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メンヘラ展は、現代美術の展覧会(グループ展)である。あおいうににより企画・キュレーションがなされた。参加アーティスト全員がメンヘラである(後述)という点が、大きな特徴となっている。
概要[編集]
「メンヘラ」という単語は、「うつ病や統合失調症・境界性人格障害といった精神病を患っている人、あるいはそれに準ずる人」のことを指すネットスラングである。もともとは、心の健康=メンタルヘルスについて語り合うインターネット上の掲示板やコミュニティのことを「メンヘル」と略したことから、そういった場に深く関わっている人のことを「メンヘラ」と呼ぶようになった。蔑称として用いられることも多いが、近年では自分自身を「メンヘラ」であるとする人物も多く現れている。
こうした背景を受け、現役の美大生であるあおいうにによって「精神病患者によるグループ展」が立案され、インターネット上で参加者の募集がなされた。
メンヘラ展は、参加アーティストが全員「メンヘラ」である(何らかの精神疾患を抱えており、かつ自身をメンヘラであると主張している)という点において、他のグループ展と大きく異なっている。また参加作家は、美術の教育機関に在学中の作家から、美術の教育をほとんど受けていない作家、さらには現代美術の範囲からは外れている書道・小説の作品までもが展示された。
展示会場には、各作家の病歴を含むプロフィールが提示された。
参加作家[編集]
- 第1回(デザイン・フェスタ・ギャラリー原宿 2014年2月9日~15日開催)
- あおいうに(絵画、インスタレーション)
- 猫乃(絵画)
- 赫映(絵画)
- 魚子(絵画)
- さりい(書)
- 小菅星奈(絵画)
- 川久人口木+デレ子(インスタレーション)
- 幸温望(絵画)
- HANABI(映像)
- wall-hand(絵画、インスタレーション)
- 箱男(人形)
- Furuyan(絵画)
- 第2回(ギャラリー・ルデコ 2014年8月12日~17日開催)
- Fluyn(絵画、写真)※第1回のFuruyanと同一人物
- むとう(インスタレーション)
- さりい(書)
- ウソブキドリ(絵画)※青色と不思議ちゃんによるユニット
- 猫乃(絵画、アクセサリー)
- 那須野翔(絵画)
- 川久富美+デレ子(インスタレーション、パフォーマンス)※第1回の川久人口木と同一人物
- HANABI(映像)
- ナカバヤシアリサ(絵画)
- ぼく(絵画)
- 幸温望(絵画、立体)
- 赫映(インスタレーション)
- IAN MOONE(絵画、立体)
- wall-hand(インスタレーション)
- 伊月遼(小説)
- ろまん(写真)
- あおいうに(絵画)
反響[編集]
「メンヘラ」というデリケートな問題をテーマにした点や、極めて多方向な展示がなされたことで、現代美術界の内外から様々な批評・批判がなされた。
既にこれまで様々なアートシーンで取り上げられてきたアウトサイダー・アートやエイブル・アートとも違う、全く新しい視点の展覧会として肯定的に取り上げられた一方で、「精神病患者を晒し者にしている」「精神疾患への偏見を助長する」「作品の良し悪しとメンヘラであることとは関わり合いが無い」といった声も少なくない。
更には、「メンヘラ」という言葉そのものの定義が曖昧であることから、「メンヘラ展」という名称を用いることを疑問視する意見も存在する。
なお、2014年10月現在、第3回目の展示は未定となっている。
主な事件[編集]
- 第1回開催時は、搬入日・搬出日ともに関東全域で記録的な大雪が発生した。そのため、作品の搬入が大幅に遅れたり、作家が作品の搬出に向かえない等のトラブルが起きた。
- 同じく第1回開催時に、在廊していた作家が突如、精神的な体調不良に見舞われたり、展覧会期間中にオーバードーズや過食嘔吐といった自傷行為に及んでしまうことがあり、批判の対象となった。これらの問題は、精神病患者の手によって展覧会を企画・運営することの難しさをあらためて浮き彫りにすることとなり、第2回企画時には入念に打ち合わせがなされた。
- 第2回開催時、川久富美のインスタレーション作品の一部が、銃刀法に違反する可能性があるとして、主催者側の判断により撤去される事案が生じた(後に修正を加えて再展示がなされた)。
関連リンク[編集]
- メンヘラ展 公式サイト
- 展示報告:Twitterメンヘラ有志(デザイン・フェスタ・ギャラリー原宿)
- タイトルの衝撃がすごい! 「メンヘラ展」が開催中(IRORIO)
- メンヘラ展 会場内の様子
- メンヘラ展2 会場内の様子