「イラストレーション」の版間の差分
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[[漫画]]や[[挿絵]]もイラストレーションであるが、これらはイラストレーションという呼称が普及した[[1960年代]]以前からあったため、固有の呼称が用いられている。[[建築物]]のパースである[[完成予想図]]もイラストレーションの一種である。 | [[漫画]]や[[挿絵]]もイラストレーションであるが、これらはイラストレーションという呼称が普及した[[1960年代]]以前からあったため、固有の呼称が用いられている。[[建築物]]のパースである[[完成予想図]]もイラストレーションの一種である。 | ||
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2018年12月16日 (日) 19:23時点における版
'''イラストレーション'''(''illustration'')とは、情報を伝達する[[メディア (媒体)|媒体]]のひとつである。イラストレーションは目的に沿って描かれる[[絵画|絵]]であり、情報の[[図解]]という性格をもつ。それは[[マスメディア]]を通じて社会の中で機能することを大前提としている絵であり、[[グラフィックデザイン]]の中の分野である。そのため、作家([[イラストレーター]])自身の世界を一貫と追求する「芸術」とは性質が異なっている。芸術としての絵画に対し、「ポピュラー美術」にあたるのが、現在のイラストレーションなのである。 [[漫画]]や[[挿絵]]もイラストレーションであるが、これらはイラストレーションという呼称が普及した[[1960年代]]以前からあったため、固有の呼称が用いられている。[[建築物]]のパースである[[完成予想図]]もイラストレーションの一種である。 イラストレーションは、略して'''イラスト'''と呼ばれ一般化している。この呼称は[[日本]]でつくられたもので、[[現代 (時代区分)|現代]]の日本におけるイラストは単に絵を示すことが多いが、[[英語]]の''Illustration''は基本的にはその意味がない。英語の''Illustration''の元々の意味は、図解や挿絵など、印刷物の中に扱われる「図版」のことであったが、現在はさらに拡大した解釈で用いられている。''Illustration''の語源は、光沢や光を意味する''Lustre''で、同じような意味の言葉に、照らす、明るくするを意味する''Illuminative''がある。 イラストを描くことを職業にしている人を[[イラストレーター]]という。 == 歴史 == イラストレーションは、[[印刷]]技術の発明により、[[活字]]の他に絵による図版が登場し、文字では表すことのできないものを絵によって表すことから始まった。そして、新聞、図鑑、解剖図などで挿絵が活躍する。[[コメニウス]]の『世界図絵』は文字と絵を併置したはじめての視覚的教科書であった。 [[19世紀]]後半には、印刷技術の大型化に伴い、[[ポスター]]が登場し、メディアとしての広がりを見せる。[[ヨーロッパ]]では、[[ピエール・ボナール|ボナール]]や[[アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック|ロートレック]]、[[アルフォンス・ミュシャ|ミュシャ]]などの[[アール・ヌーヴォー]]の[[画家]]や[[デザイナー]]が華を咲かせた。この時期から「モダンデザイン」という言葉が生まれ、[[イギリス]]の[[ウィリアム・モリス]]が[[アーツ・アンド・クラフツ]]を起こす。 [[1950年代]]後半には、日本において、イラストレーションという呼称が用いられるようになり、[[1960年代]]にはグラフィックデザインから独立したジャンルを築く。 [[1970年代]]から[[1980年代]]には、印刷物の媒体の増加に伴い、メディアをはじめ、空間、環境、舞台、衣装など、表現領域を広げ、現在では現代美術の一端を担っている。 == 日本のイラストレーション == 江戸時代後期)]]古くは[[浮世絵]]のような偉大な祖先につながっているのが、現在までの日本のイラストレーションである。このイラストレーションという呼び名が日本に定着したのは、ほんの最近の事であり、[[早川良雄]]、[[粟津潔]]、[[灘本唯人]]らが土壌をつくり、1960年代に[[宇野亜喜良]]、[[横尾忠則]]、[[和田誠]]らが活躍し、イラストレーションの市民権を獲得することに成功した。そこには既に文章に従属した挿し絵というニュアンスを大幅に超えて、独立した美術表現としてのイラストレーションという分野の確立が打ち出されていた。 イラストレーションは1960年代に一大ブームを形成した。当時は[[グラフィックデザイナー]]を兼任していたイラストレーターが、独立した職業となるのは[[1970年代]]以降であり、分業化されて拡大した日本の[[デザイン]]業界がその背景にある。[[高度経済成長]]などの経済力に支えられたマスメディアの許容する日本のイラストレーション表現の多彩な発展ぶりは、その高度な技術的水準から、1970年代後半からは世界中から注目されるまでになった。 == 関連項目 == *[[グラフィックデザイン]] *[[ビジュアルデザイン]] **[[挿絵]] **[[テクニカルイラストレーション]] (''Technical Illustration'') **[[似顔絵]] **[[風刺画]] (''Caricature'') *[[デッサン]] **[[スケッチ]] **[[クロッキー]] **[[画コンテ]] *[[漫画]] * [[美術]] == 参考文献 == *[[粟津潔]]他『VISUALDESIGN3 イラストレーション』 六耀社、1993年、ISBN 4-89737-374-3 [[Category:イラストレーション|*いらすとれしよん]] [[Category:美術のジャンル|いらすとれしよん]] [[Category:絵画技術|いらすとれしよん]]