裸川 (武家義理物語)
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裸川(はだかがわ)は17世紀後半に活躍した日本の近代文学家井原西鶴が著したリアリズム短編集武家義理物語(ぶけぎりものがたり)のうちの一編。
概略
鎌倉時代の下級武士であった青砥左衛門尉藤綱(あおと さえもん の じょう ふじつな)は鎌倉滑川を渡河する際に誤って小銭をいくつか紛失した。
武士の青砥は鋳貨の価値を重んじ、金額的には小額であっても川の中にあるのはよくないと考え、人足に高額の報奨金を与えて寒中の滑川を探させる。
人足の一人は金銭の価値が報奨金の額とあまりに差があることから、青砥の意図を理解せず、寒中の捜索を自らの小銭を差し出して発見したことにして切り上げ、報奨金を手にする。
急に大金を得て宴会を開くが軽はずみな自慢話から、その報奨金について不審が発覚する。聞きつけた青砥は懲罰の意味を込めて人足を裸にして、更に監視役をもつけながら再度滑川を捜索させる。
約3ヶ月後に小銭が発見され、青砥は宴会を断り、不審を指摘した男を武士に取り立てる。
評価
通常は"詐術で得て金銭はうつろい易く価値がない"たとえとして描かれる。また井原西鶴の作品に耽溺していた太宰治は新釈諸国噺のなかで、青砥の謹厳ながら常軌を逸した捜索に皮肉を込めて脚色している。