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その後、ウィーンに戻り、オーストリア軍の義勇兵として活動したが、戦争中に4回負傷している。中尉となったあと退役し、1918年から役者をしていた。陸軍病院入院中に暇つぶしに映画用のストーリーや脚本を書いたものがドイツの大手映画会社ウーファのプロデューサーの[[エーリッヒ・ポマー]]の目に留まり、その制作会社ウーファに雇われた。ドイツの映画会社ウーファで監督として働き始めたときに、表現主義運動が開始された。
 
その後、ウィーンに戻り、オーストリア軍の義勇兵として活動したが、戦争中に4回負傷している。中尉となったあと退役し、1918年から役者をしていた。陸軍病院入院中に暇つぶしに映画用のストーリーや脚本を書いたものがドイツの大手映画会社ウーファのプロデューサーの[[エーリッヒ・ポマー]]の目に留まり、その制作会社ウーファに雇われた。ドイツの映画会社ウーファで監督として働き始めたときに、表現主義運動が開始された。
  
1919年の『Halbblut』で監督デビューし、1920年には将来の妻となる作家のテア・フォン・ハルボウと出会った。1921年のサイレント映画Destiny(ドイツ語:Der müde Tod)は人気を博したスリラー映画となり、ドイツ映画界の第一線に躍り出た。日本でのタイトルは公開時『死滅の谷』であったが、『死神の谷』に変更されている。本作品に[[ルイス・ブニュエル]]は強く影響を受け、後に映画監督となるきっかけとなったという。
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1919年の『Halbblut』で監督デビューし、1920年には将来の妻となる作家のテア・フォン・ハルボウと出会った。1921年のサイレント映画Destiny(ドイツ語:Der müde Tod)は人気を博したスリラー映画となり、ドイツ映画界の第一線に躍り出た。日本でのタイトルは公開時『死滅の谷』であったが、『[[死神の谷]]』に変更されている。本作品に[[ルイス・ブニュエル]]は強く影響を受け、後に映画監督となるきっかけとなったという。
  
 
1922年には世界犯罪映画史に残る古典となった『[[ドクトル・マブゼ]]』、1927年にはSF映画の古典的大作『[[メトロポリス]]』、1931年にはトーキー初期のサスペンス映画『[[M]]』などドイツ映画を代表する作品を送り出した。中でも『[[ドクトル・マブゼ]]』は世界中から絶賛され、興行的にも大成功を収めた。1922年に[[テア・フォン・ハルボウ]]と結婚した。
 
1922年には世界犯罪映画史に残る古典となった『[[ドクトル・マブゼ]]』、1927年にはSF映画の古典的大作『[[メトロポリス]]』、1931年にはトーキー初期のサスペンス映画『[[M]]』などドイツ映画を代表する作品を送り出した。中でも『[[ドクトル・マブゼ]]』は世界中から絶賛され、興行的にも大成功を収めた。1922年に[[テア・フォン・ハルボウ]]と結婚した。
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== 作品評価 ==
 
== 作品評価 ==
 
*[[ジャン=リュック・ゴダール]]、[[フランソワ・トリュフォー]]らフランスのヌーヴェル・ヴァーグの若い批評家、[[ピーター・ボグダノビッチ]]らはドイツ時代よりもアメリカ時代のラング作品を絶賛している。
 
*[[ジャン=リュック・ゴダール]]、[[フランソワ・トリュフォー]]らフランスのヌーヴェル・ヴァーグの若い批評家、[[ピーター・ボグダノビッチ]]らはドイツ時代よりもアメリカ時代のラング作品を絶賛している。
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== 作品(フィルモグラフィ) ==
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*Halbblut(1919) サイレント,キャスト: レッセル・オルラRessel Orla, カール・デ・フォCarl de Vogt, ギルダ・ランガーGilda Langer
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*Der Herr der Liebe(1919) サイレント,キャスト: Carl de Vogt, Gilda Langer, Erika Unruh
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*Die Spinnen, 1. Teil - Der Goldene See(1919)
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*Harakiri (1919)
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*Die Spinnen, 2. Teil - Das Brillantenschiff (1920)
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*Das wandernde Bild(1920)
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*Vier um die Frau(1921)
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*[[死神の谷]](Der müde Tod)(1921)
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*[[ドクトル・マブゼ]] Dr. Mabuse, der Spieler(1922)
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*ニーベルンゲン ジークフリートDie Nibelungen: Siegfried (1924)
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*ニーベルンゲン クリームヒルトの復讐Die Nibelungen: Kriemhilds Rache(1924)
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*[[メトロポリス]] Metropolis (1927)
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*スピオーネSpione  (1928)
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*月世界の女Frau im Mond(1928)
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*[[M]](M - Eine Stadt sucht einen Mörder)(1931)
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*怪人マブゼ博士(Das Testament des Dr. Mabuse)(1931)
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*リリオム(Liliom)  (1934)
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*激怒 (Fury)(1936)
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*暗黒街の弾痕 You Only Live Once (1937)
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*真人間You and Me(1938)
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*地獄への逆襲The Return of Frank James (1940)
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*西部魂Western Union (1941)
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*マン・ハント Man Hunt (1941)
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*Confirm or Deny(1941)
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*Moontide(1942)
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*[[恐怖省]] Ministry of Fear (1944)
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*飾窓の女 The Woman in the Window (1944)
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*スカーレット・ストリート Scarlet Street (1945)
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*[[外套と短剣]] Cloak and Dagger (1946)
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*扉の蔭の秘密 Secret Beyond the Door (1948)
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*House by the River (1950)
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*American Guerrilla in the Philippines (1950)
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*無頼の谷 Rancho Notorious (1952)
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*Rancho Notorious(1952)
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*Clash by Night (1952)
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*The Blue Gardenia(1953)
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*復讐は俺に任せろ The Big Heat (1953)
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*仕組まれた罠 Human Desire (1954)
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*ムーンフリート Moonfleet (1955)
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*口紅殺人事件 While the City Sleeps (1956)
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*条理ある疑いの彼方に Beyond a Reasonable Doubt (1956)
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*大いなる神秘 王城の掟 The Tiger of Eschnapur (1958)
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*大いなる神秘 情炎の砂漠 The Indian Tomb (1958)
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*怪人マブゼ博士 The Thousand Eyes of Dr. Mabuse (1960)
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*Journey to the Lost City (1960)
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*Die 1000 Glotzböbbel vom Dr. Mabuse(2018)

2018年8月26日 (日) 00:09時点における最新版

フリッツ・ラング(Friedrich Christian Anton "Fritz" Lang( 1890年12月5日 - 1976年8月2日 )は、オーストラリア・ドイツ・アメリカ合衆国の映画製作者、脚本家、時にはプロデューサー、俳優であった。ドイツ表現派の巨匠として知られ、イギリス映画協会からは「暗黒の巨匠」と呼ばれている。

経歴[編集]

1890年にウィーンでアントン・ラング (1860–1940)の次男として生まれた。オーストリアのショッテン修道院で1890年12月21日に洗礼を受けた。両親はモラヴィアの出身で、ローマンカトリックであった。母(旧姓シュレージンガー)はユダヤ教からの改宗者だったが、宗教を重要なものと考え、息子をカトリックに入信させた。ラングの映画には、時々カソリックの影響が表れている。自身は後年「カソリックに生まれた」と述べている。

学校を卒業後、短期間だがウィーン工科大学で土木工学を学び、その後、芸術学に転じた。1910年から1914年にかけて、世界を見るためにウィーンを立ち、全ヨーロッパとアフリカを旅行した。後年にはアジアと太平洋地域にも回った。パリ滞在時に第一次世界大戦が勃発し、 敵性外国人として収容所に入れられたが脱出した。

その後、ウィーンに戻り、オーストリア軍の義勇兵として活動したが、戦争中に4回負傷している。中尉となったあと退役し、1918年から役者をしていた。陸軍病院入院中に暇つぶしに映画用のストーリーや脚本を書いたものがドイツの大手映画会社ウーファのプロデューサーのエーリッヒ・ポマーの目に留まり、その制作会社ウーファに雇われた。ドイツの映画会社ウーファで監督として働き始めたときに、表現主義運動が開始された。

1919年の『Halbblut』で監督デビューし、1920年には将来の妻となる作家のテア・フォン・ハルボウと出会った。1921年のサイレント映画Destiny(ドイツ語:Der müde Tod)は人気を博したスリラー映画となり、ドイツ映画界の第一線に躍り出た。日本でのタイトルは公開時『死滅の谷』であったが、『死神の谷』に変更されている。本作品にルイス・ブニュエルは強く影響を受け、後に映画監督となるきっかけとなったという。

1922年には世界犯罪映画史に残る古典となった『ドクトル・マブゼ』、1927年にはSF映画の古典的大作『メトロポリス』、1931年にはトーキー初期のサスペンス映画『M』などドイツ映画を代表する作品を送り出した。中でも『ドクトル・マブゼ』は世界中から絶賛され、興行的にも大成功を収めた。1922年にテア・フォン・ハルボウと結婚した。 『メトロポリス』は公開当時の評価が低く、興行面でも奮わず、製作会社ウーファは新聞社に身売りすることになった。殺人事件をモデルにした1931年の犯罪ドラマ『M』では、殺人鬼を主人公にしてその内面心理を深く追求した。1933年に政権を握ったナチス宣伝省のヨーゼフ・ゲッベルスは、『怪人マブゼ博士』のラストに反ナチの精神を読み取り、出頭を命じるが、 母親がユダヤ人のラングは、熱烈なナチス党員だった妻ハルボウに別れも告げずに、その日のうちに荷物をまとめてフランスに逃亡した。 パリでシャルル・ボワイエ主演のファンタジー映画『リリオム』(1934)を手掛けた後、1934年6月に渡米した。

アメリカではデヴィッド・O・セルズニックと契約し1936年にスペンサー・トレイシー主演の『激怒』を監督した。 1937年にはボニーとクライドをモデルに男女の逃避行を描いた『暗黒街の弾痕』を発表。 『死刑執行人もまた死す』(1943)ではナチスの恐怖を描き、 1941年にウェスタン『西部魂』(1941)、1944年にフィルム・ノワール『飾り窓の女』、1946年にスパイ映画『外套と短剣』などを監督した。 アメリカ時代に20年間で22本の作品を演出した。1950年代末に西ドイツへ戻り、リメイク版『怪人マブゼ博士』(1960年)を撮った。 1963年にはゴダールの依頼で映画産業を舞台にした『軽蔑』に俳優として出演した。晩年はアメリカで過ごし、1976年8月2日にビバリーヒルズの自宅で永眠した。

作品評価[編集]


作品(フィルモグラフィ)[編集]

  • Halbblut(1919) サイレント,キャスト: レッセル・オルラRessel Orla, カール・デ・フォCarl de Vogt, ギルダ・ランガーGilda Langer
  • Der Herr der Liebe(1919) サイレント,キャスト: Carl de Vogt, Gilda Langer, Erika Unruh
  • Die Spinnen, 1. Teil - Der Goldene See(1919)
  • Harakiri (1919)
  • Die Spinnen, 2. Teil - Das Brillantenschiff (1920)
  • Das wandernde Bild(1920)
  • Vier um die Frau(1921)
  • 死神の谷(Der müde Tod)(1921)
  • ドクトル・マブゼ Dr. Mabuse, der Spieler(1922)
  • ニーベルンゲン ジークフリートDie Nibelungen: Siegfried (1924)
  • ニーベルンゲン クリームヒルトの復讐Die Nibelungen: Kriemhilds Rache(1924)
  • メトロポリス Metropolis (1927)
  • スピオーネSpione (1928)
  • 月世界の女Frau im Mond(1928)
  • M(M - Eine Stadt sucht einen Mörder)(1931)
  • 怪人マブゼ博士(Das Testament des Dr. Mabuse)(1931)
  • リリオム(Liliom) (1934)
  • 激怒 (Fury)(1936)
  • 暗黒街の弾痕 You Only Live Once (1937)
  • 真人間You and Me(1938)
  • 地獄への逆襲The Return of Frank James (1940)
  • 西部魂Western Union (1941)
  • マン・ハント Man Hunt (1941)
  • Confirm or Deny(1941)
  • Moontide(1942)
  • 恐怖省 Ministry of Fear (1944)
  • 飾窓の女 The Woman in the Window (1944)
  • スカーレット・ストリート Scarlet Street (1945)
  • 外套と短剣 Cloak and Dagger (1946)
  • 扉の蔭の秘密 Secret Beyond the Door (1948)
  • House by the River (1950)
  • American Guerrilla in the Philippines (1950)
  • 無頼の谷 Rancho Notorious (1952)
  • Rancho Notorious(1952)
  • Clash by Night (1952)
  • The Blue Gardenia(1953)
  • 復讐は俺に任せろ The Big Heat (1953)
  • 仕組まれた罠 Human Desire (1954)
  • ムーンフリート Moonfleet (1955)
  • 口紅殺人事件 While the City Sleeps (1956)
  • 条理ある疑いの彼方に Beyond a Reasonable Doubt (1956)
  • 大いなる神秘 王城の掟 The Tiger of Eschnapur (1958)
  • 大いなる神秘 情炎の砂漠 The Indian Tomb (1958)
  • 怪人マブゼ博士 The Thousand Eyes of Dr. Mabuse (1960)
  • Journey to the Lost City (1960)
  • Die 1000 Glotzböbbel vom Dr. Mabuse(2018)