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2018年2月15日 (木) 02:22時点における版
'''マティーニ''' (''Martini'') は、[[ジン (蒸留酒)|ジン]]ベースの著名な[[カクテル]]。通称'''カクテルの王様'''。 == 由来 == 諸説あるが、 * [[1910年代]]に[[ニューヨーク]]のニッカボッカー・ホテルにいたマルティーニという名の[[バーテンダー]]が考案したことから(しかし現在のものとはレシピが異なる) * マティーニの原型となったカクテルで使用されていた[[ベルモット]]が、[[イタリア]]の[[マルティーニ・エ・ロッシ]]社製であったことから などが有力とされている。 * ただし、[[開高健]]の著作によると、マルティーニ・エ・ロッシ社が、自社の[[ベルモット]]を拡販するために、このカクテルに“マティーニ”と名づけて意図的に流行させた、というのが事実のようである。開高は[[サントリー]]の宣伝部に在籍していたので、この辺の事情には詳しかった。 == 標準的なレシピ == * ドライ[[ジン (蒸留酒)|ジン]] - 45[[ミリリットル|ml]] * ドライ[[ベルモット]] - 15ml * あくまでも上記は参考程度に。ジンとベルモットの割合は好みによって、また作る者によって様々だからである。元々はジン1に対してベルモット2程度の割合であったが、その後辛口(ドライ)なものが流行し、一時期にはベルモット1滴の中にジンを注ぎ込むといった'''エクストラ・ドライ・マティーニ'''も供されることがあったという。 今日ではジン3~4に対してベルモット1が標準的とされる。それよりジンが多い場合には'''ドライ・マティーニ'''と呼ばれることが多い。 == 作り方 == * 上記材料を[[ミキシンググラス]]に入れて[[ステア]]する。 * [[カクテルグラス]]に注ぎ、[[オリーブ]]を飾る。 好みで上記材料に[[オレンジ・ビターズ]]数滴を加えたり、供する前に[[レモンピール]]を絞り加えることもある。 == 備考 == * [[イギリス]]の[[首相]]を務めた[[ウィンストン・チャーチル]]もマティーニ、特に辛口のエクストラ・ドライ・マティーニを好んだと言われる。ベルモットを口に含んだ執事に息を吐き掛けさせ(執事にベルモットと言わせたとの説も)、「ベルモットの香りがするジン」を好んだという話や、ベルモットの瓶を横目で眺めながら(正視すると「甘すぎる」らしい)(ベルモットが当時戦争相手だったイタリア生まれの酒だから、という説もある。)ジンを飲んだという逸話が伝えられている。 * 007シリーズで[[ジェームズ・ボンド]]が「[[:en:Vodka Martini|Vodka Martini]]. [[:en:Shaken, not stirred|Shaken, not stirred]].([[ウォッカ]]マティーニを。ステアせずにシェィクで)」というセリフをキめるシーンがある。本来、ジンでつくるマティーニをウォッカで、おまけにシェイクして出せという意表を突いたセリフが受け流行となり、これは007シリーズの定番になった。しかし小説[[007 カジノ・ロワイヤル|カジノ・ロワイヤル]]では[[ジェームズ・ボンド|ボンド]]が、ゴードン・ジン 3、ウォッカ 1、キナ・リレ 1/2を、よくシェークしてシャンパン・グラスに注ぎ、レモンの皮を入れるというオーダーをする。このオーダーは2006年に同名の映画が公開されることにより有名になり、[[ボンドガール]]の名前をとり[[ヴェスパー (カクテル)|ヴェスパー]]あるいはヴェスパー・マティーニと呼ばれる定番になったが、このレシピが有名になることによって大量生産されていなかった、フランス製のヴェルモット「キナ・リレ」(Kina Lillet、現名: リレ・ブラン)は簡単には手に入れることができなくなり、このカクテル自体が希少品となった。 * [[第二次世界大戦]]を舞台にした[[アーネスト・ヘミングウェイ]]の小説『[[河を渡って木立の中へ]]』の中で、主人公がバーテンダーにマティーニを注文するさい「[[バーナード・モントゴメリー|モンゴメリー]]将軍で」と頼む。これは15:1のハードなドライ・マティーニの事で、アフリカ戦線の連合軍総司令官[[バーナード・モントゴメリー|モンゴメリー]]将軍がドイツ軍との戦力比が15対1以上にならないと決して攻勢を開始しなかった事に引っ掛けている。 バリエーションとして * '''ウォッカ・マティーニ'''(ウォッカティーニ) ジンの代わりに[[ウォッカ]]を用いたもの。 * '''スウィート・マティーニ''' ドライベルモットの代わりにスウィートベルモットを用いたもの。 * '''サケ・マティーニ'''(サケティーニ) ドライベルモットまたはジンのどちらかを[[日本酒]]に置き換えたもの。 * '''[[ギブソン (カクテル)|ギブソン]]''' [[オリーブ]]の代わりに[[パールオニオン]]をデコレーションに用いたもの。 などがあり、上記以外にも実に多岐にわたるヴァリエーションが存在する。1979年に出版された『ザ・パーフェクト・マティーニ・ブック』では268種類のレシピが紹介されているといわれる。 * 欧米での綴りはいずれも Martini である。これを英語風に発音すると(マーを強く)「'''マー'''ティニ」となるが、英語圏でもイタリア風に「マル'''ティー'''ニ」、あるいは折衷的な「'''マー'''ティーニ」などと発音されているようである。日本では'''マティーニ'''と表記される。 == マティーニ論争 == 上記のようにマティーニには多種多様のバリエーションがあり、どれが正しい(おいしい、王道の)マティーニかを争う論争。全体的には「男らしさ」を追求するタイプの論者ほどジンを多めにと主張する傾向がある。バー等で客同士が熱烈に議論し酒の肴にするのは日常的に見られる風景である。 == 関連文献 == * 旭屋出版編集部『The Best of MARTINI Book 名バーテンダー・人気バーテンダー 珠玉のマティーニレシピ』旭屋出版、2004年5月、ISBN 4751104403 * 稲保幸『スタンダード・カクテル・ブック927 付録マティーニ・カクテル徹底研究821』しゅるい研究社、2004年7月、ISBN 443404625X * 枝川公一著『日本マティーニ伝説 トップ・バーテンダー今井清の技』(『小学館文庫』)、小学館、2001年2月、ISBN 4094051716 ** 年譜あり * ギャップ出版編集部編『タンカレー・マティーニAtoZ』ギャップ出版、2001年6月、ISBN 4901594257, ISBN 4883571270 * 朽木ゆり子著『マティーニを探偵する』(『集英社新書』)、集英社、2002年7月、ISBN 4087201503 * 渡辺一也『カクテル1000&マティーニ100』ナツメ社、2005年10月、ISBN 4816340157 == 関連項目 == *[[カクテルの一覧]] == 外部リンク == * [http://directory.google.com/Top/Home/Cooking/Beverages/Cocktails/Martinis/ Martinis Google:ディレクトリ](英語) * [http://dir.yahoo.com/Society_and_Culture/Food_and_Drink/Drinks_and_Drinking/Alcohol_and_Spirits/Cocktails/Recipes/Martini/ Matini Yahoo](英語) {{DEFAULTSORT:まていに}} [[Category:ジンベースのカクテル]] [[en:Martini (cocktail)]]