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完全犯罪(かんぜんはんざい)とは、犯行の手口が社会的に露見せずに犯人が捕まらない犯罪を指す。
推理小説やテレビドラマなどにおいて、犯行の隠蔽や、題材の一つとして用いられる。知的なトリックを用いたタイプと、現実的な確実性を重視したタイプの、二通りに分類される。
概要[編集]
完全犯罪という語は、一般的に以下に挙げる条件の、一部または全てを満たす場合に使用される。
- 犯行が露見しない
- 被害者が見つからない
- 加害者が判明しない
- 証拠が見つからない
- トリック(犯行の手法)が見破られない
- 法的に裁かれない(法の目をすり抜ける…など)
- 加害者が捕まらない(時効まで逃げ切る、捜査範囲外に逃亡する、天寿をまっとうする…など)
犯罪者にとっては
などの形で、それ以上その犯行について追求され、あるいは刑罰を受ける恐れの消滅した時が、完全犯罪の完成であるとされる。
しかし、刑罰を受ける恐れが無くなっても、犯人視されることで社会的な地位・名声・信用などを失うことがあるため、真の完全犯罪を狙うのであれば、半永久的なものでなければならない。一部の人間に犯行が露見しても、一部の人間を殺害・隔離・共犯にさせるなどをして社会全体に露見しない場合も完全犯罪に含める場合もある。
完全犯罪に近づく手法の犯罪が解明されて社会的注目がセンセーショナルに報道をした場合、完全犯罪に近づいた事件を応用して犯罪露見に関する欠陥を無くした上でより完璧な犯罪を行おうとする模倣犯を生む可能性がある。
フィクションの完全犯罪[編集]
完全犯罪は、推理小説・ドラマなどのフィクション作品において頻繁に扱われ、多くの人間が試みようとする。しかし、本当に完全犯罪であると、ドラマが進展せずストーリーが完結しないため、ほとんどの場合は犯行が露見してしまい「不完全犯罪」に終わってしまう。中には、ストーリーの本題から外れた伏線で、完全犯罪を達成するストーリーも存在する。探偵役が犯人の動機や背景に同情してしまい、結果的に社会的には完全犯罪が完成されるパターンもあって、例えばシャーロック・ホームズは少なくとも4人の殺人犯を見逃している。
犯人の計画自体は完全であったものの、例えば何十年に一度の大型台風のため海底深く沈めたはずの犯行の証拠品が打ち上げられてしまう…といったように、予測不能だった自然災害などによって結局犯罪が露見してしまうなど、決着をいわゆる天の采配に委ねる結末も少なくない。逆に、吹くはずもない大風が吹いて犯行現場から足跡を消し去るなど、思いがけない事態が何の変哲もない事件を完全犯罪に変えてしまう様なパターンもある。
完全犯罪の構築(いかにして捜査の目をくらまし、嫌疑を逃れるか)自体よりも、それを成そうとする犯人の心理描写に重きをおく作品も多い。良心の呵責や不安、あるいはその主人公ならではの衝動などのため、結局は自滅に至る姿などが好んで取り上げられる。
完全犯罪を扱ったフィクション作品[編集]
完全犯罪に関連して注目される現実世界の事件[編集]
- 国鉄三大ミステリー事件 - (下山事件・三鷹事件・松川事件)
- 三億円事件
- グリコ・森永事件
- 松山ホステス殺害事件
- 城丸君事件
- トリカブト保険金殺人事件
- 長岡京殺人事件 ‐ 不可能犯罪に近い。
- 札幌信金OL殺人事件
- 井の頭公園バラバラ殺人事件 - 不可能犯罪に近い。
- 埼玉愛犬家連続殺人事件
- 北九州監禁殺人事件
- 久留米同僚殺害事件
- 江東マンション神隠し殺人事件