「対馬府中藩」の版間の差分
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2008年5月29日 (木) 11:39時点における最新版
対馬府中藩(つしまふちゅうはん)は江戸時代に対馬国(長崎県対馬市)全土と肥前国田代(佐賀県鳥栖市東部及び基山町)及び浜崎(佐賀県唐津市浜崎)を治めていた藩で、別名:厳原藩(いづはらはん)。一般には単に対馬藩(つしまはん)と呼称される事が多い。藩庁は金石城(対馬市厳原町)。藩主は宗氏で初代藩主義智以来、官位は従四位下を与えられ、官職は主に対馬守・侍従を称した。
概要[編集]
土地柄、稲作がほとんど不可能であった為、肥前国の飛び地をのぞくと実質的には無高に近い。対馬国と朝鮮の釜山に倭館をもち、朝鮮との貿易を生業としていたため、実質的な収入は多かった。しかし江戸時代末期になると、肝心の朝鮮との貿易がふるわなくなり極度の財政難に陥った。また、この頃には周辺海域に欧米の船が出没するようになり、この地の守りを重要視した幕府は宗氏を河内国に10万石(20万石説もあり)で転封する計画を立てた。しかし、宗氏は中世からのこの地の領主という誇りがあり、家臣もこの地に根ざした特殊な生活を保っていたために、せっかくのこの申し出を断ってしまった。
当初は肥前国内1万石を併せて2万石格であったが、幕府は朝鮮との重要な外交窓口として重視し、初代藩主・宗義智以来、対馬府中藩を国主10万石格として遇した。
第11代藩主・宗義功と第12代藩主・宗義功は同名であるが、これは第11代の義功が将軍お目見え前に急逝し、弟の富寿を身代わりとし、藩を承継させたためである。
版籍奉還の後、明治2年8月7日(1869年9月12日)に改称して厳原藩となり、明治4年7月14日(1871年8月29日)、廃藩置県により厳原県となった。
主要年表[編集]
- 慶長5年(1600年)
- 慶長8年(1603年) 朝鮮の捕虜数百人を朝鮮に返還
- 慶長9年(1604年) 朝鮮使、対馬来島。宗義智、これを伴って京都に赴く
- 慶長10年(1605年) 徳川家康、伏見城で朝鮮使を引見
- 慶長12年(1607年) 朝鮮の回答兼刷還使(第1回通信使)来島、江戸で徳川秀忠に拝謁
- 慶長14年(1609年) 朝鮮と己酉条約締結、国交回復。釜山の倭館再開(豆毛浦倭館)
- 元和元年(1615年) 宗義智卒し、義成封を襲ぐ。大坂の陣に参戦
- 元和3年(1617年) 朝鮮の回答兼刷還使(第2回通信使)来島
- 寛永元年(1624年) 朝鮮の回答兼刷還使(第3回通信使)来島
- 寛永12年(1635年) 柳川事件、家老・柳川調興は弘前藩、僧・玄方は盛岡藩に配流
- 寛永13年(1636年) 朝鮮通信使(第4回通信使)来島
- 寛文12年(1672年) 大船越の掘切完成
- 延宝6年(1678年) 釜山の新倭館完成(草梁倭館)
- 享保17年(1732年) 府中大火
- 享保18年(1733年) 府中また大火
- 宝暦5年(1755年) 朝鮮貿易不振
- 文化10年(1813年) 伊能忠敬の測量隊来島
- 弘化4年(1847年) 異国船出没
- 安政4年(1857年) 英国軍艦、浅茅湾尾崎浦に来泊、湾内を測量
- 文久元年(1861年) ロシア軍艦、浅茅湾尾崎浦に来泊、芋崎を占領して租借を要求。8月退去
- 文久2年(1862年) 対長同盟
- 元治元年(1864年) 甲子の変、勝井五八郎、尊攘派の家士百余名を殺す
- 慶応元年(1865年) 勝井五八郎誅殺
- 明治元年(1868年) 宗義達、藩兵を率いて東上
- 明治2年(1869年) 版籍奉還。府中を厳原と改名
- 明治4年(1871年) 廃藩置県
歴代藩主[編集]
- 宗(そう)家
外様 2万石格→10万石格 官位官職は下記〔〕に記した以外は、従四位下、対馬守・侍従。
- 義智(よしとし)
- 義成(よしなり)
- 義真(よしざね)
- 義倫(よしつぐ)〔従四位下、右京大夫・侍従〕
- 義方(よしみち)
- 義誠(よしのぶ)
- 方熈(みちひろ)
- 義如(よしゆき)
- 義蕃(よしあり)
- 義暢(よしなが)
- 義功(よしかつ)〔官位官職無し〕幼名:猪三郎
- 義功(よしかつ)幼名:富寿(猪三郎の弟)
- 義質(よしかた)
- 義章(よしあや)
- 義和(よしより)
- 義達(よしあきら)版籍奉還の後、重正(しげまさ)と改称
関連項目[編集]
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