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2010年4月21日 (水) 16:47時点における最新版
百貨店(ひゃっかてん)とは、元々大きな面積の店舗を持ち、多種類の商品を取り扱う店のことである。名称は百種類の商品(貨)を扱うことから来たもの。デパートメントストアまたはそれを省略してデパートとも呼ばれる。
目次
歴史[編集]
世界初の百貨店は一般に、1852年のパリに織物類をあつかう店舗から発展したボン・マルシェ百貨店だと考えられているが、百貨店をどう定義するかによって様々な異説がある。19世紀中頃の欧米において百貨店が出現した原因は、18世紀のイギリスに起こって西ヨーロッパ諸国に波及した産業革命にあると考えられる。産業革命によって市場主義が発達し、商品が市中に大量に流通するようになると様々な専門店が樹立した。百貨店はそれらを一括に扱うという概念のもとに生まれ、大きな建築物に様々な種類の商品を陳列し、営業を開始した。
その後、19世紀後半のヨーロッパでは、例えば1885年にパリに誕生したオ・プランタンのように最初からデパートとして開店する店舗もあらわれ、新しい小売業態としてのデパート経営が定着していった。当初は百貨店は高級志向であり、様々な高級品を中心に質と種類を求め陳列した。これは産業革命により成功した資本家などを初めとする富裕層を顧客として得ることが可能となり、百貨店は店舗を増加させ発達していった。アメリカにおいても19世紀後半、伝統的な織物店のうち比較的規模の大きい小売商からデパートに転身するニューヨークのメイシーズなどが出現した。デパートの主な成長要因は、都市部への人口集中、中間所得層の成長、大量生産体制の進展にともなう大量流通制度の確立などの経済的、社会的変化のほか、こうした変化に対応するために考案された定価制度の導入、返品制度や払い戻し制度などを指摘できる。しかし第二次世界大戦が終わると、世界的に経済格差を是正する動きが高まり、旧家の勢力が衰える傾向によって富裕層が減少し、かつての方式に囚われていた百貨店は一時的に衰退することとなる。さらに、チェーンストアやスーパーマーケットといった新しい小売業態の出現にともなう競争の激化は、百貨店にさらなる追い討ちをかけた。これにともない、近年では激しい競争に生き残るために独立百貨店の合併、業務提携が進んでいる。
店舗形態[編集]
店舗は数階建ての大型の建造物を用いる形が一般的で、7階建て前後が主流である。各階毎に商品のジャンルをまとめ、専門の販売員を配属し販売を行う。地下があるものもあり、地下はたいてい、駐車場や食品専門店街があることが多い。 なお実演販売も百貨店で行われている場合が多い。だが、最近では大型ショッピングセンターや大型店舗が増えた為、デパートとスーパーの境界が曖昧になっている。
世界の百貨店[編集]
アメリカ合衆国[編集]
アメリカでは例えば、メイシーズ、ロード・アンド・テイラー、シアーズ、J.C.ペニーなどが百貨店と考えられる。その一方で、ターゲット、Kマート、ウォルマートなどはディスカウントストアと見なされている。また、会員制の大型ディスカウントショップでは年会費が発生し、コストコ、ビージェイズ・ホールセール・クラブ、サムズ・クラブがこれに当たる。
イギリス[編集]
イギリスの主要百貨店は、ピーター・ジョーンズ、ハロッズ、ジョン・ルイス、セルフリッジ、ハウス・オブ・フレイザー、ハーヴェイ・ニコルズ、デベナムズが挙げられる。また、マークス&スペンサーは英国最大の衣料小売店である一方、英国の百貨店の定義に当てはまらないため、厳密には百貨店に含まれない。
フランス[編集]
フランスの主要百貨店は、ギャラリー・ラファイエットとオ・プランタンがあり、いずれも本店はパリ9区、オスマン大通りに位置する。フランス最古、また世界最古の百貨店であるボン・マルシェ百貨店もパリにある。
日本の百貨店[編集]
デパートの定義[編集]
日本では商業統計調査の基準によれば、百貨店は「衣・食・住の商品群のそれぞれが10%以上70%未満を取り扱い、従業者50人以上のいわゆる百貨店および総合スーパー」が含まれる。このうち伝統的な意味での百貨店は、売場面積3000m²以上(東京特別区および政令指定都市は6000m²以上)の「大型百貨店」と、3000m²未満(同6000m²未満)の「その他の百貨店」に区分されている。また、商品取引の伝票処理においては百貨店とスーパーマーケットとの間に明確な違いが存在し、百貨店では「百貨店共通伝票」を使用し、スーパーマーケットでは「チェーンストア統一伝票」を使用している。
主要百貨店[編集]
- エイチ・ツー・オー リテイリング(2007年10月発足)
- 阪急百貨店(近畿・関東地方)
- 阪神百貨店(近畿地方)
- J.フロント リテイリング(2007年9月発足)
- 大丸(近畿・北海道・関東・中国四国・九州地方)
- 松坂屋(中京・関東・近畿地方)
- 髙島屋(近畿・関東・中京・中国四国地方)
- 三越伊勢丹ホールディングス(2008年4月発足)
- ミレニアムリテイリング(現在は セブン&アイ・ホールディングス傘下)
- 西武百貨店(関東・北海道・東北・甲信越・北陸・中京・近畿地方)
- そごう(近畿・関東・中国四国地方)
その他[編集]
- 昭和40年代以前は、比較的小規模な商店が店名に『○○百貨店』と名付けていたことも多かったが、個人商店の域を超えていない店がほとんどであった。
参考文献[編集]
- 海野弘 『百貨店の博物史』 アーツアンドクラフツ、2003年、ISBN 490159219X
- 鹿島茂 『デパートを発明した夫婦』 講談社〈現代新書〉、1991年、ISBN 4061490761
- 山本武利、西沢保編 『百貨店の文化史—日本の消費革命』 世界思想社、1999年、ISBN 4790707830
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
※日本百貨店協会運営の百貨店ポータルサイト
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