このコインはいくらで売れるか
このコインはいくらで売れるか(このこいんはいくらでうれるか)では貨幣商にコインを売りに行った場合いくらで売れるかを解説する。
目次
序論
我が家に~の記念硬貨があるだの、タンスから古いコインが出てきただの、見たこともないコインに出くわした時、とかく我々はこれは大変価値があるのではないか、高く売れるのではないかと期待しがちである。人間の心理とはそんなものだ。「なんでも鑑定団」で数百万円の価格のものが紹介されたりすると我が家にもお宝が眠っているのではないかと幻想を抱いてしまうものである。
ところが、いざ家にあったコインを貨幣商に持ち込んだところ、これはありふれていて価値がないとか、額面以上にならないとか言われて、がっくりとさせられた方も多いはずだ。中には高く売れないことを知って怒り出す人もいる。だがここは一旦冷静になった方が良い。いくらで売りたいかではなく、少し見方を変えて、仮にそのコインを自分が購入するとしたら、いくらの金額をそのコインに対して払いたいと思うだろうか。そう考えれば自ずと答えの検討はつくはずである。評価格は、売手・買手の間でいくらで取引されるかで決まるものである。業者も商売である以上、売れないものを買い入れて不良在庫を抱えると倒産するから、買取の対象となるのは収集家が求めているものに限られる。たとえ買取の対象となる品物でも、コインは状態による価格差があるため一概にいくらで買い入れますとは返答しにくい。やはり現物を手にとって鑑定しない以上、買い取り価格を決定することができない実情がある。キズや擦り減った物、磨かれた物は商品にならない。実際にコインを売りに行って、キズがあるとかいろいろ欠点を言われ安く買い叩かれた、と気分を害して帰られる方も多い。確かに一部の業者には一般の人々の知識が乏しいのをよい事に買い叩く行為が存在し結果的に貨幣商に良い品物が集まらなくなり、この収集界を低迷させる一因となっている。「日本貨幣カタログ」の価格は業者の売りたい価格なので当てにしてはならない。また鑑定は非常に手間のかかる作業なので1枚1枚見て買うよりは、まとめていくらという様に骨董品業者のような買い入れの仕方が多い。
いくらで売れるか
以下の価格は美品から未使用品のものである。キズ物は買い取り対象から外れる。ここに挙げた価格は目安で店舗・売人の知識・時期により大きく変動する。
昭和・平成の記念硬貨
以下のものは人気が高いか発行枚数が少なめに限定されたプレミアム貨幣として発行されたコインのため、少しはプレミアムがついているが額面の1.2~数倍程度と考えてよい。またプレミアム貨幣であっても造幣局販売価格は業者買い取り価格を保障するものではない。
- 東京オリンピック記念1000円銀貨、昭和39年、1000~1200円
- 長野オリンピック冬季競技大会記念1万円金貨(3種)、平成9年・10年、1万~2万円
- 天皇陛下御在位10年記念1万円金貨、平成11年、1万~2万円
- 2002FIFAワールドカップ記念1万円金貨、平成14年、1万~2万円
- 2002FIFAワールドカップ記念1000円銀貨、平成14年、1000円~6千円
- 第5回アジア冬季競技大会記念1000円銀貨、平成15年、1000円~1万円
- 奄美群島復帰50周年記念1000円銀貨、平成15年、1000円~6千円
- 2005年日本国際博覧会記念1万円金貨、平成16年、1万~2万円
- 2005年日本国際博覧会記念1000円銀貨、平成16年、1000円~6千円
- 中部国際空港開港記念500円銀貨、平成17年、500円~4千円
- 国際連合加盟50周年記念1000円銀貨、平成18年、1000円~6千円
- 2007年ユニバーサル技能五輪国際大会記念1000円銀貨、平成19年、1000円~6千円
- 天皇陛下御在位20年記念1万円金貨、平成21年、1万~2万円
- 地方自治法施行60周年記念1000円銀貨、平成20~、1000円~5千円
以下のものは発行枚数が非常に多く額面以上で買い取ってもらえることはまず無い。多くの業者は手間になれども、ほとんど利益にならないため両替でさえ断っている。10万円金貨は手数料を引かれて96000円で買い取られる。
- 東京オリンピック記念100円銀貨、昭和39年、売れない、ネットオークションなら額面の1.2倍で売れるかも
- 日本万国博覧会記念100円白銅貨、昭和45年、売れない
- 札幌冬季オリンピック記念100円白銅貨、昭和47年、売れない
- 沖縄海洋博覧会記念100円白銅貨、昭和50年、売れない
- 昭和天皇御在位50年記念100円白銅貨、昭和51年、売れない
- つくば国際科学技術博覧会記念500円白銅貨、昭和60年、売れない
- 内閣制度創始100周年記念500円白銅貨、昭和60年、売れない
- 昭和天皇御在位60年記念10万円金貨、昭和61年・62年、売れない
- 昭和天皇御在位60年記念1万円銀貨、昭和61年、売れない
- 昭和天皇御在位60年記念500円白銅貨、昭和61年、売れない
- 青函トンネル開通記念500円白銅貨、昭和63年、売れない
- 瀬戸大橋開通記念500円白銅貨、昭和63年、売れない
- 国際花と緑の博覧会記念5000円銀貨、平成2年、売れない
- 裁判所制度100周年記念5000円銀貨、平成2年、売れない
- 議会開設100周年記念5000円銀貨、平成2年、売れない
- 天皇陛下御即位記念10万円金貨、平成3年、売れない
- 天皇陛下御即位記念500円白銅貨、平成2年、売れない
- 沖縄復帰20周年記念500円白銅貨、平成4年、売れない
- 皇太子殿下御成婚記念5万円金貨、平成5年、売れない、ネットオークションなら額面の1.2倍で売れるかも
- 皇太子殿下御成婚記念5000円銀貨、平成5年、売れない
- 皇太子殿下御成婚記念500円白銅貨、平成5年、売れない
- 関西国際空港開設記念500円白銅貨、平成6年、売れない
- 第12回アジア競技大会記念500円白銅貨(3種)、平成6年、売れない
- 長野オリンピック冬季競技大会記念5000円銀貨(3種)、平成9年・10年、売れない
- 長野オリンピック冬季競技大会記念500円白銅貨(3種)、平成9年・10年、売れない
- 天皇陛下御在位10年記念500円白銅貨、平成11年、売れない
- 2002FIFAワールドカップ記念500円ニッケル黄銅貨(3種)、平成14年、売れない
- 2005年日本国際博覧会記念500円ニッケル黄銅貨、平成17年、売れない
- 南極地域観測50周年記念500円ニッケル黄銅貨、平成19年、売れない
- 日本ブラジル交流年及びブラジル移住100周年記念500円ニッケル黄銅貨、平成21年、売れない
- 天皇陛下御在位20年記念500円ニッケル黄銅貨、平成21年、売れない
- 地方自治法施行60周年記念500円バイカラークラッド貨、平成20~、売れない
ミントセット
ミントセット、プルーフセット共に一部を除いて買い手が付かない。ネットオークションの落札値も造幣局の売値を下回る。
- 昭和44年、1万~3万円
- 昭和45年~47年、千円~3千
- 昭和50年~58年、売れない
- 昭和59年~60、600~666円
- 昭和62年、666~2500円
- 昭和63年~平成21年、600~666円
現行硬貨
以下のものは発行枚数がやや少ないか、人気のため多少のプレミアムがついている。だが額面の1.2~数倍程度、あるいは額面+数百円程度である。しかし最近では業者も現行貨幣の買い入れには消極的。ネットオークションに出品した方が高く売れる。かつて現行硬貨の年号別収集は人気テーマで現行硬貨年号別ブックは百万冊売れていたが、今日では数千冊売れている程度なのでかつて一千万枚の発行枚数といえば特年だったが、収集人口の減少した今日では百万枚でも希少とはいえない。
- 5円黄銅貨(明朝体)、昭和32年、50~200円
- 10円青銅貨(ギザ有)、昭和33年、12~30円
- 50円ニッケル貨(穴無)、昭和33年、50~70円
- 50円ニッケル貨(穴有)、昭和35年、100~500円
- 50円ニッケル貨(穴有)、昭和36年、50~70円
- 稲穂100円銀貨、昭和36年・39年、100~150円
- 50円白銅貨、昭和62年、50~2000円
以下のものは発行枚数が少なめだが、業者・収集家が銀行ロールとして多量に保有しているためプレミアムをつけて買取ってもらえることはほとんどない。昭和62年の500円硬貨は発行枚数が少なめで旧500円硬貨が回収されているため希少と思われがちだが、昭和62年だけが収集家に退蔵され回収されたのは並年号のため、かえって希少でなくなっている。ネットオークションに出品すれば額面以上の価格で落札されることがある。
- 500円白銅貨、昭和62年、売れない、ネットオークションなら額面の1.1~1.5倍で売れるかも
- 100円白銅貨、平成13年・14年、売れない、ネットオークションなら額面の1.1~1.5倍で売れるかも
- 50円白銅貨、昭和60年・61年・平成12年~21年、売れない、ネットオークションなら額面の1.1~2倍で売れるかも
- 5円黄銅貨、平成12年・17年~21年、売れない、ネットオークションなら額面の1.1~20倍で売れるかも
- 1円アルミ貨、平成12年~14年、売れない、ネットオークションなら額面の1.1~100倍で売れるかも
以下のものは発行枚数・現存数が多く、額面以上で買い取ってもらえることはまず無い。だが5円黄銅貨(明朝体)(いわゆるフデ五)・10円青銅貨(ギザ有)(いわゆるギザ十)は根強い人気があり、100円銀貨も多量にあるならネットオークションに出品すれば額面以上の価格で落札されることがある。
- 5円黄銅貨(穴無)、昭和23年・24年、売れない、ネットオークションなら額面の1.1~2倍で売れるかも
- 5円黄銅貨(明朝体)、上記以外、売れない、ネットオークションなら額面の1.1~2倍で売れるかも
- 10円青銅貨(ギザ有)、昭和26年~32年、売れない、ネットオークションなら額面の1.1~1.5倍で売れるかも
- 50円ニッケル貨(穴無)、昭和30年~32年、売れない、ネットオークションなら額面の1.1倍で売れるかも
- 50円ニッケル貨(穴有)、上記以外、売れない、ネットオークションなら額面の1.1倍で売れるかも
- 鳳凰100円銀貨、昭和32年・33年、売れない、ネットオークションなら額面の1.1倍で売れるかも
- 稲穂100円銀貨、上記以外、売れない、ネットオークションなら額面の1.1倍で売れるかも
以下のものは発行枚数が非常に多く買取の対象とならない。昭和64年の硬貨も少ないと思われがちだが実際には多い。これらは普通に流通している現行硬貨である。未使用硬貨なら年号によってはネットオークションに出品すれば額面以上の価格で落札されることがある。
- 100円白銅貨、上記以外、売れない
- 50円白銅貨、上記以外、売れない
- 10円青銅貨(ギザ無)、昭和34年~、売れない
- 5円黄銅貨、上記以外、売れない
- 1円アルミ貨、上記以外、売れない
- 500円白銅貨、上記以外、売れない
- 500円・10円・5円・1円、昭和64年、売れない
- 500円ニッケル黄銅貨、平成12年~、売れない
第二次世界大戦前後の小額貨幣
以下のものは発行枚数・現存数が多い上に現行硬貨として使えないため値段を付けることができない。付いたとしても1kg当り100~500円ぐらいとなる。
- 10銭アルミ青銅貨、昭和13年~15年、売れない
- 5銭アルミ青銅貨、昭和13年~15年、売れない
- 烏1銭黄銅貨、昭和13年、売れない
- 烏1銭アルミ貨、昭和13年~15年、売れない
- 菊10銭アルミ貨、昭和15年~18年、売れない
- 菊5銭アルミ貨、昭和15年~18年、売れない
- 富士1銭アルミ貨、昭和16年~18年、売れない
- 10銭錫貨、昭和19年、売れない
- 5銭錫貨、昭和19年、売れない
- 1銭錫貨、昭和19年・20年、売れない
- 稲10銭アルミ貨、昭和20年・21年、売れない
- 鳩5銭錫貨、昭和20年・21年、売れない
- 大型50銭黄銅貨、昭和21年、売れない
- 小型50銭黄銅貨、昭和22年・23年、売れない
- 1円黄銅貨、昭和23年~25年、売れない
以下のコインは鋳潰されたため現存数が少なく高価である。ただし買い取り価格は状態に大きく左右される。また50銭黄銅貨の昭和22年は大型と小型を勘違いしやすく天と地ほどの価格差があるため特に注意が必要である。
- 小型50銭銀貨、昭和13年、2千~2万円
- 大型50銭黄銅貨、昭和22年、1~10万円
大正~昭和初期の硬貨
これらのコインは買取の対象となるものもある。だが一般的に発行枚数・存在数が多いため買い取り価格は低い。一般的に銅貨・白銅貨よりも銀貨のほうがやや高値だが大して高額なものは存在しない。
- 発行枚数がやや少ない
- 旭日50銭銀貨、大正元年・3年・4年、200~2千円
- 桐1銭青銅貨、昭和4年・5年、100~千円
明治・大正・昭和初期の金貨
これらは海外に流出し鋳潰されたため高価である。だが買い取り価格は状態に大きく左右される。また発行枚数・現存数により、同じ種類の金貨の中でも大きな価格差がある。これらの中でも以下のものが特に高価である。しかし明治7年~13年の希少貨幣は本来一般家庭に存在するような性質のものではない。数年に一度大手オークションに登場する程度である。売るなら大手オークションに出品したほうが良い。
ニセモノが多いため真贋鑑定が必要。
- 発行枚数・現存数が少なく高価
- 旧20円金貨、明治3年、100万~300万円
- 旧5円金貨、明治13年~30年、5万~100万円
- 旧1円金貨、明治9年、20万~200万円
- 新10円金貨、明治43年、10万~200万円
- 新20円金貨、昭和5年・6年・7年、100万~400万円
- 新5円金貨、昭和5年、100万~400万円
- 発行枚数・現存数が非常に少なく非常に高価
- 旧20円金貨、明治9年・10年・13年、200万~1000万円
- 旧10円金貨、明治9年・10年・13年、200万~1000万円
- 旧5円金貨、明治12年、500万~2000万円
- 旧2円金貨、明治9年・10年・13年、200万~1000万円
- 旧1円金貨、明治10・13年、200万~1000万円
明治の銀貨
これらのコインは比較的現存数が少なく買取の対象となるものが多い。だが特に高価というわけではなく、また状態・年号により大きな価格差が存在する。以下のものが高価なほうである。
円銀・貿易銀はニセモノが多いため真贋鑑定が必要。東南アジアの露天商で売られている粗末なものからハイテクを駆使した精巧なニセモノまである。ネットオークションの円銀・貿易銀はニセモノの巣窟。修正品もまた非常に多い。良い物を売るなら大手オークションに出品したほうが良い。
- 発行枚数・現存数が少ない
- 旭日竜5銭銀貨、明治3年・4年、3千~2万円
- 新1円銀貨、明治7年・8年、2万~50万円
- 新1円銀貨、明治11年・明治12年・明治19年(小型)、1万~10万円
- 貿易銀、明治8年・9年・10年、1万~10万円
- 旭日竜50銭銀貨、明治4年(小型大竜)、2万~10万円
- 竜50銭銀貨、明治18年、5千~2万円
- 竜20銭銀貨、明治8年・21年・33年・34年、5千~2万円
- 竜10銭銀貨、明治7年・34年・35年、5千~2万円
- 竜5銭銀貨、明治7年、3千~1万円
- 旭日20銭銀貨、明治44年、5千~2万
- 発行枚数・現存数が非常に少ない
- 竜50銭銀貨、明治7年・9年・10年・13年、100万~200万円
- 竜20銭銀貨、明治13年、100万~200万円
- 竜10銭銀貨、明治13年、100万~200万円
- 竜5銭銀貨、明治13年、100万~200万円
明治の銅貨・白銅貨
これらのコインは現存数が多めで買い取り価格は低いが、一部発行枚数の少ない年号や未使用状態のものは高価である。
- 発行枚数・現存数が少ない
- 2銭銅貨、明治6年、500~3千円
- 半銭銅貨、明治10年(角ウロコ)・明治12年、500~3千円
- 1厘銅貨、明治8年(止明)・明治10年、2千~2万円
- 菊5銭白銅貨、明治28年、千~5千円
- 稲5銭白銅貨、明治36年、2千~2万円
- 発行枚数・現存数が非常に少ない
- 1厘銅貨、明治9年・明治13年、10万~100万円
江戸時代以前の硬貨
これらは状況次第。ピンからキリでいくらで売れるかは非常に難しい。良い物なら大手オークションに出品したほうが良い。大判小判・高価な物はまず真贋鑑定が必要。世に存在する大判小判は粗末なものから精巧なものまでニセモノが圧倒的に多い。本物の小判は元文小判、文政小判、天保小判の売り物がたまにある程度で、数万円ぐらい。本物の大判の売り物はまず無い。大判の売買は有名収集家同士の取引か大手オークションの出品に限られる。
外国コイン
日本ではまともに評価買取してくれる貨幣商は大変少ない。金貨・銀貨は希少性に関わらず地金価格になる。良い物なら大手オークションに出品したほうが良い。クラウン銀貨・ターレル銀貨など名品は海外のオークションに出品した方が正当な評価が付けられる。
海外旅行で余った硬貨はまず買い取ってくれない。銀行に行っても為替相場であっても両替してもらえない。
メダル類
金・銀メダルならば地金相場で買い取ってもらえる。ただし手数料を引かれる。その他のメダルは希少性・由緒に関わらず貨幣商ではまず買い入れない。
結論
ありふれたものは売れない。高く売れるものはめったに無い。需要と供給。