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2012年12月30日 (日) 12:57時点における版
発情期とは、生殖活動に伴う興奮状態であるが、動物の多くが発情中の異性の臭気や特異な行動によって引き起こされる一方で、人間を含む霊長類に至っては、様々なシンボルによっても興奮することが確認されている。
概要
性的興奮は配偶行動を引き起こす至近要因である。積極的な配偶行動は適応度の増加をもたらすために、配偶行動を引き起こす衝動は進化的に発達したと考えられている。
動物における性的興奮状態において、顕著な変化は以下の通り。
性的興奮を覚える対象として、もっとも普遍的なのが発情中の同種の異性個体の存在と、その個体が発する求愛信号である。昆虫の場合、フェロモンの分泌や鳴き声などが求愛信号の代表であるが、ガガンボモドキに見られるようにオスがメスに与える餌の量が重視される場合もあり、多様である。魚類の場合は体色の変化や特徴的な部位の顕示行動が見られる。繁殖行動を促す顕示行動を特に求愛ディスプレイと呼ぶ。哺乳類では特徴的な部位(例えば角)の発達、それらの部位の顕示、尿や分泌液の匂いなどが信号となる。
人間では、様々な抽象的シンボルや、さらには自身の空想からでも、性的興奮を呼び起こすことも可能では在るが、あまりに先鋭化し過ぎると、いわゆる変態性欲の範疇に入ってくる。しかし人間の場合、非常に様々なシンボルに性的興奮を喚起させる能力に恵まれていることもあり、様々に様式化されており多種多様な性的興奮の対象が存在する。
性的興奮の対象
匂い
もっとも普遍的なのは発情中の異性であるが、その発情を知らせる信号としてもっとも一般的なものは匂いである。匂いには俗に言うフェロモンがあるが、昆虫や一部の動物には発情を引き起こすための性フェロモンが存在する。
しかし人間の場合は明確な性フェロモンは存在しているわけではないようで、現在に至るまで、人間性フェロモンは発見されていない。人間が性的興奮を覚える異性の香りは個々の人における主観の中では明確に存在しており、それらの人々は、匂いによって発情する。
もっともこの場合の匂いではあるが、人によってまちまちで、異性の肌の匂いに敏感な人もいれば、中には生理中の血の匂いや下り物の匂い、果ては他人には悪臭にもなりかねない汗の分解したアンモニア臭や、悪臭そのものの糞や屁の臭いに発情する人もいる。
音声
鳥類はその視覚的な物もあるが、それ以上に鳴き声によって求愛活動を行い、性的興奮を喚起する。昆虫などでは求愛活動に一晩中鳴き続けるし、哺乳類の多くも、求愛活動の段階において、特徴的な音を発生させる。
人間の場合は特に、言語によるコミュニケーションを日常的に行うため、求愛活動も言語的音声によって行われ、これを聞いた相手が性的興奮を催す。中には「異性の声」に無条件に反応する向きもあるようだが、特に情熱的な発音などに興奮したり、性行為時に興奮して発せられる、いわゆる喘ぎ声は、特に顕著な性的興奮を呼び起こす。またそれらの興奮を呼び起こす音を文字的に表現した物でも、人間は性的興奮を催すことが可能である。
しかし中には、様々な道具に関連した音までもを性的興奮に結びつける感覚の持ち主もおり、それらは様々な音に反応して、性的興奮を得ていると思われる。
見た目
異性の体に見られる身体的特徴に発情するのは、特に霊長類に強く見られる傾向である。この視覚的刺激には、発情中の異性の生殖器周辺の充血や特徴的な膨らみなどであるが、チンパンジーにおいては発情中の雌個体は生殖器周辺部が瘤のように腫れあがり、これを見た雄の個体は性的興奮を覚えるし、ニホンザルの場合は尻の充血・発色具合を見て興奮する。これは録画ビデオ映像によっても性的興奮が起こることが確認されており、純粋に視覚的刺激によって性的興奮が起こっているとされる。
人間の場合は、日常的に衣服で体が隠れていることもあり、様々な身体的部位の見た目で性的興奮をする。顕著な例としては、男性が女性の胸部、脚部に性的興奮を覚えたり、女性が男性の体格に興奮する、体のラインが出やすい薄い衣服の輪郭に興奮する。当然、裸体そのものを見ても性的興奮を覚えるわけだが、これには裸体と認識できる写真やビデオ映像、線画やシルエットといった二次的情報に対しても、性的興奮を覚えることが可能である。特に男性の場合は、視覚的なシンボルによって性的興奮を得るが、女性の場合では、想像上の各種シンボル的情報(場合によっては文字や概念)によっても性的興奮を得ることが可能である。
さらには首筋のラインや顔の造型、足や手といった、比較的露出度が高い部位に、また興奮するわけだが、人間には想像力があるため、乳房や臀部など被服に覆いかくされていてもその形状などが露わに認め得る部位の、二次的に裸体を連想できる視覚情報に性的興奮を覚える場合もある。しかしこれが先鋭化し過ぎると、異性が脱いだ着衣に性的興奮を覚え、肝心の異性の裸体には見向きもしないフェティッシュなどの特殊な性癖となって現れることもある。