以下となり、マイナスイオンブームは沈静化した<ref group="出典">{{cite web|url=http://www.n-ion.com/trend_1604.html|title=マイナスイオン関連製品 月別発表件数他社製品動向~「平成16年4月度」|last=イオントレーディング|langugae=日本語 |accessdate=2007年8月27日|deadlinkdate=2015-01-23 }}</ref>。沈静化した後もマイナスイオン製品の効果効能を信じる、あるいは期待する消費者はいるが、効果を実感できなかったという消費者のアンケート結果が公開されたことや、効果の究明が全く不十分と指摘する学識経験者の声が広まり、またメーカーが効果を検証していないことが明らかになるに従い、効果を疑問視する消費者も増えてきた<ref group="出典">{{cite web|url=http://www.jc-press.com/news/200309/03090507.htm|title=マイナスイオン商品の人体効果、半数以上が疑問視、専門家は「効果なし」と指摘|last=日本消費者新聞|date=2006-09-15|langugae=日本語 |accessdate=2007年8月27日|deadlinkdate=2015-01-23 }}</ref>。さらに2006年11月には、[[東京都]]は科学的根拠が薄弱なマイナスイオン商品に対して、複数の業者に対し資料提出要求及び[[景品表示法]]を守るよう指導を行った([[#東京都生活文化局の対応|後述]])。また[[2008年]]2月には、マイナスイオン等による「自動車の燃費向上グッズ」が効果無しとして、業者19社が[[公正取引委員会]]によって排除命令を受けた<ref group="出典">[http://www.jftc.go.jp/pressrelease/08.february/08020801.pdf 自動車の燃費向上等を標ぼうする商品の製造販売業者ら19社に対する排除命令について]{{リンク切れ|date=2015年1月}} (平成20年2月9日, 公正取引委員会) - [[景品表示法]]第4条第2項の規定により、同条第1項第1号([[優良誤認]])に該当する表示。</ref>。現在{{いつ|date=2015年1月}}ではかつてのマイナスイオンのブームは終結しており、大手家電メーカーがマイナスイオンを機能として表示しているものはドライヤーくらいであるが、これも除電機という昔からある概念で説明ができる。しかし、一部の家電業者は現在{{いつ|date=2015年1月}}も[[エア・コンディショナー|エアコン]]・[[扇風機]]・[[加湿器]]・[[除湿機]]等の商品をマイナスイオン機能付きで販売しており<ref group="出典">[http://www.citygas.co.jp/shop/4011.html 森田電工マイナスイオン扇風機★MORITAスリムファンMF-361SF]{{リンク切れ|date=2015年1月}}</ref>、また地方の観光地などでは、ブームの名残りの商品が販売されていることがある<ref group="出典">[http://miyage.ono-city.jp/store/kougei/takesumi/takesumi.htm お土産品紹介 (お店一覧)]{{リンク切れ|date=2015年1月}} - 越前竹炭生産組合 </ref>。また、一部の企業は、名称を変えたのみの商品を販売しているところもある([[マイナスイオン#マイナスイオン効果およびイオンの効果を標榜している大手家電企業|後述]])。 青森県の[[八戸学院大学]]では、同県に所在する[[奥入瀬渓流]]の「マイナスイオン」値を測定し、マップにして配布していたが、一部研究者からの指摘を受け、自主回収することとした。 == 曖昧な「マイナスイオン」の定義 == === 様々な定義で用いられている現状 === マイナスイオンは[[自然科学]]の用語ではない。マイナスイオンの健康本<ref group="出典">堀口昇、山野井昇 『マイナスイオンが医学を変える』 健友館、1995年、ISBN 4773703350</ref>やマイナスイオン商品<ref group="出典">[http://www.n-ion.com/product/ マイナスイオン商品カテゴリ] (マイナスイオンの専門サイト・イオントレーディング - より)</ref>などによって、イメージが形作られた造語である。 こうした文脈では、「マイナスイオン」という用語は、科学的な標準定義がなく使用者により異なる意味で用いられている。例えば、「マイナスイオンとは[[電子]]e<sup>-</sup>である」<ref group="出典">{{cite web|url=http://www.minusion.jp/ion/contents/ion.htm|title=マイナスイオンパビリオン-マイナスイオン講座|last=日本マイナスイオン応用学会|langugae=日本語 |accessdate=2007年8月27日 }}</ref>、「原子、分子に電子を付着させた状態がマイナスイオン」<ref group="出典">{{cite web|url=http://www.isj-imaging.org/word_collection/word1.htm|title=画像技術用語集(Web版)|last=日本画像学会|langugae=日本語 |accessdate=2007年8月27日 }}</ref>など様々な相互に矛盾する記述が散見される。 なお科学分野の事典で唯一「マイナスイオン」の記述が掲載されている『科学大事典第2版』<ref group="出典" name="jiten">(財)国際科学振興財団編『科学大事典第2版』[[丸善]]、平成17年。([http://pub.maruzen.co.jp/book_magazine/book_data/search/4621075217.html 書籍情報])</ref>では印象記述にとどまり、マイナスイオンの科学的な標準定義の記述等はない。 製品表示の記述では、マイナスイオンに様々な意味・イメージが付与されているが、一例として2002年に[[掃除機]]にマイナスイオンブラシを取り付けた松下電器産業(現 [[パナソニック]])は[[摩擦帯電]]の意味で使用した。また、一部の洗剤など液体の表示にも「マイナスイオン」が記述されることがあった<ref group="出典">[http://www.n-ion.com/explorer/product.html?/%90%F4%8D%DC%93%99/ マイナスイオン探検隊 洗剤等]{{リンク切れ|date=2015年1月}}(イオントレーディング)</ref>。この場合は液中の何らかの成分を指しているはずであり、大気イオン(後述)とは異なる。 このように「マイナスイオン」は、定義が曖昧で意味が統一されていないという側面があるが、一般的には以下に述べるように陰イオンや負イオンを指す。 === 「大気イオン」と国内の空気イオンの生体に対する研究 === 1922年(大正11年)に空気中の過剰[[電子]]によりイオン化した分子の[[陰イオン]](英語でアニオン、anion)を指して、生理学的な研究報告の際に訳語として紹介された<ref group="出典" name="内科診療の実際"/>[[和製英語]]<ref group="脚注">国内において一部で minus ion という英称が用いられる例があるが、和製英語であるため日本人以外が使用することは稀であり、欧米の学術誌にも殆ど用いられない。</ref>である。これが空気マイナスイオンという和製英語が生まれた起源である。 なお[[通商産業省]]の先端技術の紹介文献において、水溶液中のイオンの状態をあらわす用法としても用いられたことがある<ref group="出典" name="通産省">通産省産業構造課『最先端技術の常識』講談社、ISBN 978-4062019965</ref>が、科学技術用語としては「負イオン」が正しい用法である。 『科学大事典 第2版』や[[山形大学]]データベースアメニティ研究所の説明<ref group="出典">{{cite web|url=https://a.yamagata-u.ac.jp/amenity/Knowledge/KnowledgeWeb.aspx?DSN=Electrochem&nKnowledgeID=2369|title=マイナスイオン|last=山形大学データベースアメニティ研究所|langugae=日本語 |accessdate=2007年8月29日 }}</ref>では、「マイナスイオン」を負の[[大気イオン]]と解釈する記述がある<ref group="脚注">[[大気イオン]]自体は大気電気学分野の科学用語である。負の大気イオンの英名は''negative air ions''である</ref>。 またマイナスイオン業者の「マイナスイオン商品」の説明文<ref group="出典">{{cite web|url=http://tenant.depart.livedoor.com/t/s_n-ion/feature_content?id=7250.html|title=マイナスイオンとは?|last=イオントレーディングlivedoor店|langugae=日本語 |accessdate=2007年8月29日 |deadlinkdate=2015-01-23}}</ref>において、負の大気イオンのことを「マイナスイオン」と呼ぶ例が見られる。このように「マイナスイオン」と「大気イオン」を混同する事例があるが、本来後者は大気電気学における厳密な学術用語で、20世紀前半にも空気イオンと病気との関連が医学会誌において研究論文が発表されている。国内でマイナスイオン研究の主導的立場にある[[#マイナスイオン研究推進の立場からの総説的文献|研究者ら]]や、他の[[日本人]]研究者たちは、国内の[[学会]]において、負の大気イオンを「マイナスイオン」と呼んで生体・生物学的影響に関する研究発表を行っている([[#日本国内のマイナスイオン研究の実情|後述]])<ref group="脚注">ただし、これらの学会では、学会の方針として「マイナスイオン」の生体・生物学的影響に取り組んでいるのではなく、研究者に発表の場を提供しているに過ぎない。</ref>。 『大気電気学概論』では、両者の混同を避けるために以下のような記述がある<ref group="脚注">この『大気電気学概論』引用箇所の執筆者はマイナスイオン研究を推進している[[小川俊雄]]である。</ref>。 {{quotation|[[大気電気学]]では[[負イオン]] (negative ion) と呼ぶが、健康問題に関係するときはマイナスイオンと呼んでいるので、以下、この呼び方をする。また、[[正イオン]] (positive ion) のことをプラスイオンと呼ぶ。|{{cite book|和書|author=日本大気電気学会編|title=大気電気学概論|edition=初版|page=144|publisher=コロナ社|date=2003年3月}}}} 家電メーカー13社は「空気中の原子や分子が電子を得てマイナスに帯電したもの」というほぼ共通した定義を回答している<ref group="出典" name="メーカー回答"/>。 === 国内の物理学 === 国内の[[物理学]]分野では、[[イオン#陰イオン|陰イオン]]の意味で「マイナスイオン」が使われる例があり、例えば[[独立行政法人]][[理化学研究所]]の[[分子動力学]]研究において「プラスイオン」、「マイナスイオン」という用語が用いられている<ref group="出典">{{cite web|url=http://atlas.riken.go.jp/simple/jp/program/claret.html|title=リアルタイムMDシミュレーションプログラム|last=独立行政法人理化学研究所戎崎計算宇宙物理研究室|langugae=日本語 |accessdate=2007年9月1日 }} (MD = [[分子動力学]])</ref>ほか、[[日本学術振興会]]総合研究連絡会議透明酸化物光・電子材料第166委員会でも[[結晶]]中の[[ナノ]]構造に関連して「マイナスイオン」が用いられている<ref group="出典">{{cite web|url=http://web.jsps.go.jp/j-grantsinaid/06_jsps_info/g_040818/suisen_pdf_2004/16gs0205_souken.pdf|title=創造的・革新的・学際的学問領域を創成する研究課題への推薦文|last=独立行政法人日本学術振興会総合研究連絡会議透明酸化物光・電子材料第166委員会|langugae=日本語 |accessdate=2007年9月1日|deadlinkdate=2015-01-23 }}</ref>。 === 物質は何か? === マイナスイオンは、物質が特定できるような状況にない。 そこで参考までに、負の「大気イオン」と仮定して概略説明する。[[大気イオン#組成|負の大気イオンの組成]]は、[[大気]]の条件や[[大気イオン#生成|大気イオンの発生方法]]により異なる場合があることから、[[#マイナスイオン発生器|マイナスイオン発生器]]等で発生させた[[雰囲気]] (atmosphere) 中の「マイナスイオン」を[[物質]]として特定するためには、[[大気イオン#質量分析|大気イオンの質量分析]]を<span style="text-decoration:underline">その都度</span>行う必要がある。しかし[[#「マイナスイオン」研究の実態|「マイナスイオン」の学術的な研究]]においては、質量分析は一部<ref group="出典" name="sp">{{cite web|last=西川 和男|authorlink=西川和男|coauthors=[[野島秀雄|野島 秀雄]]|url=http://www.sharp.co.jp/corporate/rd/21/pdf/86-03.pdf|title=放電プラズマにより生成したクラスターイオンを用いた気中ウィルス不活性化技術、シャープ技報、Vol.86、pp.10-15、2003|format=PDF|langugae=日本語 |accessdate=2007年8月27日 }} 本論文では、大気イオンを[[クラスターイオン]]と表記しているが、これは大気イオンがクラスターイオンとして大気中に存在しているからである。なお、ほぼ同内容の論文は日本化学会発行[http://www.chemistry.or.jp/journals/kakou/cimok/ci03-8.html 「化学と工業」、Vol.56、No.8]にも掲載されている)</ref>を除いて実施されていない。「マイナスイオン商品」の説明においても同様で、この商品が発生させた「マイナスイオン」が実際にどのような[[物質]]を指すのかを明示しているものはない。 2006年11月には、イオン発生量の測定方法がJIS規格化された。(後述) == マイナスイオン商品 == {{宣伝|section=1|date=2012年11月}} === マイナスイオン効果および空気中のイオンの効果を標榜している家電企業 === ;マイナスイオン商品を販売する家電企業 * [[コロナ]] (製品:窓用エアコン) 2010年4月 * [[三洋電機]] (製品:ドライヤー<ref group="出典">[http://www.e-life-sanyo.com/drier/index.html ドライヤー/ヘアカッター | 三洋電機]</ref>) 2007年12月現在 * [[東芝]] (製品:ドライヤー<ref group="出典">[http://www.toshiba.co.jp/living/cosmetic_helth/index_j.htm 美容・健康器具:家電製品 Toshiba Living Doors]</ref>、除湿機<ref group="出典">[http://www.toshiba.co.jp/living/webcata/aircon/rad_80dhx.htm 東芝マイナスイオン除湿機 RAD-80DHX/63DHX(生産終了製品)]</ref>) 2007年12月現在 * [[日立製作所]] (製品:ドライヤー<ref group="出典">[http://kadenfan.hitachi.co.jp/ioncare/index.html 日立の家電品 : イオンケア]{{リンク切れ|date=2015年1月}}</ref>、掃除機<ref group="出典">[http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/hl/news/2002/0523/index.html HITACHI : News Release : 5/23]</ref>、冷蔵庫<ref group="出典">[http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/hl/news/2002/0805/index.html HITACHI : ニュースリリース : 2002年8月5日]</ref>、インテリアライト<ref group="出典">[http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/hl/news/2002/0807/index.html HITACHI : ニュースリリース : 2002年8月7日]</ref>) 2007年12月現在 * [[テスコム]] (製品:ドライヤー<ref group="出典">[http://www.tescom-japan.co.jp/products/beauty/ione/index.html 株式会社テスコム|マイナスイオン]</ref>) 2007年12月現在 ;参考:空気中にイオンを産生する家電を販売する企業 * [[パナソニック]] 「ナノイー([[OHラジカル]])」(製品:ナノイー発生機、空気清浄機、エアコン、加湿器、洗濯機、ドライヤー、冷蔵庫等) 2009年9月<ref group="出典">『09ナノイーブック』パナソニック株式会社 アプライアンス・ウェルネス マーケティング本部、2009年9月1日</ref> * [[シャープ]] 「[[プラズマクラスター]](プラスのイオンとマイナスのイオン)」(製品:エアコン等) 2010年4月 * [[東芝]] 「ピコイオン」 * [[東芝キヤリア]] 「スゴイオン(マイナスのイオン)」(製品:エアコン) 2010年3月 * [[日立アプライアンス]] 「イオンミスト」(製品:エアコン) 2010年4月 * [[富士通ゼネラル]] 「プラズマイオン」(製品:エアコン) 2010年5月 * [[三菱電機]] 「ピュアミスト」(製品:エアコン) 2010年4月 * [[三菱重工業]] 「プラズマ4Dイオン(マイナスのイオン)」密閉容器内のウイルスの抑制(製品:エアコン) 2010年12月 このようにマイナスイオンという言葉を宣伝に用いる企業もあれば、独自の名称を用いる企業もある<ref group="脚注">この独自名称は登録商標となっているものもある。一部の大手企業では研究や検証を基に製品に表示する効果を説明している。それ以外では未だに漠然とマイナスイオンという言葉を用いて、検証されていない効果を謳う商品も販売しており、景品表示法違反の可能性がある。</ref>。 2010年春モデルのエアコンでは、コロナがマイナスイオンを採用しているが、独自の名称のイオンの発生機を搭載しているメーカーが多く、プラスかマイナスかすらカタログに記載していないメーカーもある。 === 業者が主張するマイナスイオンの効能 === ==== 業者の主張 ==== 既出のように、大気中には大気イオンが微量であるが存在している。大気汚染がある場合や、人工空間等では、大気中の帯電粉塵により中和され、大気イオン濃度は小さくなる。これは科学的な記述である。 しかし、マイナスイオン商品を販売する業者は論理を飛躍させて、実証されていない健康効果や検証されていない効果を述べる(例:「滝の側で高イオン値が観測されるとして、滝の側の爽快感はマイナスイオンが豊富だからだ」などと主張する)。確かに滝の側で爽快感を得ることはあるが、これは飛び散った細かな水滴が気化する時の[[気化熱]]による空気の冷却<ref group="脚注">気化熱で空気を冷却する例としては近年{{いつ|date=2015年1月}}話題の[[ドライミスト]]などがある</ref>による涼しさ、[[都会]]の喧騒から離れたことによる静けさ(滝の音のみ聞こえる)や空気の清浄さ(車の排ガスなどのない)、また木々の[[緑]]が[[目]]に及ぼす優しさ等、普通に想定される快適要因による説明で十分であり、あえて科学的に実証されていない「マイナスイオン」を原因として持ち出す必要はない<ref group="脚注">[http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1163864085 論理: マイナスイオン](kikulog by 菊池誠) </ref>。 人工空間のような非自然的環境では「プラスイオン」が多く存在しており、これらが様々な[[疾患]]の原因であるとの主張もある。中にはプラスイオンが精神の混乱や荒廃を促し、[[犯罪]]を引き起こす原因であると主張するものもある<ref group="出典">[http://trendyaim.com/html/ion.html マイナスイオンとは]{{リンク切れ|date=2015年1月}} 株式会社トレンディアイム - 「(リンクサイトより引用)プラスイオン環境の暮らしの中で知らないうちに、体だけでなく脳も酸化してしまったためだと言われています。そのため自律神経のバランスを崩し、善悪の区別がつかなくなり、凶悪犯罪が増えてきているとも言われています」</ref>。 マイナスイオン同様、「プラスイオン」も科学的に定義されていない。このプラスイオンと疾患の因果関係は、科学的・医学的に実証されたものではない。 ==== マイナスイオン商品が標榜する効能 ==== マイナスイオン商品が標榜する効能としては、精神安定・[[不眠]]の改善、[[アレルギー]]の抑制・[[血液]]浄化といった人体に直接作用するものから、空気浄化、[[脱臭]]、[[除菌]]といった環境に作用するものなどがある。 様々な商品が様々な効能があることを直接・間接に示唆しつつ販売された。 これらの効能は実証されていないものが多いため<ref group="脚注">一部は、大学・病院・企業のマイナスイオン研究者が効果の検証が試みた例もある。しかし、その検証も、学術的に確実な効果の実証はなされず、機序の解明がなされたものもない。また機序に関して合理的な仮説もない。</ref>(後述)、2003年の景品表示法の改正以降、研究データを持っていない大手メーカーは「マイナスイオン」を宣伝文句としては避けざるをえない。 マイナスイオンの疑似科学性を批判してきた統計物理学者の[[菊池誠 (大阪大学)|菊池誠]]は、[[2005年]]には「帯電した細かな水滴は加湿効果くらいはあるだろうが、科学的に効果が明らかになっていない商品は[[疑似科学|ニセ科学]]である」と述べている<ref group="出典">{{cite web|url=http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/nisekagaku/nisekagaku_nyumon.html|title=ニセ科学入門|last=菊池 誠|authorlink=菊池誠 (大阪大学)|date=2006-02-23|langugae=日本語 |accessdate=2007年8月27日 }}</ref><ref group="出典">{{cite web|url=http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1140679872|title=ニセ科学入門のマイナスイオン|date=2006-02-23|last=菊池 誠|authorlink=菊池誠 (大阪大学)||langugae=日本語 |accessdate=2007年8月27日 }}</ref>。 行政は不実証の効果効能標榜に対し規制取締りを行っている。特に人体への作用と標榜するものに対しては医薬品医療機器等法違反となる。例えば、[[2007年]]に[[東京都]]はマイナスイオン関連商品に対して「病気の治療を目的として使用することを標ぼうする場合は医療機器に該当」するとし、薬事法(現・医薬品医療機器等法)違反を警告している。またここでいう「問題となる標ぼう」について、「血液をサラサラ」、「心臓病の予防精神安定」、「不眠症の解消」、「体細胞の活性化」等の具体的事例を挙げて説明している<ref group="出典">「[http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kenkou/iyaku/sonota/koukoku/siryou/files/suraido.pdf 平成19年度 医薬品等広告講習会]{{リンク切れ|date=2015年1月}}」(東京都 福祉保健局 健康安全室 薬事監視課 監視指導係, 平成19年10月10日)</ref>。 ==== 家電メーカーの研究データ ==== 2003年に、家電メーカー13社から回答を得たところ、「脱臭」「保湿」「静電気の抑制」「集塵」といった費用・技術的に実証しやすいものは各社実験で確認済みであったり、ドライヤーに関しては松下(現パナソニック)が毛髪水分量や髪をしっとり・サラサラにさせるというデータを、日立製作所が髪の水分保持に関するデータを持っていた<ref group="出典" name="メーカー回答"/>。 ===== シャープによる除菌効果の検証 ===== 大手家電メーカーの[[シャープ]]は除菌効果があるとするイオンを放電する装置を販売している。シャープは、[[放電]]により生成した大気イオンに除菌効果があるとし、これを「プラズマクラスター」と名付けてエアコンや冷蔵庫を販売している。開発者による技報<ref group="出典" name="sp"/>によると、除菌効果は放電で同時に発生した[[オゾン]]によるものではなく、マイナスイオンとプラスイオンの反応により生成した[[活性酸素]](OH[[ラジカル (化学)|ラジカル]]など)の[[タンパク質]]変性作用が[[ウイルス]]を不活性するとしている。シャープはマイナスイオンとプラスイオンを放電する[[プラズマクラスター]]イオン技術<ref group="出典">[http://www.sharp.co.jp/corporate/news/081023-b-2.html 2009年度 エアコン キレイオン <SXシリーズ> 7機種を発売・詳細](ニュースリリース:シャープ)</ref>に対して、同社の特許技術<ref group="脚注">[http://v3.espacenet.com/publicationDetails/originalDocument?CC=JP&NR=2002095731&KC=&FT=E 特開2002-095731]。この名称と技術を用いているのは[[2009年]]現在シャープのみである。</ref>である「プラズマクラスター」という登録商標を使用している。 「除菌効果の実空間での実証」が開発者以外の第三者によってなされた科学論文は2007年現在のところ存在しない。同社は、広島大学、大阪市立大学、ハーバード大学、ソウル大学など国内外の複数機関で研究を行い効果を実証しているとしている<ref group="出典">[http://www.sharp.co.jp/shiromonokaden/pci/ 「プラズマクラスター」は、シャープだけ]{{リンク切れ|date=2015年1月}} (SHARP)</ref><ref group="出典">[http://www.sharp.co.jp/plasmacluster/effect/index.html プラズマクラスターの効果] (SHARP、2010年)</ref>。なお、有効な特許について「特許発明の技術的範囲」に則った説明が[[景品表示法]]違反になった例は、未だに存在しない<ref group="脚注">ただし、医薬品医療機器等法に抵触すること(健康への効果など)は特許であっても広告に用いることはできない。</ref>。 シャープは製造した「プラズマクラスター」を組み込んだ掃除機に関して、空気中に浮遊しているダニの糞や死骸等のアレルギーの原因となる物質を分解、除去すると広告で表示していたが、2012年11月28日、消費者庁が外部の研究機関に依頼して調べた結果、表示された通りの性能が出なかったため、同社に対し不当景品類及び不当表示防止法違反(優良誤認)で再発防止を求める措置命令を出した。 === マイナスイオン発生器 === ==== 市販されている発生器の種類 ==== 市場では、マイナスイオンを発生すると称する様々な商品が販売されている。 代表的なものは以下のとおり。 # コロナ放電方式発生装置 # 電子放射方式発生装置 # プラズマを利用した発生装置 # レナード方式発生装置 # 天然鉱石を用いるもの ― [[トルマリン]]鉱石等 # 植物の加工品 ― 木炭、竹炭 # その他 ― 観葉植物([[サンセベリア]])等 1 - 3はいずれも放電により大気を電離させる。[[コロナ放電]]のような[[無声放電]]では、人体に有害な[[オゾン]]が発生する。 4は[[レナード効果]](水滴分裂による帯電)によるものである。この場合、負イオン濃度だけでなく、湿度も増加させる。 5の[[トルマリン]]の結晶は、その[[圧電効果]]や[[焦電効果]]により、衝撃や熱が加えられると大気を電離させて負イオンを発生させる可能性がある。しかし、常時、歪みや熱が加えられなければこの状態は続かず、静止状態では負イオンは発生しない。また粉末状のトルマリンでは電離に必要な電圧が出るとは考えられない<ref group="出典" name="yasu1"/>。そのため、原料のトルマリン粉に[[放射性同位元素]]を混入した商品が存在する。この場合は放射性同位元素から放出される[[電離放射線]]により大気を電離させて負イオンを発生させる可能性があるが、同時に低線量放射線の健康影響([[被曝]])が心配される<ref group="脚注">日本生活協同組合連合会ではマイナスイオン商品のに対して慎重な方針をだしているが、その中で「放射性鉱石を応用した「放射線型」の寝具などは、微量であっても被曝について慎重な見方があるために取り扱わない」としてこの種の商品の生活協同組合での取り扱いを禁止している。</ref>。<!--ほかの方法として、[[弘前大学]]医学部保健学科が、トルマリンを粉末化し合成樹脂で固めた繊維が、合成樹脂の収縮圧力により半永久的にマイナスイオンを放出することを報告している<ref group="出典">野坂大喜、藤岡美幸ほか「[http://www1.cjr.hirosaki-u.ac.jp/seeds/17/p37.pdf マイナスイオン発生素材の医療応用化に関する研究]」(弘前大学医学部保健学科)</ref>。--報告書を読むと、1 - 5の実験で『影響はない』と結論付けている。--> 7:[[愛媛大学]][[農学部]]の[[仁科弘重]]教授は、観葉植物とマイナスイオンの濃度の関係について実験を行い、観葉植物の有無、配置によって濃度が変化することを示している<ref group="出典">{{cite web|url=http://adm.ehime-u.ac.jp/shokai/research/special/nougaku/res_02/interv06.html |title=マイナスイオン濃度上昇効果|langugae=日本語 |accessdate=2007年8月27日|deadlinkdate=2015-01-23 }} </ref>。(しかし日本機能性イオン協会は「植物の放出エネルギーによるイオンの生成は考えられない」<ref group="出典">[http://www.japan-ion.jp/05_qa1.htm イオンQ&A](日本機能性イオン協会)</ref>としている) イオンブロアーという静電気の発生を制御する装置がある。ドライヤーや洗濯機などは乾燥による静電気の発生を抑制する目的としては理にかなっている。 ==== マイナスイオン密度の測定 ==== 発生器の性能を示す指標として、マイナスイオン密度(あるいは濃度)が用いられる。これは「マイナスイオン密度測定器」で測定される値であるが、この装置の多くは、[[大気イオン#濃度の測定|大気イオンの濃度測定法]]を利用している。しかし、この測定器は原理的にさまざまな環境因子(温度・湿度・エアロゾル濃度)の影響を受けるため、信頼できるデータを得るためには、科学的な測定技術と知識が必要である。 例えば測定時には[[湿度]]が敏感に影響するはずだが湿度の影響をどう取り除いたのかの説明が無いとの意見がある<ref group="出典">[http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/misc/comment_misc_04.html 「市民のための環境学ガイド 」のマイナスイオン]</ref>。 すなわち(高湿度である)滝の側や湿気の高い森林の中などでの測定は、測定に影響を及ぼす環境因子をきちんとコントロールしなければ科学的に信頼性のあるデータは得られない。 一部のメーカーは、[[バークレー大学]]の作った国際規格である、発生口から1メートル離れた場所で1立方センチあたり10万個以上のマイナスイオンが発生すればイオン発生器という名称が使えるというアメリカでの基準を自主的に採用していた<ref group="出典">菅原明子『カンタン空気セラピ』オークラ出版、2004年、ISBN 978-4775504192</ref>。 このように信頼性に疑問があるイオン測定データが増え続ける可能性が懸念される状況の中、マイナスイオンブームの最中の2002年にマイナスイオン業界の支持の元で設立された[[特定非営利活動法人]]日本機能性イオン協会(会長 中江茂 東京理科大名誉教授)<ref group="脚注">公式サイトは[http://www.japan-ion.jp/ NPO法人日本機能性イオン協会]([http://www.japan-ion.jp/07_kaiin1.htm 法人会員リスト]、[http://www.japan-ion.jp/07_kaiin2.htm 学術会員リスト]) - この法人リストには大企業はない。</ref>が利害関係人として、みずから作成した「空気中のイオン密度測定方法」の原案を提出してJIS制定を申し出た。[[日本工業標準調査会]]は提出原案の審議の後、空気中におけるイオン密度の測定方法及びイオン発生器によって生成されるイオン発生量の測定方法として、2006年11月にJIS B9929:2006「空気中のイオン密度測定方法」<ref group="脚注">JIS本文は[http://www.jisc.go.jp/app/JPS/JPSO0020.html JIS検索]にてJIS規格番号欄に[B9929]と入力して[一覧表示]をクリックすれば、JIS B9929:2006「空気中のイオン密度測定方法」の閲覧できる(印刷不可)。内容は、環境条件(温度・相対湿度・気圧・空気の清浄度・電源電圧)、測定位置・高さ、測定前の確認事項、試料採取流量及び測定回数、吹き出し流量の調整方法、およびイオン密度算出に用いられる数式、イオン密度の評価方法等を規定している。規格の附属書には、空気中イオン密度測定器に関する事項(測定原理・性能及び仕様・試験方法・校正の頻度等)、イオン発生器の除電効果評価方法、空気中イオンの発生方法、イオンの寿命とエアロゾル濃度との関係が解説されている。</ref>を制定した。なお、これは測定方法に関する規格なので、「イオン化学種は何か」「イオンが健康に良いかどうか」に関する説明は一切含まれていないことに注意しなければならない<ref group="脚注">JISを申請した日本機能性イオン協会では商品のイオン発生の測定と認定を行っている。しかし『イオン発生』の認定であって、効果や作用の保証するものではないと明記している[http://www.japan-ion.jp/04_nintei1.htm 認定について](日本機能性イオン協会)</ref>。 ==== 特許庁等の対応 ==== [[特許庁]]は、平成17年度特許出願技術動向調査報告書「多機能空気調和機」<ref group="出典">{{cite web|url=http://www.jpo.go.jp/shiryou/pdf/gidou-houkoku/17mani_air_tyowa.pdf|last=[[特許庁]]|title=「平成17年度特許出願技術動向調査報告書 - 多機能空気調和機)date=2006-03|format=PDF|langugae=日本語 |accessdate=2007年8月27日 }} </ref>において、空気調和機の4つの基盤技術の一つに「オゾンやイオン発生などの電気技術」を挙げ、物質富化機能としてマイナスイオンに関する特許が多いことを指摘している。また、[[工業所有権情報・研修館]]は、2004年3月にマイナスイオン発生器の技術動向等を解説した特許流通支援チャート「マイナスイオン発生機」<ref group="出典">{{cite web|url=http://www.ryutu.inpit.go.jp/chart/H15/ippan11/frame.htm|title=平成15年度特許流通支援チャート「マイナスイオン発生機」|date=2004-03|format=PDF|langugae=日本語 |accessdate=2007年8月27日|deadlinkdate=2015-01-23 }}</ref>を作成し、マイナスイオン技術の概要、企業等の特許情報等を公開している。この中で、市場への商品投入後に学術研究が追いかけているのが現状であり、「マイナスイオン発生器の効果については、科学的に完全に解明されていない状況の下で社会的に注目されてきたことにも留意する必要がある」ことを指摘している。 ==== 東京都生活文化局の対応 ==== [[東京都]]生活文化局は、2006年11月、「マイナスイオン商品」に対する注意を喚起し<ref group="出典" name="metro1"/>、「マイナスイオンの効果を謳う商品の表示」に関する科学的検証結果を公表した<ref group="出典" name="metro2"/>。これによると、[[景品表示法]]の観点から、マイナスイオン商品のインターネット表示8件を科学的に検証した結果、マイナスイオン発生量に関する表示には客観的実証が認められず、情報・根拠の表示も不十分であると指摘した。さらに、マイナスイオンの存在自体を否定したり、すべてのマイナスイオン商品の効果・性能を否定するものではないと断った上で、調査対象の8件の商品について、マイナスイオンの効果や性能に関する表示に客観的実証が認められない点を指摘した。対象となった事業者に対して景品表示法の遵守を指導すると共に、[[通信販売]]・[[訪問販売]]の関係業界に対して客観的事実と根拠に基づく表示の適正化等を要請した。 == 「マイナスイオン」研究の実態 == === 日本国内のマイナスイオン研究の実情 === 空気イオンの生理学的研究には、1922年に出版された『内科診療の実際』<ref group="出典" name="内科診療の実際"/>において、空気マイナスイオンには鎮静作用が、空気プラスイオンには興奮作用があり、血圧、脈拍、呼吸、血糖値、白血球など多くの生理学作用の増減報告がなされている。1930年代にもいくつかの例を示せば、血液酵素アミラーゼが陰イオンにより増強され陽イオンは阻害する<ref group="出典">有泉金源「空気イオンの酵素溶液に及ぼす影響、特にアミラーゼに就いて」『北海道医学雑誌』1936年</ref>、マイナスイオン療法は活性酵素を抑制しモルヒネ受容体と結合するため関節炎・打撲・骨折などの炎症を緩和し機能回復を促進する<ref group="出典">林藍丸「千の婦人科疾患のイオン療法成績」『産科と婦人科』1935年</ref>、陰イオンは特に糖尿病患者の血糖値を抑制する<ref group="出典">本間茂雄「陰イオン化空気浴の生体に及ぼす影響」『日本内科学会誌』1935年</ref>といった[[1930年代]]([[昭和]]5年ごろ)の研究論文がある<ref group="出典" name="イオンハンドブック"/>。 ブームの最中の2002年を中心に、多くの日本人研究者が「マイナスイオン」という用語を用いて、生体・生物学的影響に関する研究発表を国内の[[学会]]で発表した。論文検索<ref group="脚注">検索サイト[[CiNii]]および[http://pr.jst.go.jp/jdream2/ JDreamII]</ref>を用いて、題名に『マイナスイオン』を含み、かつ、生体・生物学的影響に関する国内学会発表を検索すると、少なくとも29学会<ref group="脚注">内訳は、日本機械学会/12件、日本生理人類学会/5件、空気調和・衛生工学会/4件、電子情報通信学会、日本人間工学会/各3件、その他24学会(日本運動生理学会、日本温泉気候物理医学会、日本看護学会、日本産業衛生学会、日本歯周病学会、日本体力医学会、日本放射線影響学会、日本生気象学会などの医学生理学系の学会を含む)で29件。日本機械学会には「バイオエンジニアリング部門」、電子情報通信学会には「MEとバイオサイバネティックス研究会」があり、両学会とも生体生理工学分野をカバーする。</ref>で計56件の発表を確認できる。筆頭発表者の所属を見ると、大学が37件<ref group="脚注">内訳は、玉川大、都立大(琉子)/各5件、北大(渡辺)、岡山大、新潟大、日大/各3件、その他11大学で15件。</ref>、その他が19件<ref group="脚注">内訳は、パナソニック系企業/9件、病院関係/2件、その他民間研究施設/8件。</ref>であった。産学共同の状況では56件中14件が大学と企業との共同研究であった。 発表年別集計では、1994年が1件、1995-1999年が8件、2000-2004年に46件と大きく増加したが、2005年以降が1件と激減している。このように「マイナスイオン研究ブーム」は現在{{いつ|date=2015年1月}}では収束している。なお2003年11月には、[[不当景品類及び不当表示防止法]](景品表示法)の改正が行われ、効果・効能表示の合理的な根拠を立証する責任が事業者に課されるようになっている。 これらの学会発表は第三者による審査(科学的検証)がない。発表の一例としては、マイナスイオン環境をイオン濃度のみで分類し、人間への感性的作用に関する発表では、被験者の自覚症状や[[自律神経]]活動に対する影響を[[t検定]]や[[分散分析]]により検定・評価しているが、質量分析によるイオン化学種の同定がされているものはほとんどみられない。また、被二重盲検法を導入した研究はほとんど見られない。 [[査読]]付き原著[[論文]](国内誌)は、過去2件ある。共に、渡部一郎北大助教授(当時)によるものである<ref group="出典">渡部一郎、眞野行生「長期マイナスイオン暴露がヒトの生理機能・免疫機能に与える影響」『日本温泉気候物理医学会雑誌』64巻3号、123-128頁、2001年。([http://www.n-ion.com/book_123.html pdf書類])</ref><ref group="出典"> {{Cite journal|和書|author=渡部一郎 |author2=真野行生 |author3=野呂浩史 |title=空気中のマイナスイオンが脳波に与える影響 |date=1998-05 |publisher=日本温泉気候物理医学会 |journal=日本温泉気候物理医学会雑誌 |volume=61 |number=3 |naid=10005968142 |pages=121-126 |ref=harv}}</ref>。これらの論文について第三者による追証は現時点でない。 以上のように、日本人研究者らによって「マイナスイオン」という用語が用いられた研究発表が2002年前後に多数なされた。しかし負の大気イオンの替わりにこの用語を用いることは、国内の学界において広く認知されてはいない<ref group="脚注">[[小川俊雄]]関連以外の[[大気電気学]]分野や[[静電気学]]分野、[[#マイナスイオン密度の測定|イオン密度測定法のJIS規格]]では、「マイナスイオン」を使わずに[[大気イオン]]や[[負イオン]]、[[イオン]]が用いられている。</ref>。「マイナスイオン」は本記事の[[#マイナスイオンの定義と物質|冒頭]]で述べたように定義が定まっていない用語である。なお、医療書でも論文でもなく単に事典であるが[[#負の大気イオン|前述]]の『科学大事典第2版』<ref group="出典" name="jiten"/>の「マイナスイオン」の解説では、「人体への好影響が言われているが詳細は不明である」との記述がある。 === 国外論文誌におけるnegative air ions研究 === 1930年代にはいくつか例をあげれば、軽症の動脈硬化症に対し発作が減り血圧と脈拍が降下する<ref group="出典">Steffens P.:DIe Anion-Behandlung. München, Verlag der arztlichen Rundschau Otto Gmelin, 1931</ref>、特に肺結核に対する諸疾患に対して陰イオンが病気に対する抵抗を高める<ref group="出典">Tchijewsky: Experimentelle Unstersuchungen über den Einfluss ionisierter Luft auf die Lungentuberkulose (Ref. in Zeitschr. f.ges. phys. Therap. Bd. 39, 1930)</ref><ref group="出典"> Tchijewsky et al.:Observations sur des malades pulmonaires traités à l'air ionisé négativement, Le Progrès Médical, No.33, 1931</ref>、陰イオンは喘息患者79例中32例が快癒13例が軽癒19例はやや軽快13例は変化なしで陽イオンは疲労感を訴えさせた<ref group="出典">Landmann:Ueber die Behandlung von Bronchialasthma mit Aeroionisation. Wien, Klin. Woschsr. 1935</ref>といった研究論文がある<ref group="出典" name="イオンハンドブック"/>。 負の大気イオン(negative air ions)の生体・生物学的影響に関する論文(主に国外論文誌に掲載)を、生命科学系文献データベース[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?db=PubMed PubMed]([[MEDLINE]])にてキーワードを"negative air ion(s)" OR "negative ion(s)"で検索し、生体・生物学的影響に関する論文のみ抽出すると、1959年から2007年までの48年間で63件(平均1.3件/年)確認できた<ref group="脚注">内訳は、1959 - 1969年が9件、1870 - 1979年が3件、1980 - 1984年が12件、1985 - 1989件が10件、1990 - 1994年が5件、1995 - 1999年が10件、2000 - 2004年が8件、2005 - 2007年が6件。</ref>。論文誌別にみると、International Journal of Biometeorologyが8件<ref group="出典">{{cite journal|last1=Ryushi|first1=T.|last2=Kita|first2=Ichirou|last3=Sakurai|first3=Tomonobu|last4=Yasumatsu|first4=Mikinobu|last5=Isokawa|first5=Masanori|last6=Aihara|first6=Yasutugu|last7=Hama|first7=Kotaro|title=The effect of exposure to negative air ions on the recovery of physiological responses after moderate endurance exercise|journal=International Journal of Biometeorology|volume=41|issue=3|year=1998|pages=132-136|issn=0020-7128|doi=10.1007/s004840050066}} - 筆頭著者は[[琉子友男]]。この論文で琉子はスポーツにおけるマイナスイオンの効能を主張している。</ref>、Biofizikaが4件、Natureが3件<ref group="出典">{{cite journal |author= Krueger,A.P., Smith,R.F. |title=An enzymatic basis for the acceleration of ciliary activity by negative air ions |journal=Nature |volume=183 |issue=4671 |pages=1332-3 |date=1959-03 |pmid=13657110 |doi= |url=}}</ref><ref group="出典">{{cite journal |author=Kellogg EW, Yost MG, Barthakur N, Kreuger AP |title=Superoxide involvement in the bactericidal effects of negative air ions on Staphylococcus albus |journal=Nature |volume=281 |issue=5730 |pages=400–1 |date=1979-08 |pmid=225679 |doi= |url=}} - [[活性酸素]]による殺菌の研究</ref><ref group="出典">{{cite journal |author=Rosenthal I, Ben-Hur E |title=Superoxide involvement in negative air ion effects |journal=Nature |volume=288 |issue=5792 |pages=739–40 |date=1980-12 |pmid=6256644 |doi= |url=}}</ref>([[活性酸素]]による殺菌の研究)、その他(Scienceに1件<ref group="出典">{{cite journal |author=Diamond MC, Connor JR, Orenberg EK, Bissell M, Yost M, Krueger A |title=Environmental influences on serotonin and cyclic nucleotides in rat cerebral cortex |journal=Science (New York, N.Y.) |volume=210 |issue=4470 |pages=652-4 |date=1980-11 |pmid=6254145 |doi= |url=}}</ref>を含む40誌)に掲載されている。著者の国別を見ると、USAが12件、Russiaが9件、Japanが8件、UKとGermanyが各4件、その他<ref group="脚注">その他の内訳は、CanadaとRomaniaが各3件、ItaliaとSouth Africaが各1件、未確認が18件。</ref>であった。これらの論文のうち、効果に否定的な結論を示す論文は63件中4件ある<ref group="出典">{{cite journal |author=Fletcher LA, Gaunt LF, Beggs CB, ''et al.'' |title=Bactericidal action of positive and negative ions in air |journal=BMC Microbiology |volume=7 |issue= |pages=32 |year=2007 |pmid=17439657 |pmc=1868029 |doi=10.1186/1471-2180-7-32 |url=}}</ref><ref group="出典">{{cite journal |author=Buckalew LW, Rizzuto AP |title=Negative air ion effects on human performance and physiological condition |journal=Aviation, Space, and Environmental Medicine |volume=55 |issue=8 |pages=731-4 |date=1984-08 |pmid=6487210 |doi= |url=}}</ref><ref group="出典">{{cite journal |author=Dantzler BS, Martin BG, Nelson HS |title=The effect of positive and negative air ions on bronchial asthma |journal=Annals of Allergy |volume=51 |issue=3 |pages=362-6 |year=1983-09 |pmid=6351676 |doi= |url=}}</ref><ref group="出典">{{cite journal |author=Farmer EW, Bendix A |title=Geophysical variables and behavior: V. Human performance in ionized air |journal=Perceptual and Motor Skills |volume=54 |issue=2 |pages=403-12 |year=1982 |month=April |pmid=7079068 |doi= |url=}}</ref>。 負の大気イオンの論文は、このように長期間に渡りある程度の量が発表されてはいる。 しかし大気イオンの効果には未解明(再現性の問題、試験方法や評価手法の妥当性の問題、第三者の追試の有無の問題、合理的な説明の問題等・・)の部分が多く、健康作用については疑問視する研究者もおり、大気イオンの効果が医学的に認められているわけではない。仮説の実証には今後の更なる検討が必要である<ref group="出典">[http://www.jaast.jp/home-j.shtml 日本エアロゾル学会]編著『エアロゾル用語集』京都大学学術出版会、124-125頁、2004年、ISBN 4876986347。[http://www.kyoto-up.or.jp/book.php?id=1363&lang=jp 書籍情報]</ref>。また効果の機序を合理的に説明している論文も存在しない。 なお、疑似科学の批判者として知られる[[テレンス・ハインズ]]は1988年発行の自著<ref group="出典">テレンスハインズ(著)、井山弘幸(訳)『ハインズ博士「超科学」をきる―真の科学とニセの科学をわけるもの』 化学同人、1995年、ISBN 978-4-7598-0275-7。(原書は、TERENCE HINES : "PSEUDOSCIENCE AND THE PARANORMAL A Critical Examination of the Evidence", Prometheus Books, 1988, ISBN 0-87975-419-2 )</ref><ref group="出典">[http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/nion/comment_ni_08.html ハインズ博士の空気イオンの話(2003/04/03)](Y.Amo「水商売ウォッチング」より)</ref>の中で以下のようにコメントしている。「(要約)空気イオン (air ions) の人間行動への影響を示す研究がいくつかあるが示された効果は小さく、また被験者により正反対の効果をも示す別の研究結果もあり、さらに全く効果が見られないとする別の研究結果もある。よって実商品の応用に使うには無理だ。つまりこの「効果」を「マイナスイオン生成機」の購入正当化の理由にはできない。」 === 医学的実証 === ==== 「代替医療」の事例 ==== [[代替医療]]として臨床現場で使用が試みられている例も存在する。(なお以下の「療法」は医療機関が自主判断で行っているものは、[[厚生労働省]]が関知する医療行為ではない) [[東京女子医科大学]]<ref group="脚注">東京女子医科大学は2003年6月に日本の大学で初の[[統合医療]]実践施設を設立し、青山自然医療研究所クリニックにて統合医療(自然医療)を組織的に実践している。</ref>付属青山自然医療研究所クリニックは[[ホメオパシー]]などとともに「マイナスイオン療法」を行っている<ref group="出典">{{cite web|url=http://www.twmu.ac.jp/AWNML/N/natural/menu.html|title=東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック (自然医療と統合医療) |langugae=日本語 |accessdate=2007年8月27日 }}(2007年6月現在)</ref>。統合医療を実践する上での問題点や本クリニックの実践内容については、日本補完代替医療学会誌に掲載された論文<ref group="出典">{{Cite journal|和書|author=川嶋朗 |authorlink=川嶋朗 |author2=班目健夫 |authorlink2=班目健夫 |title=日本初の大学における統合医療の実践 |date=2005 |publisher=日本補完代替医療学会 |journal=日本補完代替医療学会誌 |volume=2 |number=1 |naid=130000079419 |doi=10.1625/jcam.2.75 |pages=75-79 |ref=harv}} <br/>この論文の要点は以下の4つである。1) 相補・[[代替医療]] (CAM) の医学的検証は不足している。2) CAMには今後の医学的実証が必要である。3) CAMを用いる条件を明確に定め、西洋医学の一流医が自分の専門領域にCAMを用いるのであれば他医から批判されることは少ない。4) 「マイナスイオン療法」を含む多くのCAMは[[健康保険]]が適用されず、健康保険が適用される検査や治療もCAMと併用される場合は保険外診療としなければならない([[混合診療]]の禁止)。</ref>に詳しく書かれている。なお、「マイナスイオン療法」は他の代替医療と同様、健康保険は利用できない。 元高等学校教諭で職業として研究をした経歴のない青木文昭は著書にて、マイナスイオンを増加させることによって数十例の難病が全体あるいは部分的に快復したと書いている<ref group="出典">青木文昭『生体マイナスイオンで病気に克つ』土屋書店、2007年、ISBN 9784806908999</ref><ref group="出典">青木文昭『マイナスイオンの治療効果を検証―慢性病・難病・老化・美肌』タカタイオン医学研究所、2008年、ISBN 978-4806909620</ref>。 [[ニューウェイズ]]の宣伝本を書いたピート・ビラックは自身の別の著書で、「アメリカの[[フィラデルフィア]]のイーストウエスト病院において、マイナスイオン療法により花粉症やぜんそくの63%が全快または部分的な改善を示し、火傷患者の85%に鎮痛剤としての[[モルヒネ]]が必要なくなり、138人の外科手術者に対しては57%が痛みをまったく感じないか大幅に減じられた」と主張している<ref group="出典">ピート・ビラック『マイナスイオンの奇跡』古川千勝監訳、さんが出版、2003年、ISBN 4-88096-045-4</ref>。 == ニセ科学か未科学か == 2003年に[[国民生活センター]]が実施したアンケートに対して、マイナスイオン推進側の中江茂は「人体への効果との因果関係については、1970年以降400編近い論文が発表されている。ただ、分子レベルのメカニズムが解明されていないが、その大部分は効果ありとする論文であり、客観的には有益であると考える」と述べた。一方、懐疑側の安井至は「無効とする論文も多く、マイナスイオンと人体への効果との因果関係は十分に究明されていない。オゾンや湿度などの効果ではないという検証も不足している上に絶対量があまりにも少ない」と主張している<ref group="出典" name="国民生活センター学識者意見"/>。 マイナスイオンを批判している工学者の[[安井至]]は、実証されていないマイナスイオンの効果効能をあたかも実証されたもののように言説したり宣伝したりすることは非科学であり、「科学的迷信」として糾弾している。ただ「純粋に物質の追究を行なう試み」に対しては未科学と表現している<ref group="出典">[http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/MinusIon.htm 科学的迷信1 解説編 12.09.2000]</ref><ref group="出典" name="yasu1">{{cite web|url=http://www.yasuienv.net/MinusIonRika.htm|title=高校の先生のために書いたマイナスイオン|date=2003-08-31|last=安井 至|authorlink=安井至|langugae=日本語 |accessdate=2007年8月27日 }}</ref>。ただし、安井至はまともに実験値が出ていると思えるものにシャープのプラズマクラスターイオンの除菌作用があり、それ以外にも脱臭、掃除機、空気清浄機、ドライヤー、エアコンなどの効果がマイナスイオン以外の原理で説明がつくだろうという検証されていない仮説を述べている<ref group="出典">安井至「マイナスイオンはからだに良い?」『EBNURSING』Vol.4,No3,pp118-123</ref>。 同じくマイナスイオン批判をしている統計物理学者の[[菊池誠 (大阪大学)|菊池誠]]は、マイナスイオンを「[[擬似科学|ニセ科学]]」としている<ref group="出典">{{cite web|url=http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1154058674|title=マイナスイオン|date=2006-07-28|last=菊池 誠||authorlink=菊池誠 (大阪大学)|langugae=日本語 |accessdate=2007年8月27日 }}</ref>。菊池は、『大気電気学概論』に記載された大気イオン(大気電気学)専門家の論文(?)に対しては「[[未科学]]」としている<ref group="出典">[http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1145352396 マイナスイオンの「未科学性」] </ref>。 化学者の[[小波秀雄]]も、マイナスイオンを「ニセ科学」と表現している。小波は「ニセ科学」が流行してしまった理由のひとつとして、「専門家の言語表現と一般の日常用語の感覚にあるズレ」について言及している。すなわち、専門家は「-は絶対にありえない」という表現は使えないため、「確率的にはきわめて低い」などと表現するが、これを一般の人の受け止め方では「実際に起きるかもしれない」となってしまうという<ref group="出典">[http://www.cs.kyoto-wu.ac.jp/~konami/chem/MinusIonResume.pdf 「マイナスイオン」どこがニセ科学か]{{リンク切れ|date=2015年1月}}</ref>。 == 文献 == === 研究論文集 === * 琉子友男、佐々木久夫『空気マイナスイオン応用事典』人間と歴史社、2002年、ISBN 978-4890071272。[http://www.ningen-rekishi.co.jp/details/4-89007-127-x.htm 書籍情報] * 『ラジカル反応・活性種・プラズマによる脱臭・空気清浄技術とマイナス空気イオンの生体への影響と応用』エヌ・ティー・エス、2002年、ISBN 978-4860430085。[http://www.nts-book.co.jp/item/detail/summary/kankyo/20021015_26.html 書籍情報] * イオン情報センター編集『空気マイナスイオンの科学と応用』イオン情報センター、2004年、ISBN 978-4990181901。[http://www.softenergy1.com/far/book-f/book10.htm 書籍情報] === マイナスイオン推進者による総説等 === * 渡部一郎「空気中マイナスイオンがヒトへ与える影響の研究の取り組み」[http://www.asahikawa-med.ac.jp/dept/mc/healthy/jsce/page004.html 『臨床環境医学』]11巻2号、63-71頁、2002年。 * - 他のマイナスイオン(negative air ion)研究者の研究のまとめであり、研究成果の妥当性についての考察を目的としたものではない。 * [[西岡将輝]]「マイナスイオンの測定技術と最近の研究動向」[http://www.orea.or.jp/kikanshi.html 『におい・かおり環境学会誌』]34巻6号、241-244頁、2003年。 - 大気イオン測定技術に関するまとめ === マイナスイオン批判者による解説等 === * 安井至「マイナスイオン論争 - 未科学がなぜ大メーカーによって製品化されるのか」[http://www.kagakudojin.co.jp/kagaku/chem_2003.html?200708#10 『化学』58巻10号]、18-22頁、2003年。 * 安井至「マイナスイオンとは何か」[http://hosinowa.mdn.ne.jp/rika_room/mokuji_0310.htm 『月刊理科教室』46巻10号]、8-15頁、2003年。 * [[菊池誠 (大阪大学)|菊池誠]]「疑似科学の現在」[http://www.iwanami.co.jp/kagaku/KaMo200609.html 『科学』76巻9号]、902-908頁、2006年。 * [[小波秀雄]]「「マイナスイオン」がニセ科学である理由」[http://www.kagakudojin.co.jp/kagaku/200704.html?200708&4 『化学』62巻4号]、22-26頁、2007年。 * 小波秀雄「マイナスイオンとはなんだろうか」[http://rikatan.com/backnumber0708.html 『RikaTan』1巻5号]、44-46頁、2007年。 * [http://www.wakilab.org 松永和紀]『メディア・バイアス - あやしい健康情報とニセ科学』[[光文社]]〈光文社新書〉、2007年、ISBN 978-4-334-03398-9。 == 関連項目 == * [[プラズマクラスター]](プラスのイオンとマイナスのイオン) * [[疑似科学]] * [[プロトサイエンス]]([[未科学]]) * [[バイブル商法]] * [[大気イオン]] * [[カンゲンイオン]] * [[レナード効果]] * [[空気のビタミン]] * [[燃費向上グッズ]] * [[酸性食品とアルカリ性食品]] * [[バズワード]] == 外部リンク == * [http://www1a.comm.eng.osaka-u.ac.jp/~saej/index.html 日本大気電気学会] - 学術団体 * [http://www.minusion.jp/ 日本マイナスイオン応用学会] * [http://www.japan-ion.jp/ 特定非営利活動法人 日本機能性イオン協会] * [http://www.yasuienv.net/ 市民のための環境学ガイド] * [http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/events/JPSsympo0306.html 物理学会でのシンポジウム「『ニセ科学』とどう向き合っていくか?」] * [http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20030905_2.html マイナスイオンを謳った商品の実態]([[国民生活センター]]) {{DEFAULTSORT:まいなすいおん}} [[Category:和製英語]] [[Category:マイナスイオン|*まいなすいおん]] [[Category:疑似科学]] [[Category:プロトサイエンス]] [[Category:バズワード]]