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* 動物愛([[ズーフィリア]] Zoophilia; [[獣姦]]など):[[動物]]との性的交渉への嗜好。動物性愛とは異なるとされる。
 
* 動物愛([[ズーフィリア]] Zoophilia; [[獣姦]]など):[[動物]]との性的交渉への嗜好。動物性愛とは異なるとされる。
 
* 動物性愛:[[同性愛]]、[[異性愛]]などと同様、[[性的指向]]として提唱されている嗜好。
 
* 動物性愛:[[同性愛]]、[[異性愛]]などと同様、[[性的指向]]として提唱されている嗜好。
* 死体愛好([[ネクロフィリア]]):[[死体]]などに魅惑される性的嗜好。
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* 死体愛好([[屍姦|ネクロフィリア]]):[[死体]]などに魅惑される性的嗜好。
  
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==

2017年12月13日 (水) 12:29時点における最新版

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性的倒錯(せいてきとうさく、Paraphilia)とは、人間の性的行動において、病理的と見なされる種類の嗜好やその実践のことである。大正時代の精神医学では、変態性欲などとも呼ばれていたが、その後、異常性を強調する表現から、より中立性のある表現として現在の性的倒錯となった。

しかし、この言葉でもなお、中立性に欠けるとの考えで、国連世界保健機関 (WHO) などが定める 疾病及び関連保健問題の国際統計分類 (ICD) や、アメリカ精神医学会 (APA) の定める DSM などでは、精神疾患に関しては、「性嗜好障害」や、mental disorder(障害)という用語が使われている。更に、後述の通り、英語・フランス語では Paraphilia・Paraphile といい、日本語でも「異常」の意味合いが多い性的倒錯よりも、パラフィリアと呼ぶことが望ましいとの考えもある。

語源[編集]

西欧の言語、例えば、英語では Paraphilia というが、これも異常性を強調しないで、客観的中立的な表現を選択してこのような名称となった。Paraphilia は、「」を意味する philia(フィリア)に「横・脇」を意味するギリシア語の前置詞 para を付けて造った言葉で、「横に逸れた愛」というような意味である。

概説[編集]

パラフィリアの概念[編集]

パラフィリア(性的倒錯)は、精神医学または臨床精神医学では、性的嗜好に関する精神障害として把握されている。この場合、DSM などでは、第一軸の臨床症状における「診断規準」で概念が記述されているが、この規準において、精神疾患であるとされる条件は少なくとも二つあり、1)当人がこの性嗜好によって、心的な葛藤や苦しみを持ち、健康な生活を送ることが困難であること。2)当人の人生における困難に加えて、その周囲の人々、交際相手や、所属する地域社会などにおいて、他の人々の健全な生活に対し問題を引き起こし、社会的に受け入れがたい行動等を抑制できないことである。

従って、これらの二つの条件を満たさない場合は、精神疾患としてのパラフィリアではないことになる。例えば、ペドフィリア(小児性愛)の性的嗜好を持つ人がいたとして、当人自体にはそのことの苦悩や葛藤や生活上の困難・矛盾はないが、その行動によって、児童を心理的に身体的に傷つけたり、社会的な秩序にとって脅威となる場合は、これは、1)の条件を満たしていないのでパラフィリアではないが、社会的に問題のある人物として、別の精神疾患の規準が適用されることがある。

またこの逆に、当人は自己の性的嗜好で悩み苦しむが、社会的にはその行動に問題のない場合は、これもまたパラフィリアではない。更に、特定の性的嗜好を持っていたとしても、そのことにより、当人の心において葛藤や苦しみや問題は存在せず、社会的な行動からも何ら問題のない場合は、これは通常の許容される性的嗜好であり、精神障害としての性的倒錯(パラフィリア)ではない。

パラフィリアと性的嗜好[編集]

精神医学において、「性嗜好障害」とされるパラフィリアの類型は、性的嗜好の類型とほぼ重なっている。サディズムマゾヒズムフェティシズムなどはパラフィリア(性的倒錯)の類型として記載されているが、これらは同時に、正常または健康の範疇に入る性的嗜好の類型である。

パラフィリアは、これらの性的嗜好が極端化したように見える場合があり、そのような事例もない訳ではないが、基本的には、精神に何らかの葛藤や矛盾や病理を持つ人物の「生き方」の様式(現存在様式)が、特定の性的嗜好の偏倚の形で表現され発現していると考えるのが寧ろ妥当である。多様な性的嗜好の類型があるが、それらは一部に先天的な素因が想定されるが、後天的な心的コンプレックスや心理的な固着、あるいはインプリンティングや水路付けの様式と見なすべきである。

精神医学における定義[編集]

パラフィリアの類型は、上述の通り、性的嗜好の類型とほぼ重なっている。国連の WHO が定めている ICD で、精神障害 (mental disorder) として記載されている性的嗜好、あるいは米国におけるアメリカ精神医学会が定める DSM において記載された性的嗜好は、精神疾患としてのパラフィリアである。しかし、それは精神障害の名称に、特定の性的嗜好の類型名が使われているのであり、例えば、フェティシズムやマゾヒズムの性的嗜好を持つ人が、即ち、精神障害という意味ではない。

ICD においては、「F65 性嗜好の障害」として、Paraphilia(性的倒錯)を含む、次のような性的嗜好が、障害とされる。

1 フェティシズム、2 フェティシズム的服装倒錯症、3 露出症、4 窃視症、5 小児性愛、6 サディズム、7 サドマゾヒズム、8 マゾヒズム、9 性嗜好の多重障害、10 屍体性愛、11 獣愛、12 接触性愛、13 性的逸脱、14 性的倒錯、15 性的偏倚、16 性嗜好の障害

APA の DSM-IV-TR では、Paraphilia(性的倒錯)として次のような項目が、mental disoder(精神障害)として列挙されている。

1 露出症、2 フェティシズム、3 接触性愛、4 小児性愛、5 性的マゾヒズム、6 性的サディズム、7 服飾倒錯的フェティシズム、8 窃視症、9 その他の性的倒錯

上述の性的嗜好を持つ人が性的倒錯者であり、精神障害を持つ人ということではない。精神疾患における「性嗜好」に関係する診断類型に、特定の性的嗜好の名が付けられている。以下に列挙する性的倒錯(パラフィリア)の類型は、性的嗜好の類型の一覧と同じような内容を含むことになるが、その意味するところが異なる。

一般的な類型[編集]

性目標における倒錯[編集]

性交を最終目標としないで、何か別の行為を通じて性的満足が得られる場合。性行為における「性目標倒錯」とされる。ただし「性対象倒錯」と組み合わさっている場合がある。

  • BDSM:他者を性的虐待すること、虐待されることや、支配・従属関係への嗜好。
    • サディズム:相手に性的屈辱を与え辱めたり、苦痛等を与えることに快感を覚える嗜好。
    • マゾヒズム:相手から性的屈辱を受けたり、苦痛等を受けることに快感を覚える嗜好。
    • サドマゾヒズム (SM):一人の人がサディズムであり、同時にマゾヒズムである場合。
    • ボンデージ緊縛:身体を縄などで縛り/縛られ、拘束する/されることへの嗜好。
    • スパンキング:平手などで相手を叩き、苦痛を与える嗜好。
    • 鞭打ち(ウィッピング):相手をで打ったり、相手から鞭打たれたりすることへの嗜好。
    • ポニープレイ:人間をに見立てて、轡を噛ませたり、騎乗して鞭打つなどの嗜好。
  • 手淫性愛:手だけを使って行う性的行為への嗜好。自慰とは異なる。
  • シトフィリアバナナ人参胡瓜などを使う性的行為への嗜好。
  • 接触性愛:他者の身体に自分の性器などを擦りつける嗜好。
  • 窃視症(スコプトフィリア):他者の性的行為などを覗き見する性的嗜好。
  • 露出症(エギジビショニズム):自分の裸体・性器等を他者や公衆の前に示して性的興奮等を得る。
  • 動物虐待:動物を虐待したり、傷つけたりすることで性的満足を得る嗜好。
  • 窃盗嗜好(クレプトラグニア):窃盗行為によって生じる性的満足。
  • 放火嗜好(ピロラグニア):放火行為によって生じる性的満足。
  • 浣腸嗜好(クリスマフィリア):自己や他者の浣腸や、その行為を見る性的嗜好。
  • アノレクタル:肛門や直腸に異物を挿入する事で性的興奮を得る嗜好。
  • 嘔吐嗜好:自分や他者が嘔吐することで性的興奮を得る嗜好。
  • ハイポクシフィリア:低酸素症を引き起こす事で性的興奮を得る嗜好。
  • 尿嗜好(ウロラグニアウロフィリア):人の排尿を見ることや、尿を飲むことへの嗜好。
  • 糞便愛好(スカトロジーコプロラグニア):人の糞便を弄んだり食べることへの嗜好。
  • 血液嗜好(ヘマトフィリア):主に視覚・嗅覚・味覚的要素において、血液で性的興奮を得る嗜好。
  • カニバリズム:人肉を食べることへの嗜好。
  • 死愛好(タナトフィリア):自殺行為や、擬似自殺行為によって生じる性的満足(マゾヒズムやネクロフィリアとは異なる)。あくまで「死」に対する嗜好である。

性対象における倒錯[編集]

性交を性行為の最終目標とするが、性行為の相手・対象に倒錯がある場合。性的フェティシズムは、フェティッシュとの接触や、それを手に入れることで性的満足が得られることがあり、性行為の「性目標倒錯」とも見なしうる。

  • 性的フェティシズム:特定の事物や人物の特徴への固執嗜好。様々な形のものがある。
    • 脚フェティシズム(脚フェチ脚線美):女性の脚などに魅惑され性的欲求を覚える嗜好。
    • 巨乳嗜好(巨乳):女性の膨らんだ胸部や大きな乳房への嗜好。
    • 眼鏡フェチ(眼鏡フェティシズム):眼鏡をかけた異性に性的興奮を覚える場合。
    • 肥満嗜好(デブ専):太った相手に性的魅惑や興奮を感じる嗜好。
    • 貧乳嗜好(貧乳):女性の乳房で小さなものに性的嗜好を覚える場合。
    • 無毛嗜好(パイパン): 陰部の剃毛に性的魅惑や興奮を感じる嗜好。
    • 体臭フェティシズム(オスフレジオラグニア):体臭によって誘発される性的満足。 
    • 毛皮フェティシズム:毛皮を着た女性や、毛皮自体に対して性的魅惑を感じる嗜好。
    • 風船フェティシズム(風船フェチ):膨らんだ風船や、それが破裂することへの性的嗜好。
    • ゴム・フェティシズム(ラバーフェチ):身体に密着するラバーの感触などへの嗜好。
    • レザー・フェティシズム:レザー(皮)の感触や滑らかさに性的に魅惑される嗜好。
    • 靴フェティシズム:ハイヒールなどの靴に対するフェティシズム。
    • コプロフィリア:糞便に性的興奮を覚える。
    • ミソフィリア(汚損愛好症):汚れた下着や、使用済みの生理用品に興奮する。
    • 服飾フェティシズム(異性装など):服飾に対する性的嗜好。男装女装など。
    • 衣装交換フェティシズム(トランスヴェスティズム):相手との衣装交換行為に惹起された性的嗜好。
    • インファテリズム幼児プレイ):自らが、赤ん坊の格好をする事で興奮する。
    • アドレッセンティズム:少年、少女の格好をする事で、興奮する。
    • 自動車フェティシズム:自動車そのもの(ボディの曲線など)が性嗜好の対象。車と”性交渉”する者もいる。
    • フォーミコフィリア:昆虫などが、這いずる様子に興奮する。
    • ピグマリオニズム(人形偏愛症、偶像愛):偶像、人形に対する性的嗜好。
    • 筋肉フェティシズム (en:Sthenolagnia) :相手の発達した筋肉、筋力への嗜好。
  • 授乳嗜好(ミルク嗜好):女性が授乳する姿や、母乳に対し性的魅惑を感じる嗜好。
  • ペデラスティ:年長男性による青少年への嗜好。少年愛とは意味にずれがある。
  • エフェボフィリア:思春期前から青年期の男女に対する嗜好で、児童が対象の場合は小児性愛である。
  • 幼児・小児性愛(ペドフィリア):思春期前である13歳未満程度の児童への性的嗜好。
  • 老人性愛(ジェロントフィリア、ジェラントフィリア):老人に対し性的魅惑を持つ嗜好。
  • 妊婦性愛妊娠している女性に魅惑を抱く嗜好。
  • オートガイネフィリア:男性が自身を女性だと思うことにより性的に興奮する
  • アンドロミメトフィリア:女性に性転換した男性に、興味を示す女性。
  • ジィネミメトフィリア:男性に性転換した女性に、興味を示す男性。
  • フリークス嗜好:身体に欠陥があったり、奇形のある人に魅惑される嗜好。
  • アクロトモフィリア:手足の欠損した人に、興奮する。
  • アポテムノフィリア:自分、もしくは他人の手足が欠損する事に興奮する。
  • アベイショフィリア:身体障害者をセックスの対象とする。
  • 矮人嗜好:小さな身体の人への性的嗜好。
  • 動物愛(ズーフィリア Zoophilia; 獣姦など):動物との性的交渉への嗜好。動物性愛とは異なるとされる。
  • 動物性愛:同性愛異性愛などと同様、性的指向として提唱されている嗜好。
  • 死体愛好(ネクロフィリア):死体などに魅惑される性的嗜好。

関連項目[編集]

歴史 性戦争 - 性描写の歴史 - 性の革命
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