「白井勝美」の版間の差分
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2015年3月16日 (月) 19:03時点における版
白井 勝美(しらい かつみ、1961年 - )は、日本の著作家。横浜市在住。通称絶望男、シラちゃん、白井先輩。
略歴
神奈川県横浜市出身。アルコール依存症を患い家庭内暴力を繰り返す聴覚障害者の父親と、身体障害者で仏教系の新宗教に没頭していた母親の下に生まれ育つ。貧困家庭に生まれ育ったためクラスメイトからそれを理由にいじめに遭い、中学時代には不登校となる。また、幼少期から父方の親類との間で確執があり、前述の暴力の事実を訴えても相手にしてもらえなかったという。高校には様々な要因が重なり進学できず、「中卒」というハンディキャップを負ったと語り、現在までいわゆる定職に就いたことが無いという(ただし、アルバイトなどの軽作業の経験はある)。
やがて引きこもりになり自殺未遂を起こす。20歳頃からうつ病を患い精神科病院に通院し精神障害者2級に認定された。精神障害という“一目では分からない”障害のため、「白井は障害者に見えない」と多くの人たちに言われ続け、傷ついたという。また、再起を期して参加した自助グループでも争いに巻き込まれたり、心理学のワークショップに多額の借金をしてまで参加を続けた。 1993年、32歳の時に父親を亡くす。
2006年にNPO法人NEWVERY(当時はコトバノアトリエ)主宰の小説家育成プロジェクト「神保町小説アカデミー」(現在は廃止)に参加。NPO法人ユニークフェイス代表・石井政之の手ほどきを受け[1]、2007年3月に卒業。ちなみに、同アカデミーに参加する以前、別の業者により自費出版詐欺に遭っている。2008年1月に自叙伝『絶望男 —46歳、ニート、障がい者の人生—』が出版され、社会民主党党首・福島瑞穂も本書の帯にメッセージを寄せた。これに先立って、2007年12月26日に放送されたTBS系列の報道番組『筑紫哲也 NEWS23』の年末企画「生活破壊〜ギリギリ以下を生きる」に出演、自らの生い立ちなどを語る。
自叙伝出版後、2008年2月に新宿ロフトプラスワンで開催された出版記念イベントや、月乃光司主宰の心身障害者によるパフォーマンスイベント『こわれ者の祭典』に参加。また、月乃に誘われる形で新潟放送の番組『NEXT!』にも出演し、月乃と共にパフォーマンスを披露した[2]。その後は、月乃も出演するコトバノアトリエ運営のインターネットラジオ『オールニートニッポン』で、「絶望男・白井勝美のキングオブニート」というレギュラー番組を持つが、2009年の10月25日で休止となっている[3]。
人物
家計は糖尿病とがんを患う弟が支えている。自身の収入は2カ月に1度支給される障害年金。
趣味は映画観賞。映画は白井に強い影響を与え、DVDは100本以上所有する。『タクシードライバー』には特に感銘を受けた。
前述の父親の影響から「自分はアルコールは一切飲まない」とのこと。同様に母親の影響から「宗教は絶対にお断りだ」とのこと。
引きこもり・ニート・精神障害者の人たちに「待つこと」を勧めている[4]。
評価
- フリーライターの赤木智弘は、白井が書籍を出版したことについて「ブログなどで、しっかりとした文章を書き、問題提起している人がいるが、そこに吸収されてしまうと、いくら書いても本人の生活が(経済的に)よくならない。白井さんは、なまじネットをやっていなくて良かったのかもしれない」と述べた[5]。
- 作家の雨宮処凛は白井の著作を読み「私は、社会的に排除されている若者、貧困者、障がいを持つ人の問題について書いているが、そうした要素のすべてを一人で持っているのが白井さん。あらゆる社会矛盾を背負っている白井さんの話は、ひとりのニート・障がい者の人生の物語として読めるだけでなく、白井さん個人に限定されない、誰もが落ちうる社会的な落とし穴についての話としても読める」と述べた[5]。
- NEWVERY理事長の山本繁は「本を出したいという白井さんの思いに、売れるかどうかわからないけど、やってみようと、動き始める人がでてきた。こういうことは、きれいごとだと思われがちだが、実際にあること。苦しい状況にいる人も、白井さんを見て、希望を持てるようになってほしい」と述べた[5]。
著作
- 『絶望男 —46歳、ニート、障がい者の人生—』(ティー・オーエンタテインメント、2008/1/30) ISBN 978-4904376034
脚注
- ↑ (2008-2-5) 『絶望男』白井勝美 フリーライター・石井政之の書評ブログ 2008-2-5 [ arch. ] 2010年7月7日
- ↑ () ☆おさらい☆ BSNテレビ「NEXT!」 [ arch. ] 2010年7月7日
- ↑ () レギュラー番組休止のお知らせ オールニートニッポン [ arch. ] 2010年7月7日
- ↑ 白井勝美 (2008) 白井勝美 [ 絶望男 —46歳、ニート、障がい者の人生— ] ティー・オーエンタテインメント 2008 あとがき
- ↑ 5.0 5.1 5.2 (2008-2-4) 『絶望男』 46歳 ニートで障がい者の作家がデビュー livedoor ニュース 2008-2-4 [ arch. ] 2010年7月7日