「古式ムエタイ」の版間の差分
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2010年8月19日 (木) 05:53時点における最新版
古式ムエタイ(こしきムエタイ、 มวยโบราณ ムエボーラン)とは、タイのムエタイが競技化する前の素手素足を主とする戦闘技法である。 名称は、伝統的にはパフユッ(シャム拳法)。
歴史[編集]
伝説ではラーマーヤナのラーマ王子を始祖としている。しかしながら、古式ムエタイがいつ興ったものかははっきりしていない。タイの関わった戦争の中で各民族の戦闘術とかかわりながら徐々に発展していった素手素足の格闘の技術が古式ムエタイの原型になっているようである。
シャムがミャンマーの属領とされていた1584年頃に、ナレースワン大王がミャンマーのタウングー王朝との戦争に勝って独立を回復したのだが、このときに『チュー・バサート』(戦勝論)は既に古式ムエタイが大きな役割を果たしたとする。これが事実なら少なくとも400年以上の歴史があることになる
ナヒ・カノム・トムの伝説[編集]
1766年ミャンマーのコンバウン王朝シンビューシン王(ウングワ王)がアユタヤ王朝の首都アユタヤを陥落させた。このときナヒ・カノム・トムは伝説的な(伝説上の)古式ムエタイの戦士でミャンマー軍との戦いで囚人となり、ウングワ王の格闘技を見せる奴隷となるも過酷な格闘に生き延び、ミャンマー拳法家12人を打ち負かして自由の身になってシャムへ帰ったという。(1996年には初代オリンピック金メダリストのソムラック・カムシンが演じタイ国内にてその物語がTV放映された事もある。 タイでは小学校の教科書にも登場するほどである。)。
近代[編集]
その後、古式ムエタイは男性の強さを計る基準として各地で盛んに行われた。チャックリー王朝に入ってからは決闘が頻繁に行われ、死者が続出したことから一時禁止された。1914年頃にはヨーロッパにも伝わった。
近代になってムエタイが誕生し古式ムエタイは1970年代に各地域の指導者がいなくなり廃れた。
また2003年のタイの映画マッハ!!!!!!!!で、主人公であるトニー・ジャーが使用したため有名になった。
特徴[編集]
武器術と素手の技術が同じ形で行なえるようになっていた。また、蹴り技に回し蹴りはなく、前蹴り・膝蹴りが使われる。(武術であるため隙・予備動作の少ない技を使用)
教本[編集]
1500年頃の本『チュー・バサート』(戦勝論)に刀や槍の術に加え手足を武器にして闘う方法が記載されていた。
また、シー・サンペッチ8世スリエーンタラーティボーディー(アユタヤ王朝、在位1703年 - 1709年)はChao Suer(スア王(虎王))というあだなで古式ムエタイの名手であり王子のとき国中を7年間まわって無敗であった。その虎王に仮託した教本が"Tamraab Prachao Suer"(虎王の指南書)が19世紀に発刊された。その中の主な技は次のとおり。
- はねかえされる光輝
- 足で顔をふく
- エラワン象の首を折る
- 上下に運ぶ
- 矢を折るラーマ
- 仔牛を運ぶハヌマーン
- 風車に吹き付ける風
- 灯火を消す
- Praram Yeab Longka(ランカーを攻めるラーマ)
また、稽古法はクラビー・クラボーンと同じ名、内容(連続攻撃と防禦)の基本稽古Khun Yak Jab Ling(猿捕る夜叉)がある
流派[編集]
各地域に特有の構え、ワイクルーその他に技術の特徴があった。教伝は軍人が出家し僧となって各寺で行なわれた。
- ムエ・コーラート(東北タイ)
- ワイクルーはイサーン式(ホン・ヒエン(霊鳥飛翔)、ブロム・シー・ナー(四面梵天)など)
- ムエ・チャイヤー(Chaiyaa-rat)(南タイ)
- 基本の構えはジョド・ムエ。ジョドダーブ(刀の構えと兼用)。他にTah Khru(タークー、師なる構え)。
- ムエ・パーックラ(バンコク拳法)
- 構えはボクシングの影響で足巾狭く、両手は同じ低めの高さ。
- ムエ・ロッブリー(ロッブリー拳法)
- 最古の古式ムエタイ。アユタヤ時代(17世紀)に始まる。構えは足も手も大きく開く。技はのど仏へのアッパーカットと目へ貫手。
- ムエ・マーヤーン(馬歩拳法)
- 南タイの流派。創始者はタンキー。中国武術の馬歩とは無関係。構えは片足を上げその側の手を腿につけ、反対の手で顔の前。
- ムエ・アユタヤ(アユタヤ拳法)
- 構えは左手と肩を上げ顔を防ぐ。
参考書[編集]
- 雑誌BABジャパン『秘伝』 連載「備忘録!アジアン伝統古武術」伊藤武
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