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発光ダイオード(はっこうダイオード、英:light emitting diode、LED)は、順方向に電圧を加えた際に発光する半導体素子のことである。
1962年、ニック・ホロニアックにより発明された[1]。発明当時は赤色のみだった。黄色は1972年にジョージ・クラフォードによって発明された。
発光原理はエレクトロルミネセンス (EL) 効果を利用している。また、有機エレクトロルミネッセンス(OLEDs[2]、有機EL)も分類上、LEDに含まれる。
目次
原理[編集]
発光ダイオードは、半導体を用いたpn接合と呼ばれる構造で作られている。発光はこの中で電子の持つエネルギーを直接、光エネルギーに変換することで行われ、巨視的には熱や運動の介在を必要としない。電極から半導体に注入された電子と正孔は異なったエネルギー帯(伝導帯と価電子帯)を流れ、pn接合部付近にて禁制帯を越えて再結合する。再結合時に、バンドギャップ(禁制帯幅)にほぼ相当するエネルギーが光として放出される。放出される光の波長は材料のバンドギャップによって決められ、これにより赤外線領域から可視光線領域、紫外線領域まで様々な発光を得られるが、基本的に単一色で自由度は低い。ただし、青色、赤色、緑色(光の三原色)の発光ダイオードを用いることであらゆる色(フルカラー)を表現可能である。また、青色または紫外線を発する発光ダイオードの表面に蛍光塗料を塗布することで、白色や電球色などといった様々な中間色の発光ダイオードも製造されている。
特性[編集]
電気的特性[編集]
他の一般的なダイオードと同様に極性を持っており、カソード(陰極)に対しアノード(陽極)に正電圧を加えて使用する。電圧が低い間は電圧を上げても電流が増えず、発光もしない。ある電圧を超えると電圧上昇に対する電流の増え方が急になり、電流量に応じて光を発するようになる。この電圧を「順方向降下電圧 (VF)」というが、一般的なシリコンダイオードと比較すると、発光ダイオードは順方向降下電圧が高い。発光色によって違うが、赤外では1.4V程度。赤色・橙色・黄色・緑色では2.1V程度。白色・青色では3.5V程度。紫外線LEDは最もVFが高く、4.5から6Vが必要である。
発光時の消費電流は表示灯用途では数mAから50mA程度だが、照明用途のものでは消費電力が数十Wに及ぶ大電力の発光ダイオードも市販されており[3]、最大駆動電流が10Aに迫る製品も存在する[4]。
逆方向に電圧を掛けた場合の耐電圧は、通常のシリコンダイオードより遙かに低く、通常はマイナス5V程度である。これを超えると破壊されるため、整流用途には使用できない。
光の特性[編集]
蛍光灯や白熱灯など他の多くの光源と異なり、不要な紫外線や赤外線を含まない光が簡単に得られる。このため、紫外線に敏感な文化財や芸術作品や、熱照射を嫌う物の照明に用いられる。入力電流変化に対する光出力の応答が早く通信などにも利用されるほか、照明に用いた場合は点灯と同時に最大光量が得られる。
なお、紫外線領域に近い紫色LEDでは、紫外線を含む場合がある。
物理的特性[編集]
駆動方式[編集]
基本的に光量が電流に比例することから、定電流回路や平均電流を一定になるように制御した高周波回路で駆動する。 交流電源はダイオードブリッジなどで整流して利用される。
電流制限抵抗[編集]
定電圧電源に接続して使用する場合は、抵抗器を直列に接続する事で電流をほぼ一定にできる。
電源電圧を E として電流 I を流すには、適切な抵抗値はおよそ (E-VF) /I となるが、LEDの順方向降下電圧 (VF) には個体差があり、抵抗にかかる電圧が変わるため、実際に製造された製品に流れる電流は設計時に想定した値に比べて多少のバラツキが生じる。
抵抗も電力を消費するため電力効率は良くないが、定電圧電源を用意できる場合には最も単純かつ低コストな回路となる。そのため、発光効率を特に追及しない表示灯用途には多用される。
定電流駆動[編集]
定電流ダイオード (CRD) を直列に接続する等、能動素子で定電流回路を構成する事により自動車やバイクのバッテリー等、電源電圧がある程度変動する環境下でも対応できる。
電源には、LEDの順方向電圧降下に加え、定電流回路の動作に必要な電圧が必要となる。CRDは動作に5から10V程度の電圧を必要とするが、1V程度の電圧でCRDと同等の動作ができるICも利用されている。
回路は単純だが、電流制限抵抗と同様、過大な電源電圧を電力を消費して吸収するため、電源電圧によっては電力効率が悪くなる。
高周波駆動[編集]
人間の視覚が認識できない短い時間周期の点滅を繰り返し、見かけ上一定の明るさを得る。明るさは点灯時間のデューティー比を変えるパルス幅変調により容易に調節できる。
駆動回路には電力効率は良いが出力に電流・電圧に変動(リップル)があるスイッチング電源や昇圧回路を用いることが可能である。また、出力電流の平均を一定に保つことで、乾電池のように電源電圧が低かったり、変動幅が大きかったり、という場合にも一定の明るさを維持可能である。
駆動回路で消費される電力が他の駆動方式に比べ少なく、入力電力の大半がLEDで消費されるため、電力効率は比較的良い。しかし、電流断続時の急激な電流変化により生じるノイズ放射が機器内外へ電磁妨害を及ぼすほか、回路規模増大に伴ってコストと実装体積が増加する。
使用に必要な知識[編集]
- 発する光の強さは電流の量におおよそ比例する。しかし特に大電流域では効率が低下する。
- 熱に弱く、80℃以上で素子の劣化が始まるため寿命が縮む。
- 発熱が少ないとはいえ、高出力品では相応に発熱する。熱に弱いので、放熱の必要性は白熱球や蛍光灯よりむしろ高い。ヒートシンクなどで適切に放熱しないと効率の低下や寿命の短縮で発光ダイオードの利点が失われる他、発煙・発火などの事故に繋がる事がある。
- 連続最大電流、瞬間最大電流を超えないこと。定格電流より大きい電流を流すと高光束が得られるが、寿命が極端に短くなる。LEDを使用した市販品では、寿命を犠牲にして高輝度を得ている物や価格を抑えるために電流を制限する回路を省いている物もある。
- 極性があることから、アノードとカソードを間違えて印加した場合発光しない。また逆方向に対する耐電圧が低く、破壊されやすい。
- 並列接続してはいけない[5]。順方向降下電圧 (VF) には個体差があり、並列に繋ぐと最も順方向降下電圧(簡単に言えば、電流が流れ始める電圧)の低い素子のみに電流が集中する。電流の集中でさらに発熱し電気抵抗とVFの値が減少し、さらに電流の集中が促進されるという悪循環が起こる。発光量が不均一になるだけでなく、電流が最大定格を超えれば過熱による寿命短縮や焼損の危険もある。素子の破壊がオープンモードだった場合は、次にVFの低い素子に更に大量の電流が集中し、連鎖的に破壊が進行する。複数のLEDを同時に点灯する場合は、可能な限り直列に繋いだ上で抵抗や能動素子で定電流制御した回路を1単位とし、この単位回路を並列に電源に繋ぐ。ただし、複数の素子が内部で並列接続されている製品もある[6]。
- GaN系などの発光ダイオードは静電気やサージ電流に弱い。
- レンズ付きの発光ダイオードの場合、素子の光軸と実際に放出される光の方向は、製造過程でのばらつきのため通常一致せずわずかにずれている。
- 他の発光器具にも言えることではあるが直視すると、目に悪影響を与える事がある。特に紫外線や高出力のものはその傾向が強い。
材料[編集]
放出された光の波長(色)は、pn接合を形成する素材のバンドギャップの大きさが関係する。発光ダイオードでは近赤外線や可視光、紫外線に至る波長に対応したバンドギャップを持つ半導体材料が用いられる。一般に発光ダイオードには発光再結合確率の高い直接遷移型の半導体が適する一方、一般的な半導体材料であるケイ素(シリコン)やゲルマニウムなど間接遷移型半導体では、電子と正孔が再結合するときに光は放出されにくい。しかし、黄色や黄緑色に長く使われてきたGaAsP系やGaP系などドープした不純物の準位を介して強い発光を示す材料もあり、広く用いられている。
以下の素材を使用することにより、さまざまな色の発光ダイオードを作り出すことができる。
- アルミニウムガリウムヒ素 (AlGaAs) - 赤外線・赤
- ガリウムヒ素リン (GaAsP) - 赤・橙・黄
- インジウム窒化ガリウム (InGaN) /窒化ガリウム (GaN) /アルミニウム窒化ガリウム (AlGaN) - (橙・黄・)緑・青・紫・紫外線
- リン化ガリウム (GaP) - 赤・黄・緑
- セレン化亜鉛 (ZnSe) - 緑・青
- アルミニウムインジウムガリウムリン (AlGaInP) - 橙・黄橙・黄・緑
- ダイヤモンド (C) - 紫外線
- 酸化亜鉛 (ZnO) - 青・紫・近紫外線(開発中)
以下は基板として利用されている。
青色発光ダイオード[編集]
青色発光ダイオードは主に窒化ガリウム (GaN) を材料とする、青色の光を発する発光ダイオードである。青色LEDとも書かれる。日本の化学会社、日亜化学工業株式会社が大きなシェアを占めている。他の有力メーカーとしては、豊田合成、星和電機などがある。GaN系化合物を用いた発光ダイオードの開発とそれに続く青色半導体レーザーの実現により、紫外から純緑色の可視光短波長領域の半導体発光素子が広く実用化されるに至った。
歴史[編集]
発光ダイオードは低電力で駆動することができる光源のため、ディスプレイへの応用が期待されていた。RGBによるフルカラー表示のためには光の三原色(赤・緑・青)の発光素子が必要であるが、このうち1980年代中頃までに純赤色は実用化されていたが、青色の場合は「青色ダイオード」の名で販売されているものがありこそすれ紫がかっており、純青としての実用的な高い輝度を出す製品が皆無だった。また黄緑色は早くから実用化されていたが、純緑色は青色と同じくGaN系半導体材料が用いられるため、純緑色LEDの実用化は青色LEDの登場以降である。これらのことから、発光ダイオードによるフルカラーディスプレイの実現は困難だった。
純青色発光の実現のためセレン化亜鉛 (ZnSe) 系化合物や炭化ケイ素 (SiC) を用いての研究が古くから行われ、ZnSe系による青緑 - 緑色発光ダイオードの開発に至った他、SiCの青色発光ダイオードは弱い発光強度ながら市販もされた。しかしその後、GaN系化合物による青色発光ダイオードが急速に普及したため、現在ではこれらの材料系の技術は白色発光素子や基板などの用途に転用されている。
窒化ガリウムを用いた高輝度の青色LED開発に関して、基礎技術の大部分(単結晶窒化ガリウム (GaN) やp型結晶、n型結晶の作製技術やpn接合のGaN LED)は赤崎勇、天野浩らにより実現されている。また発光層に用いられているInGaNはNTTの松岡隆志(現・東北大学教授)らによって実現されている。それらの技術を使って製品化したのが日亜化学工業である[7]。
2001年8月、中村修二が職務上で1993年11月に発明した(職務発明)「404特許」を巡って元勤務先の日亜化学工業を提訴し、同特許の原告への帰属権確認ないし譲渡対価を巡って係争した(青色LED訴訟)。この訴訟は企業と職務発明者との関係について社会の関心を広く喚起し、裁判所は一審では発明の対価を約604億円と評価し200億円の支払いを命じたが、東京高裁は和解へと誘導し1審判決が認定した発明の対価約604億円の1/100 相当の6億円を「対価」として提示。日亜は、(いずれにせよ対価の支払いが遅れていたので)遅延損害金を含む約8億4千万円を支払うことで和解が成立した。しかし中村修二はなお納得できず、「高裁は山ほど提出した書面をまるで読まず、最初から和解金額を決めていた。高裁の和解案の決め方は正義とは言えない」と指摘するために、滞在していたアメリカより日本に訪れるという出来事もあった[8]。
2004年12月、東北大学金属材料研究所の川崎雅司(薄膜電子材料化学)らの研究チームはより安価な酸化亜鉛を用いた青色発光ダイオードの開発に成功した。青色LEDの再発明ともいわれている。この成果は同年12月19日付の英科学誌ネイチャーマテリアルズ(電子版)にて発表している。高コストの窒化ガリウムに取って代わる可能性もある。
赤崎、天野、中村の三名は青色発光ダイオードに関する業績が評価され、2014年のノーベル物理学賞を受賞した。
白色発光ダイオード[編集]
白色LEDとも書かれる。白色光とは、一般には可視光線の全スペクトル域に渡り強度が連続している光(連続スペクトルの光)を指す用語である。発光ダイオードで得られる発光は、レーザーほどではないものの狭い波長範囲のみに限られるため、この意味での白色光を生成することはできない。しかし、白色のような多色光に対しては、スペクトルが異なっていても同一の色と人間の眼に認知させるようにスペクトルを設計することが可能である。典型的には、テレビのように光の三原色を混合したり、補色関係にある2色を混合して、適切な強度比に設計すれば白色に認知される光が生成できる。白色発光ダイオードではこの原理が利用され、具体的な手法がいくつか考案されている。この結果、低電圧でのDC駆動などダイオードの持つ電気的な扱いやすさのみならず、光源としても高効率(低消費電力)であり、しかも寿命も既存の光源以上に長いことから、LED照明として白色発光ダイオードが利用されるなど、気体を使わない固体光源として普及が進んでいる。
蛍光体方式[編集]
青またはそれよりも波長の短い光を放つ発光ダイオードのチップに、その発光ダイオードの光により励起されて長波長の光を放つ蛍光体を組み合わせた方式。発光ダイオードのチップは蛍光体で覆われており、点灯させると、発光ダイオードチップからの光の一部または全部が蛍光体に吸収され、蛍光はそれよりも長波長の光を放つ。発光ダイオードのチップが青発光であれば、チップからの青色の光に蛍光体の光が混合されてともに出力される。蛍光波長や蛍光体の厚さなどを調整すれば白色光を得ることができる。この蛍光体には、例えばYAG系のものが用いられる。この方式には、単一のチップとパッケージだけで白色発光が実現可能だという利点がある。
白色に認識される光を放つような白色発光ダイオードの実現には、青色発光ダイオードの存在が不可欠であった。蛍光体による発光では、蛍光体が受けた光より短い波長の光は得られないため、赤や緑のLEDでは短波長の成分が不足し白色に認識されないからである。そして蛍光体方式の開発により、固体光源である白色発光ダイオードが本格的に普及することとなった。
擬似白色発光ダイオード[編集]
現在の白色発光ダイオードの主流であり、一般に青黄色系擬似白色発光ダイオードと呼ばれている。視感度の高い波長である黄色に蛍光する蛍光体と青色発光ダイオードとを組み合わせることによって、視覚上で大変に明るい白色発光ダイオードを実現している。青色発光ダイオードの製造を行っている日亜化学は元々蛍光体の製造メーカーであるためこの方式を得意としている。豊田合成も同方式を用いている。この方式により作成された白色発光ダイオードが、世界初の白色発光ダイオードとされている。擬似白色発光ダイオードの実現は、世界的にインパクトを与えた青色発光ダイオードの発表の後だったため報道は控えめだったが、業界内では大きなニュースとなった。
擬似白色発光ダイオードは非常に高いランプ効率 (lm/W) 値が得られることが特徴である。その理由には視感度が関連しており、視感度の高い波長にスペクトルを集中させた蛍光体の黄色と発光ダイオードの青色とを組み合わせることによって実現されている。一般に、人間の網膜にて光の強度や色を識別する細胞組織である錐体は黄緑色の波長(約555nm付近)に高い分光感度を持つ(視感度が高い)。このため、この黄緑色の波長のスペクトルに蛍光体の発光を集中させるとエネルギーの割に人は明るく感じ、視覚上大変に明るい白色発光ダイオードが実現できる。100lm/Wを超えるような白色発光ダイオードでは、ランプ効率が高い擬似白色発光ダイオードを実現するために、全光束に対するエネルギー効率が高くなるように視感度を考慮した最適化がなされている。なお、物理的なエネルギー効率は、物理エネルギー量を示す放射束を投入電力(ワット)で除算して計算されるため、光として取り出すことのできる光(光子数)を増すことにより高めることができるが、それのみでは視感度に対して効率の高くない波長域の光が多い場合もある。ランプ効率を高めるには、物理的に効率が良く、かつ、視感度に適したスペクトルが得られる必要がある。
その引き替えに、特にランプ効率を優先した設計の擬似白色発光ダイオードでは演色性が低下しやすい。一般には擬似白色発光ダイオードの平均演色評価数 (Ra) は76程度となり、一般型蛍光灯 (Ra67) と三波長型蛍光灯(同85)の中間に当たるへのLEDの普及率は、自動車のそれに比べて非常に高い。発電機を動かすためペダルをこぐ力が乗り心地に直結するため、消費電力の少ないLEDの使用により軽快な乗り心地になる。また使用電力が低いため、非接触型の発電機を使用することにより、照明による負荷が非常に少なくなる。廉価な軽快車などでは相変わらず電球が主流であるが、ハブダイナモ式のオートライトには多く採用されている。この他、前照灯としての役目より、他の自転車や自動車からの被視認性を意識した認識灯や尾灯への応用も多い。
舞台演出用の照明器具として[編集]
高輝度LEDを搭載した舞台用照明器具がMARTIN社から発売されている。赤・青・緑(一部製品は白色)の高輝度LEDを搭載することにより一般的なフィラメントを用いた舞台照明と比較して次の利点が挙げられる。
- 消費電力が圧倒的に低い。
- 一つの照明につき多くの色を表現できる。シームレスな切り替えでグラデーションも可能である。
これらは一般的なフィラメント式のフレネル舞台照明よりも高価だが、舞台を始めコンサート・ライブ等で多く採用されている事例がある。
電子写真式プリンター内部の感光用光源[編集]
電子写真式プリンターとして一般的なレーザープリンターは、レーザー光の出力を直接変化させたり、液晶シャッターで強度を変調した光を、回転するポリゴンミラー(多角形鏡)に反射させて走査したりして、感光ドラム上に走査線を作り出している。光学系には高い精度が要求され、構造上どうしてもある程度以上の走光路距離を確保せねばならず、プリンターの小型化、低価格化は困難だった。
これを解決したのが、LEDアレイヘッドを使用したLEDプリンターである。微細加工したLEDを直線上に数千 - 数万個並べ[9]、感光ドラム上の潜像の1ドット1ドットに対応するLEDで感光書き込みを行う。機械的駆動系(ポリゴンミラー)は不要になり、光学系は単純な収束レンズのみで済み信頼性向上とコスト削減、機器の小型化を実現している。ただし、主走査解像度がヘッドの集積度によって制限される、素子間のばらつき補正が必要、ドラムとLEDアレイが非常に近いために飛散したトナーが付着して出力物のクオリティ安定性に欠けるなどの欠点も持つ。
光通信用光源[編集]
駆動電流の変化に対し、光出力が高速応答するという特性を生かし家電製品等の赤外線リモコンやTOSリンクを始めとする光ファイバー通信の信号送信機、またフォトカプラ内部の光源に赤外発光LEDが広く使われている。
模型製作・改造用光源として[編集]
模型用点灯光源としても、価格低減と共にかつて使用されていた小型電球の代替として使用されるようになってきた。光色の制限から、かつては赤色光への使用が主だったが黄色、白色LEDの開発により前照灯や室内蛍光灯の白色光の再現も可能となった。さらに白熱灯の再現については電球色(淡橙色)LEDの開発により、実際の電球ではサイズや発熱などの理由で難しかった箇所も実感的な光色の再現が可能となった。特に、点灯機構を組み込むスペースが限られ、また部材がABSやポリスチレン樹脂などで作られているなど電球の発熱の面でも不利な場合があったNゲージを中心とした鉄道模型の場合、通常のレンズタイプからチップタイプへの移行により構造の小型化により実感の再現に大きく寄与し、これにより従来は実車のヘッドライト構造の関係で製品化が困難だった車種の製品化が実現した。コスト的には従来の電球使用より割高となっても実感的な模型の実現からユーザーに歓迎された面があり、分野としての消費量は少ないながらも実用照明器具での利用に先行して採用されている。また模型用途としては他にカーモデル用ディティールアップパーツやミニ四駆用のタミヤ純正カスタムパーツなど、改造用LEDキットが存在する。
ツェナーダイオードの代用品として[編集]
電子回路内の基準電圧源として一般に使われるツェナーダイオードはアバランシェ降伏現象を利用しているため、出力電圧にわずかながらノイズを発生させてしまう。通常はフィルタ回路によってノイズを十分に減衰させる設計を取るが、オペアンプをディスクリートで組む場合等、「そもそもノイズが発生しない基準電圧源」を追求して定電流駆動したLEDが使われる事例がある。
小信号ダイオードの代用品として[編集]
ディストーションやオーバードライブのクリッピング素子として、シリコンダイオードやゲルマニウムダイオードの代わりに使われる場合がある。
脚注[編集]
- ↑ エジソンに続く物語:GEのエンジニア、ニック・ホロニアックのLED発明から50年(GE imagination at work / 原文(英語):2012年8月15日公開)
- ↑ 英:organic light-emitting diodes
- ↑ White LEDs CSM-360 - Luminus Devices, Inc.
- ↑ White LEDs SST-90 - Luminus Devices, Inc.
- ↑ 日亜化学工業 LEDテクニカルデータ 『GaN系LEDの並列接続回路について』PDF
- ↑ Z-Power LED P7 Series - Seoul Semiconductor Co., Ltd.
- ↑ 豊田合成社との和解の件 - 日亜化学工業
- ↑ “「腐った司法に怒り心頭」 中村教授、帰国し批判会見”. 共同通信 (2005年1月12日). 2012年1月2日閲覧。
- ↑ 通常の半導体加工のように、1回の加工で数千から数万個ならべる。
関連項目[編集]
- 西澤潤一
- 中村修二
- ダブルヘテロ接合
- 半導体レーザー(レーザーダイオード)
- バンド理論
- pn接合
- エレクトロルミネセンス
- 有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)
- 光起電力効果
- 電光掲示板
- フルカラー
- LED照明
- LED標識灯
- 高エネルギー可視光線, 青色光網膜傷害
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