アントニオ・ロペス・ガルシア
'''アントニオ・ロペス・ガルシア '''('''Antonio López García''' [[1936年]] - )は、[[スペイン]]の画家。 ==大要== [[ニューヨーク]]での万国博覧会を契機として国際的に活躍しスペイン国内のみならず国際的に非常に高い評価を得ている、マドリード・リアリズムの中心人物。ただしロペスとは異質の相容れない様式で制作する[[エドゥアルド・ナランホ]]のような画家と十把一絡げに同様のもと看做されることに対しては、異議を唱える。 日常的な光景を細部に引きずられない迫真的な描写で的確に描き出す一方、『アトーチャ』(1964)や『皮を剥がされたウサギ』(1972)のように演出の色合いが濃い、ドラスティックな作品もある。一作に膨大な歳月を掛けることも珍しくない。例えば『フランシスコ・カレテロ』 (1961-1987)のように、20年以上の年月を使いそれ故にこそ堅固で壮重なマチエール([[テクスチャー]])とよく探究された諧調・[[バルール]]を備えた絵画を制作している。然るに寡作であり、2回目の個展以降24年もの間作品をまとめて発表する機会を持たなかったという逸話がある。塑像などのいわゆる立体作品も手掛けている。しかし、ロペス自身は「他人がどういおうとすべて私の作品は絵画である」と述べる。また、ロペスを扱った[[映画]]もある。 スペイン生まれの画家として有名な[[パブロ・ピカソ]]とは一見大きく隔たっているように見えるかも知れないが、ロペスが幼少の頃ピカソは存命であった。具体的な関連を見いだすこともできる。単純な技法の上ではピカソの[[ハッチング]]を思わせる描線が見いだされる絵画があるし、『洗面台と鏡』(1967)や『便器と窓』(1968-71)に見られる視点の併合は、[[ポール・セザンヌ]]をひとつの起点とするピカソの[[キュビスム]]に呼応する。[[美術評論家]]の[[米倉守]]は、ロペスの「ピカソをはじめとするスペインの作家」に対する態度について「彼らの仕事を横から眺めていたのではなく、きちっと正面から見つめていただろう。」 と述べている。 また、ロペスは『便器と窓』などのように幾度か便器を描いているが、このとき、[[マルセル・デュシャン]]の『泉』を無視することはできない。作品のこのような言及的な性格は、「現実に対する」「忠誠を表明する」、「伝統的な主題と技術を用いる」画家のものとしてはラディカルである。このことから、基礎的な造形性や共有され一般化された審美性に依存した方法を採用していないことが分かる。ロペスのこの「単なる快いだけの美」の否定については[[野田弘志]]も指摘するところである。 ==経歴== * [[1936年]]、[[トメリョーソ]]に生まれる。 * [[1950年]]、[[マドリード]]のサン・フェルナンド美術学校入学。 * [[1955年]]、サン・フェルナンド美術学校卒業。 * [[1957年]]、官展で絵画賞受賞。初めての個展をマドリードのアテネオで開催。 * [[1958年]]、[[パルデペーニャス]]の展覧会にて受賞。ロドリゲス・アコスタ財団の援助と教育省の援助でそれぞれ[[イタリア]]と[[ギリシャ]]に遊学。 * [[1961年]]、[[マドリード]]のビオスカ画廊で二度目の個展。 * [[1964年]]、[[アメリカ合衆国]] [[ニューヨーク]]の[[万国博覧会]]スペイン館に出品。 * [[1974年]]、[[ドイツ]] [[ダルムシュタット]]にて受賞。 * [[1977年]]、[[フランス]] [[パリ]]のフィアック’77にマロボロー画廊により作品が出品される。ドイツ [[カッセル (ドイツ)|カッセル]]の[[ドクメンタ]]VIにも参加。 * [[1983年]]、パブロ・イグレシアス賞受賞。スペイン美術界最高の褒賞である美術賞金受賞。 * [[1985年]]、「今年の人」としてABC賞受賞。アストォーリア王子芸術賞受賞。アルバセテ美術館で個展開催。ユーロパリア;85―スペインに参加、ブリュッセル近代美術館で展覧会開催。 * [[1986年]]、カスティーリャ・ラマンチャ金賞受賞。[[フランス]] [[パリ]]のフィアック’86にマロボロー画廊により出品。 * [[1988年]]、マドリードのアルコ'86にニューヨークのマロボロー画廊を通して出品。 * [[1989年]]、「ピカソ,ミロ,ダリとその時代,スペイン20世紀美術展」([[東京]] 西武美術館、[[尼崎]] つかしんホール)に出品。 * [[1990年]]、M.ブレンソン、F.カルボ・セラリェール、E.J.サリバンにより初めてのモノグラフが出版される。 * [[1991年]]、「スペイン美術はいま―マドリード・リアリズムの輝き」に出品。 * [[2002年]]、「写実・レアリズム絵画の現在」(奈良県立美術館)出品。(他に[[野田弘志]]、[[磯江毅]]、[[諏訪敦]]らが出品した展覧会) ==代表作== * 『アトーチャ』 1964 * 『洗面台と鏡』1967 * 『浴槽の女』 1968 * 『便器と窓』1968-71 * 『男と女』 1968-91 * 『トレス ブランカスから見たマドリード』 1971 ==映画== * 『マルメロの陽光』 ビクトル・エリセ, アントニオ・ロペス・ガルシア ==関連項目== * [[リアリズム]] * [[絵画]] * [[彫刻]] ==参考文献== * 「Antonio LÓPEZ」EDICIONES POLIGRAFA (西)ISBN 84-343-0808-8 * 「スペイン美術はいま―マドリード・リアリズムの輝き」図録 朝日新聞社 1991 * 美術の窓 1992年7月 no,116 *「写実・レアリズム絵画の現在」図録 奈良県立美術館 2002 ==外部リンク== * [http://www.epdlp.com/pintor.php?id=297 EL PODER de La PALABRA のアントニオ・ロペス・ガルシアのページ] * [http://www.timlowly.com/a/lopezgarcia.html アントニオ・ロペス・ガルシアを賞賛しているページ] * [http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/coa/colGetByArt.do?command=view&number=407 長崎県立美術館に収蔵されている『フランシスコ・カレテロ』] {{DEFAULTSORT:ろへすかるしあ あんとにお}} [[Category:スペインの画家]] [[Category:1936年生]] [[ca:Antonio López García]] [[en:Antonio López García]] [[es:Antonio López García]] [[fi:Antonio López García]] [[it:Antonio López García]] [[pt:Antonio López García]] [[ro:Antonio Garcia Lopez]]