「公正取引委員会」の版間の差分
(→概要) |
(→概要) |
||
13行目: | 13行目: | ||
最近では[[橋梁談合事件]]における日本を代表する[[大企業]]の[[告訴・告発|刑事告発]]や[[マイクロソフト]]や[[インテル]]といった世界的なガリバー企業の摘発など、その活躍振りにはめざましいものがある。平成17年度の同法抜本的改正により、「犯則調査権限」や「課徴金減免制度」が導入された。これによってその権限は大幅に強化された。「市場の番人」や「企業再編の番人」と称されることもある。 | 最近では[[橋梁談合事件]]における日本を代表する[[大企業]]の[[告訴・告発|刑事告発]]や[[マイクロソフト]]や[[インテル]]といった世界的なガリバー企業の摘発など、その活躍振りにはめざましいものがある。平成17年度の同法抜本的改正により、「犯則調査権限」や「課徴金減免制度」が導入された。これによってその権限は大幅に強化された。「市場の番人」や「企業再編の番人」と称されることもある。 | ||
+ | |||
+ | ===企業結合に対する審査 === | ||
+ | 公正取引委員会(経済取引局企業結合課)は、[[合併 (企業)|合併]]([[M&A]])や株式取得などの企業結合が独占禁止法上問題がないかどうかを審査している。そして、一般消費者にとって不利益になるような、競争を実質的に制限することとなる企業結合を禁止することができる。 | ||
+ | |||
+ | 市場への影響を判断するに当たっては、当事会社の[[市場占有率|市場シェア]]やその順位のみならず、当事会社間の従来の競争の状況、競争者の市場シェアとの格差、競争者の競争余力・差別化の程度、輸入品との代替性の程度、参入の可能性の程度、隣接市場からの競争圧力、需要者からの競争圧力、総合的な事業能力、効率性及び経営状況といった多様な事情が考慮されている。例えば、たとえある企業の市場シェアが高まったとしても、他の企業や国外から十分な商品の供給が行われるならば、競争は制限されておらず一般消費者にとっても問題はないため、企業結合は認められる。さらに、企業結合が競争を制限することとなり独禁法に違反すると判断される場合であっても、当事会社が一部の事業を他の会社に譲渡するなどといった適切な措置を講ずることにより、独禁法上の問題を解消することができる場合も、企業結合は認められる。 | ||
+ | |||
+ | また、審査に当たっては、任期付職員を含めた[[経済学者|エコノミスト]]により、必要に応じて経済分析が実施されている。 | ||
+ | |||
{{デフォルトソート:こうせいとりひきいいんかい}} | {{デフォルトソート:こうせいとりひきいいんかい}} | ||
[[Category:公正取引委員会|*]] | [[Category:公正取引委員会|*]] |
2018年2月2日 (金) 16:28時点における版
公正取引委員会(こうせいとりひきいいんかい、略称:公取委(こうとりい)・公取(こうとり)、英語:Japan Fair Trade Commission、略称:JFTC)は、日本の行政機関の一つである。内閣府の外局として、内閣総理大臣の所轄の下に設置される合議制の行政委員会である。
公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを任務とする(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)27条の2柱書、1条)。そして、自由主義経済において重要とされる競争政策を担っている(中央省庁等改革基本法21条10号)。
概要
「経済の憲法」ともいわれる独占禁止法は、私的独占、不当な取引制限(カルテルや入札談合等)及び不公正な取引方法(不当廉売、抱き合わせ販売、優越的地位の濫用等)を禁止している。公正取引委員会は、違反被疑事件を審査し、排除措置命令・課徴金納付命令・警告を行う(独占禁止法の執行)。独占禁止法の特別法である下請代金支払遅延等防止法(下請法)の執行も、中小企業庁と共に行う(中小企業政策)。また、競争政策の企画及び立案を行い、競争制限的な法令・政策・政府規制との調整や競争環境整備に向けた調査・提言等も行っている。さらに、企業結合(M&A等)に関する事前審査や所掌事務に係る国際協力も行う。
かつては取引に関連して、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)も所管しており、誇大広告や表示などがあった場合、本法に基づく行政処分や命令も発出していたが、景品表示法の所管は2009年9月に新たに発足した消費者庁に移管された。
行政機関としては外務省(1869年設置)、会計検査院(1880年設置)に次いで古くから名称変更されずに続いている。
一部業務については第二次世界大戦後、GHQ指揮の下、財閥解体を主導した持株会社整理委員会から引き継いでいる。
最近では橋梁談合事件における日本を代表する大企業の刑事告発やマイクロソフトやインテルといった世界的なガリバー企業の摘発など、その活躍振りにはめざましいものがある。平成17年度の同法抜本的改正により、「犯則調査権限」や「課徴金減免制度」が導入された。これによってその権限は大幅に強化された。「市場の番人」や「企業再編の番人」と称されることもある。
企業結合に対する審査
公正取引委員会(経済取引局企業結合課)は、合併(M&A)や株式取得などの企業結合が独占禁止法上問題がないかどうかを審査している。そして、一般消費者にとって不利益になるような、競争を実質的に制限することとなる企業結合を禁止することができる。
市場への影響を判断するに当たっては、当事会社の市場シェアやその順位のみならず、当事会社間の従来の競争の状況、競争者の市場シェアとの格差、競争者の競争余力・差別化の程度、輸入品との代替性の程度、参入の可能性の程度、隣接市場からの競争圧力、需要者からの競争圧力、総合的な事業能力、効率性及び経営状況といった多様な事情が考慮されている。例えば、たとえある企業の市場シェアが高まったとしても、他の企業や国外から十分な商品の供給が行われるならば、競争は制限されておらず一般消費者にとっても問題はないため、企業結合は認められる。さらに、企業結合が競争を制限することとなり独禁法に違反すると判断される場合であっても、当事会社が一部の事業を他の会社に譲渡するなどといった適切な措置を講ずることにより、独禁法上の問題を解消することができる場合も、企業結合は認められる。
また、審査に当たっては、任期付職員を含めたエコノミストにより、必要に応じて経済分析が実施されている。