新しいスポーツ
新しいスポーツ(あたら-)とは、従来から存在する運動競技から進化あるいは分化して発生したスポーツである。ここでは特に戦後(1945年以降)に発生したものを取り上げる。
経緯
競技的背景
そもそもスポーツの進化あるいは乱立分化は特に珍しい事ではなく、例えば水泳競技などはクロール以外の泳法は、大抵他の泳法から独立して生まれている。また囲碁のようにローカルルールがそのまま普及して新競技の誕生につながるケースもある。
歴史的経緯
上記のように、新しいスポーツは時間の経過とともに自然発生するのだが、それらの振興に労力が投入されている理由を知るには、1945年に話を戻す必要がある。
廃墟からの復活
第二次世界大戦で歴史的敗北を喫した枢軸国、特に日独伊の三国では、敗戦によって失われてしまった国家と民族の威信を取り戻すため、スポーツによる国威発揚を目指す機運が生じた。しかし空襲や砲撃などで練習用設備が破壊されたり、賠償金の支払いなどでスポーツ予算は枯渇し、どう考えてもスポーツどころではなかった。ましてや、戦勝国側にアドバンテージがあるような既存競技で勝利など望めるはずもなかった。そこで彼らはまだ誰もやったことのない未知の競技を創出し、そこで金メダルを取るという方針に活路を見出した。こうして「新しいスポーツ」が産声を上げたのである。
スポーツ大国への返り咲き
このような「新しいスポーツ」の台頭に慌てた戦勝国側は、スポーツ大国としての地位を守るべく既存競技の予算を減らしてでも新しいスポーツに投資を行った。しかし枢軸国を打ち負かした財力がスポーツで生かされることはなかった。というのも戦勝国側、特に米英中ソは冷戦の影響で軍事費が増加したためスポーツに差し向けられる予算が限られていた。さらにそこで東欧諸国・共産圏の経済破綻、ベトナム戦争による浪費、米ソ五輪ボイコット合戦など様々な経済的要因が加わった結果、戦勝国側のスポーツ界は大混乱に陥っただけでなく、かつての敗戦国側にスポーツ分野で追いつかれることとなった。
2024年現在では「新しいスポーツ」に国境などないが、上記のような攪乱作戦に貢献したということもあり、現代でも普及に心血が注がれている。