「抛物線」の版間の差分
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: <math>\mathbf{a} = (a_x, a_y) = \frac{d^2\mathbf{x}}{dt^2} = \left(\frac{d^2x}{dt^2}, \frac{d^2y}{dt^2}\right) = (0, -g)</math> | : <math>\mathbf{a} = (a_x, a_y) = \frac{d^2\mathbf{x}}{dt^2} = \left(\frac{d^2x}{dt^2}, \frac{d^2y}{dt^2}\right) = (0, -g)</math> |
2007年10月14日 (日) 14:27時点における最新版
抛物線(ほうぶつせん)とは、その名の通り地表(つまり重力下)で投射した物体の運動(抛物運動)が描く軌跡のことである。
抛物線をその対称軸を中心として回転させた曲面を抛物面という。
目次
数学的定義[編集]
数学的な定義としてよく知られたものはいくつかの方法があるが、いずれも適当な枠組みで互いに他を導出することができる等価なものである。
軌跡[編集]
平面幾何学において抛物線(parabola)とは、準線 (directrix) と呼ばれる直線 d と、その上に無い焦点 (focus) と呼ばれる一点 F が与えられるとき、準線 d と焦点 F とをともに含む唯一つの平面 π 上の点 P であって、P から焦点 F への距離 PF と等しい距離 PQ を持つような準線 d 上の点 Q が存在するようなものの軌跡として定義される平面曲線。
円錐の断面[編集]
二次曲線[編集]
- 焦点が<math>(0,c)</math>、準線が<math>y=-c</math>のとき、抛物線の式は<math>x^2=4cy</math>となる。
- 焦点が<math>(c,0)</math>、準線が<math>x=-c</math>のとき、抛物線の式は<math>y^2=4cx</math>となる。
- 二次関数 y = ax2 + bx + c (aは0ではない)が描くグラフは抛物線になる。
物理学的な導出[編集]
質量 m の物体を斜めに投射するとき、投げ出されたあとの物体に掛かる力は、空気抵抗の存在しない理想的な状況下では下向きに掛かる重力 mg のみ(g は重力加速度)である。したがって、運動方程式 F = maから、物体の加速度は
- <math>\mathbf{a} = (a_x, a_y) = \frac{d^2\mathbf{x}}{dt^2} = \left(\frac{d^2x}{dt^2}, \frac{d^2y}{dt^2}\right) = (0, -g)</math>
となる。初速が v0 = (vx(0), vy(0)) = (v0 cos θ, v0 sin θ) (v = |v|) であるならば、積分して
- <math>\mathbf{v} = (v_x, v_y) = \frac{d\mathbf{x}}{dt} = \left(v_x(0) + \textstyle\int_0^t 0\, dt, v_y(0) + \textstyle\int_0^t -g\, dt\right) = (v_0\cos\theta, v_0\sin\theta - gt)</math>
となり、初期位置を x0 = (0, y0) にとると、さらに積分して
- <math>\mathbf{x} = (x,y) = \left(0 + \textstyle\int_0^t v_x dt, y_0 + \textstyle\int_0^t v_y dt\right) = (v_0 t \cos\theta, y_0 + v_0 t \sin\theta - gt^2/2)</math>
が時刻 t における物体の位置である。t を消去すれば、適当な定数 a, b, c によって
- <math>y = ax^2 + bx + c</math>
の形に書くことができる。
性質・例示[編集]
正射影と焦点[編集]
- 焦点から準線に引いた垂線は、この放物線の唯一の対称軸になる。放物線とその対称軸との交点を、この抛物線の頂点と呼ぶ。放物線をその対称軸の周りに回転させてできる曲面を回転放物面、または単に抛物面 (paraboloid) と呼ぶ。
包絡線[編集]
微積分[編集]
電子[編集]
二次近似[編集]
ある曲線 γ が(γ 上の)ある点 P において C2-級ならば、γ は P の十分近くである抛物線(の一部)にほぼ一致する。γ が必ずしも一定の平面上にある曲線ではないとしても、P において C2-級という条件から、P の十分近くであれば一定の平面上にほぼ乗っていると考えられる。別な言い方をすれば、任意の C2-級曲線は各点で抛物線と二次の接触を持つ。
- これは、C1-級曲線が各点の近傍で接線と呼ばれる直線(線分)で近似されることの類似である。
関数のグラフを抛物線によって近似し、その関数の積分を計算する数値積分法にシンプソンの方法がある。このときの近似誤差はテイラーの式の3次の剰余項を適当に評価することで測れる。被積分関数が3次までの多項式関数ならば、シンプソンの公式による数値積分は誤差無しに積分値を得ることができる。
雑多な類似物[編集]
抛物線となんらかの関係があるわけではないが、たまたまただなんとなく似ている曲線。
カテナリ[編集]
抛物線が持つ性質のうち
- 唯一つの極小な頂点を持つ
- 下に凸な滑らかな曲線で
- 頂点を通る直線を対称の軸として線対称
という条件を満足するような直線の別な例を、やはり自然現象の中から見つけることができる。
鎖やロープのような均一な線質量密度を持つ線状物の両端を固定すると、重力下で下に凸の曲線となる。この曲線はカテナリ(懸垂曲線)と呼ばれ、頂点付近の十分近くで微視的にはほぼ抛物線として記述できるが、巨視的には抛物線とはかけ離れた形状を示す。
脚注[編集]