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子ども手当法(こどもてあてほう)は、15歳以下の子どもの保護者に対し手当(金銭)を支給することを主な内容とする法律。第45回衆議院議員総選挙で民主党のマニフェストとして提示された。2010年3月31日に成立、4月1日より施行となった。巨額の財源確保など未解決の問題が残っており、国内外に批判的な意見もみられる(後述)。
目次
概要[編集]
法律の正式名称は「平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律」。法律は2010年3月16日に衆院、同26日に参院可決され同4月1日より施行された。2010年度のみの時限立法である。
15歳の4月1日の前日までの子どもの保護者に対し、子ども手当を支給する制度である。なお、政府や民主党、マスメディアの発表では、よく「中学3年生まで支給」と表現されているが、これは正しくない(後述)。中学生であれば全員が対象となるわけではない。
支給額は、初年度のみ毎月1万3千円、次年度以降は毎月2万6千円を支給する予定であった。しかし、2010年6月、財源問題により満額支給を断念するとの政府発表があり、支給額は今後も月1万3千円(またはこれ以上)となる見込みである。なお、実務上は毎月支給されるわけではなく、複数月をまとめて支給している。
支給に際し、所得制限や国籍制限はなく、保護者が日本に住民登録または外国人登録をしていれば、受給権がある。子が、海外にいても構わない。
児童養護施設の入居児童の場合には、この制度の直接の対象にならない場合もあるが、公平性のため、政府は同等の措置を実施している。
類似制度には子ども手当施行以前に行なわれていた児童手当(児童手当法による)がある。児童手当には所得制限があるが、子ども手当にはない。子ども手当施行に伴い、従前の児童手当は廃止となる。ただし初年度のみ、行政内部的には児童手当制度を部分的に継続しており、条文にもそれに関する部分がある。
この法律は、高校無償化法とセットで提出され、実施されている。
目的・背景[編集]
日本では少子高齢化が進行し、2010年現在は、3人の現役世代で1人の高齢者を支える形になっているが、2055年には1人の現役世代で1人の高齢者を支える状況となることが見込まれている。一方、日本における子どもの貧困率は14.2%と、OECD諸国平均の12.4%より悪くなっており、片親の子どもの貧困率は54.3%とOECD諸国(平均30.8%)中最低となっている。日本政府が子育ての支援にかけている予算は、GDP比でスウェーデン3.21%、フランス3.00%、ドイツ2.22%に対し、日本は0.81%と先進国中最も少ない国の一つとなっている。特に6歳以下の子どもへの支援額がOECD諸国平均と比べ非常に低いとOECDに指摘されている。また子育て世代は等価可処分所得中央値が1998年から2007年の10年で10%以上落ちるなど収入に余裕がなく、子どもが学校に通うようになると教育費も大きく増加して経済的負担が大きくなる面もあるため、民主党は子どもの幼少から就学までのトータルでの支援が必要だとしている。
こうした状況を踏まえ、子ども手当法は、「次代の社会を担う子ども1人ひとりの育ちを社会全体で応援する」こと及び「子育ての経済的負担を軽減し、安心して出産し、子どもが育てられる社会をつくる」ことを政策目的としている。なお、子ども手当法第2条にて、「子ども手当の支給を受けた者は、前条の支給の趣旨にかんがみ、これをその趣旨に従って用いなければならない。」と記述されており、給付金を子どもの成長及び発達のために使用する責務がある。
問題点[編集]
成立以前より、財源の確保が問題視されており、対応に苦慮した国と地方との間で負担割合についての対立もみられた。現在、財源には扶養控除や配偶者控除などを廃止、景気、雇用対策費などが削減され充てられる方針となっているが批判もあり、国際経済機関にも見直しを求める意見がある。また法制度も整備されているとはいえず、枝野行政刷新相は「対応を間違った。まずは運用で悪用をはじくと同時に、来年度からは制度を変える準備作業に入っている」と見直しを急ぐと表明した。不審な申請と疑われる事案なども発生している。
財源の問題[編集]
民主党が野党時代から主張してきた政策であるが、財源の確保が明示されていないことが問題点として指摘されている。財源は初年度で2兆2500億円、翌年からは倍の4兆5000億円ほど必要になる予定。財源不足に対し、民主党は扶養控除と配偶者控除の廃止を充てるとされる。これによって得られる税収増は扶養控除8000億円、配偶者控除6000億円であり、子ども手当の必要経費には及ばない。他にも、補正予算の子育て応援特別手当を停止することで1100億円積み増すなど財源の確保に努めている。子ども手当の負担について国側で負担するのか、地方公共団体に負担をさせるのかで意見が割れるなど。全国市長会では子ども手当を全額国費負担を求める決議を採択した。 また、松沢成文神奈川県知事は地方負担なら子ども手当をボイコットすると宣言、群馬県・静岡県・大阪府・和歌山県・岡山県・宮崎県の7人の知事連名の要望書を国に提出した。
自民党政権時において作られた2009年度補正予算の削減を行い、それを子ども手当の財源に回すとしているが、補正予算の中には、緊急の景気・雇用対策、新型インフルエンザ対策などが削られることになり、竹中平蔵元総務大臣は、「小さな無駄を減らし、大きな無駄を作ることになる」と批判している。
子ども手当の財源が不足しているという指摘に関し、『産経新聞』がおこなった世論調査によれば、回答者の6割以上が「所得制限を行うべき」とし、小沢一郎元民主党幹事長も「所得制限をすべき」という陳情書を政府に要請した。これに対し、菅直人総理は所得制限について所得の把握を知るための費用のほうが所得制限以上の負担になるとして否定し、所得制限は行わないことが決定した。
国際通貨基金や経済協力開発機構などの国際経済機関からも見直しを求められている。国際通貨基金(IMF)は日本の財政赤字が国内総生産(GDP)に対して10.5%に達する見通しであると発表し、子ども手当など国債増発によりイギリスやアイルランドのように大規模な財政調整が必要になると指摘した。経済協力開発機構(OECD)は、子ども手当を実行するよりも、OECD加盟国中最低の母親の就労率を上げるために保育施設の充実などといった少子化対策を行うべきだと指摘。また、税制改革として「給付付き税額控除」を導入し、所得格差を是正することを提言した。
2010年度予算の暫定措置として、地方自治体や企業などが反発するなか、支給額2兆2554億円から国の予算から差し引いた5089億円分を児童手当と同じく地方自治体や企業に負担させることを、菅直人副総理、原口一博総務相、藤井裕久財務相、長妻昭厚生労働相が同意した。
扶養控除・配偶者控除廃止による負担増[編集]
財源確保のため、民主党が扶養控除・配偶者控除廃止を示唆している。扶養控除・配偶者控除廃止でも子ども手当により15歳以下の子供が1人いる家庭では年収500万円の場合、23万900円増になると試算され、また、15歳以上でも公立高校に通う子供がいる家庭の場合は、高校無償化法制定の恩恵があるが、15歳以下や公立高校に通う子供が居ない家庭では増税となり、子供が居ない専業主婦の世帯、大学生以上の子供を持つ世帯、子供が成人し親の介護のために働けない世帯にとっては、大きな負担になる。日本共産党は、扶養控除と配偶者控除廃止により、民主党の説明の倍以上の増税や、全世帯の18%(約920万世帯)が平均年4万円の負担増に繋がるとして批判している。
第一生命経済研究所によると現行の月額1万3000円に据え置かれた場合、2013年度までに年少扶養控除(16歳未満)が廃止されるため3歳未満の子ども1人の場合には年収700万円以下の世帯すべてで負担増となるとしている。また、配偶者控除の廃止が実施に移されれば子供のいない専業主婦世帯では年収に関係なく負担増となる。
受給対象外問題[編集]
厚生労働省児童手当管理室によると、乳児院や児童養護施設などで暮らす子どものなかで両親の生死に関わらず不詳の場合は子ども手当が受給されない。その対象になる子どもは約2400~5000人いると言う。これに対して西日本にある養護施設長は「施設で暮らす子どもたちについて根本から考えるべきだ」と指摘、民主党内からも「子ども手当の理念に沿ってない」という声が上がっている。
海外に子供を残してきた外国人労働者にも子供の人数に応じて支給[編集]
厚生労働省児童手当管理室によると、保護者が日本に居住していれば子供の物理的位置に関係無く支給対象となる。これは児童手当の受給資格を踏襲しているためであり、元々は日本国籍で日本に居住する親のみが対象であり、子供が海外留学等で海外にいても受給資格を与えることが相当であるとの考えでそのようになっていたのだが、国際化の流れで1982年に国籍条件が撤廃されたことによる。
自民党衆議院議員の大村秀章、棚橋泰文らは、この点を「日本人の子が借金を背負い、国内だけでなく海外に居る外国籍の子まで養育するのが友愛精神か」と批判、参議院議員の丸川珠代は2010年3月25日、参議院厚生労働委員会にて「欠陥法案をそのまま実施するのか」「この愚か者めが!」と絶叫し批判したが、法案の議論・修正は行なわれず、民主党の強行採決により法案は成立した。
その後、民主党政権は支給要件の確認を下記に示す通り厳格化。枝野幸男行政刷新相は「対応を間違った(中略)来年度からは制度を変える準備作業に入っている」と発表、平成23年度以降は子どもにも日本国内居住要件を課すことを検討することとなった。
- 少なくとも年2回以上子どもと面会が行われていること。
- 親と子どもの間で生活費、学資金等の送金が概ね4ヶ月に1度は継続的に行われていること。
- 来日前は親と子どもが同居していたことを居住証明書等により確認すること。
- これらの支給要件への適合性を判断するために、提出を求める証明書類について統一化。
- 日本国内に居住している翻訳者による日本語の翻訳書の添付を求め、その者の署名、押印及び連絡先の記載を求めること。
国外の外国人に約10億円が支給される[編集]
自民党の調査により、2010年度、日本在住の外国人が母国に残した子供7,746人に、子ども手当てが支給されたことが分かった。その総額は10億円に上る。調査に未回答の市町村もあり、人数や金額はさらに増える可能性がある。
日本に居住する日本国籍の子供でも、両親が海外に居住している場合は不支給[編集]
一方で、日本人であり、子ども本人が日本に居住していても、保護者が(単身赴任などにより)海外に居住しており、生計を維持する者が日本国内にいない場合は支給対象にはならない。
野党側は上記の問題を指摘していたが、法案の議論・修正は行なわれず、民主党の強行採決により通過した。
人数制限[編集]
厚生労働省は児童手当の場合と同様に、父又は母が子どもを監護し、かつ生計を同じくすること等が支給要件としており、支給に対して人数制限がないことが野党から問題視されていた。
インターネット上でも「100人を養子縁組しても手当はもらえる」という批判が起こり、厚生労働省は4月6日、同省のホームページで「母国で50人の孤児と養子縁組を行った外国人」については支給されないとした。その根拠は子ども手当の支給要件は「監護」と「生計を共にする」であるが、支給要件の確認は自治体で厳格に行うとされており、50人もの監護は事実上不可能であるから、としている。これに対し各メディアは、50人なら不支給だという根拠が曖昧だとして批判している。ネット上では「49人ならOK!」という主張がなされた。
実例として、2010年4月22日に兵庫県尼崎市の市役所窓口で、韓国人男性が妻の母国であるタイに養子縁組した子供が554人居るとして、554人分の子ども手当(年間換算で 8642万4000円)の支給を申請しに来ている。この韓国人男性はタイ政府が発行したという証明書を持参しており、市窓口の担当者が「養子はどの子ですか」と聞くと「全員です」と答えた。男性は「タイに定期的に渡航し、現地で子どもたちと寝起きしている」と主張した。このケースは、「書類上は条件を満たしている」が、判断を仰がれた厚生労働省は「554人の子供と生計を同じくしているとは判断できず、社会通念上も認められない」として支給対象にならないと判断した為、尼崎市側は申請を受理しなかった。
不正受給防止策の問題[編集]
厚生労働省では不正受給防止策として、(外国の公的機関が発行する)子供の出生証明書と居住証明書、およびそれらに関する日本国内に居住する第三者が作成した翻訳書の提出を義務づけているが、地方自治体による確認作業は、書類の様式・言語が多様であることや、地方自治体側が(証明書を発行したとされる機関に対して)事実確認をする手段を持っていないことなどから難航している。厚生労働省子ども手当管理室には、複数の地方公共団体から「海外の養育関係の確認は難しい」という声が寄せられた。
子供手当ての申請をした同胞に差別した公務員[編集]
民団HPに投稿された在日の声より
つい先日、兵庫県尼崎市に暮らされる同胞が、タイ国に残す、実子のように愛情込めて育てられた養子554人分の子供手当て(約8600万円)を申請したにもかかわらず拒否されたとのことです。これは人種差別ではないのでしょうか?
この子供手当ては、実子・養子の区別なく、条件を具備すれば本来認めらるはずのものです。そのため、同胞の中には世界中の孤児院を巡っては、養子縁組により同手当ての恩恵を受け、前途ある子供の将来に希望を持たせようとしている者も多いと聞きます。中には、すでに数万人単位の養子縁組を実現したという者もいるようです。にもかかわらず、今となって拒否するのは人種差別そのものではないでしょうか?
民主党代表にして内閣総理大臣の鳩山氏は、はっきりと「日本は日本人だけのものではない」と述べたはずです。だから、民潭および同胞が一団となり、民主党を選挙で勝利に導いたのです。しかし、地方参政権の約束も果たさず、先ほどのような人種差別も改善されていないのは、本当に腹が立ちます。
中国人が殺到[編集]
「子ども手当」で大混乱だ。法案成立直後から埼玉の川口市役所や東京・荒川区役所に「おカネもらえる?」と中国人が殺到。
こんな状況に自民党丸川珠代参院議員(39)は、選挙のための「愚策を押し通したバカ政府」と民主政権を非難し激怒。取材を進めると、確かに丸川氏の指摘通り、子ども手当は抜け穴だらけだった。
欠陥法案実施に激怒[編集]
同法案の採決が行われた3月25日の参院厚生労働委員会での強行採決の際、丸川氏は「欠陥法案をそのまま実施するのか」「愚か者めが!」と絶叫した。そんな丸川氏はこう言い切る。
「海外に子供がいる在日外国人の場合でも受給できる問題がある。長妻大臣は法案作成の途中で『欠陥に気づいていた』と言いました。にもかかわらず何の修正もしなかった。100%参院選のためなんです」
海外でたくさんの養子縁組をした親が日本にいる場合にも子ども手当は支給される。つまり、外国人マフィアが不正にもうけられるのだ。すでに“子ども手当ブローカー”が動いている。
孤児院に怪しい問い合わせ[編集]
丸川氏によると、身寄りのない子供たちを世話している教会に「何人か養子に欲しい」という問い合わせが、最近あったという。「問い合わせしてきた人は日本人と思われますが『何人か』という言い方はおかしい。もちろん断っています。私が懸念しているのは子ども手当を商売にする人たちが現れることです。ニセの書類を作り、手数料を取って、依頼者に子ども手当を受給させるような商売ができるのではないか」
これまで丸川氏は鳩山政権に対し、解決策を訴え続けてきた。「1つだけ条件を加えればいい。『子ども手当は、子供が日本国内に住所を有せず、かつ日本国民でないときは支給しない』というものです。これで海外へのバラマキは防ぐことができます」
だが、政府は修正することなく同法案を可決。「この1年は子ども手当で荒稼ぎしてやれという人が増えるかも。いくらでもズルして海外にお金を持って行けるのですから。民主党は財政がひっ迫しているというのに、なんてバカなことをする政府なのか!」 目玉政策がとんだ問題を抱えてしまった。
税金のばらまき[編集]
子ども手当で景気対策になるという主張もある一方、「貯蓄に回すという意見が多く、子ども手当に対しての経済効果は薄い」とする調査結果もある。民主党は与党の児童手当拡充案に反対を続けていたが、一方で、子ども手当法案を推進していることには公明党から批判の声が出ている。自民党の林芳正は国会代表質問の中で子ども手当について「社会主義的だ」と批判、小泉進次郎は「子どもの洋服まで国民が負担しなければならないのか」と批判した。また、松沢成文神奈川県知事は「定額給付金に"子ども"という名前が付いただけ」と批判している。2010年1月8日太田市長は市税、学校給食費、保育料などの滞納者には市の負担分を減額する考えを示した。「子ども手当」は社会保障と考えられる児童手当と異なり、「経済援助」と考えられ、給付は滞納の無いことが前提と要望したいと述べている。 自民党の「無駄撲滅プロジェクトチーム」(河野太郎座長)は、2010年4月5日、「保育所など施設整備の方が重要」「政策目的がはっきりしない」などとして、子ども手当について「不要」との判定を下した。
公平性[編集]
大和総研の試算によれば、比較的高い所得層の手取り収入が大きく増えることになり、「所得が低いほど恩恵が大きい」仕組みにはならない、とされている。
期間・金額の不足[編集]
大和総研の20代、30代の女性へのアンケート調査では、中学卒業まで月額2万6000円という金額で育児・出産に関する経済的不安が解消されると回答した人は45%と半数を下回った。中学卒業まで月額5万円では72%、成人まで月額2万6000円では61%、中学卒業まで月額10万円では87%、成人まで月額10万円では89%の人が不安が解消されると回答した。中学卒業まで月額2万6000円という内容では、経済的不安を解消する効果は限定的である、との結果が出ている。
年齢と学歴の混同[編集]
子ども手当に関しては、「学齢期の者は全員、就学しており、かつ「年齢相当学年(「年齢主義と課程主義」を参照)」に在籍している」との前提を堅持する側を中心に、下記のように党・報道機関・行政機関などが学歴と年齢を混同している例が見られる。
マニフェスト・報道[編集]
民主党は2009年版マニフェストや演説などで、「中学卒業までの子どもに支給する」と謳っているが、実際には受給資格に学歴は関係なく、一定年齢の一定期日で打ち切られる。たとえばドイツでは、「通常は18歳未満、失業者の場合は21歳未満、学生は27歳未満に支給」となっており、学生であるかによって違いがあるが、日本では公式文書の表記に反して中学生であるかどうかは一切関係ない。
民主党の2007年版マニフェストにおいては、同じページに「義務教育終了まで支給します」と「中学校卒業まで支給します」の、矛盾する二種類の文が存在していた。その後の2009年版マニフェストでは、正しくない方の「中学校卒業まで」だけが残った形である。また2010年版マニフェストでも、年齢については明記されず、中学生という書き方になっている。
ほとんどの報道機関が、民主党の発表の表現に追随し、子ども手当のことを記事にするときは、「中学卒業まで」や「中学3年生まで」などの表現を用いている。一方で、「15歳まで」などと年齢のみで表現している例は少ない。Googleニュースなどによる検索では中学卒業や中学3年生までとの表記を用いている社が大多数であり、15歳との表記を用いているニュースは、あえて年齢を示した方が文の趣旨にそう場合にはある程度見られるものの、特段の意思がない場合はあまり使われていないようである。特に子ども手当制度の解説のための記事ではなく、子ども手当の支給が始まったなどのニュースにおいて、「中学3年生までの子どもがいる家庭に対して月1万3千円……」と一文で子ども手当の簡単な解説を兼ねているような書き方において、「中学」の方が使われる場合がほとんどである。
行政機関[編集]
厚生労働省の作成したパンフレットなどの公式発表でも、年齢上限を書かずに「中学卒業まで」などの表記を用いている。なお、2010年1月に開かれた国会議員と厚生労働省の官僚との会議において、議員の側から「子ども手当について、中学校卒業までとあるが、留年していた場合などにおいてはどのように取り扱われるのか。様々なケースが想定されるのでQ&Aを作ってほしい」との疑問と要望が出されているが、2010年5月になっても、厚労省作成のQ&A「子ども手当について 一問一答」、「リーフレット「子ども手当」」の両方とも、対象年齢の説明が一切なく「中学校修了(卒業)」とのみ書かれていた。5月31日になって新しい「リーフレット「子ども手当」」が掲載されたが、これにも年齢と学歴がイコールの形で書かれており、留年した場合などについての解説はない。
また各市町村においても、年齢ではなく「中学生まで」などの表記をしている例が多数である。児童手当からの切り替えなどの実務に関する案内においても、「小学6年生」や「中学2~3年生」などの用語を用いている例が多く見られ、「同学年=同年齢」の原則を押し通している。これにより、例えば2010年4月1日時点で13歳以上の中学1年生(年齢制限により前年度は児童手当は不支給)を養育している親が受給を希望する場合、案内に従えば申請の必要はないことになるが、実際には「認定(額改定)請求書」を提出しなければ受け取り漏れが生じる。この対象者には自治体より額改定請求書などが郵送される場合が多いが、サイトや市政だより記載の手続き案内との齟齬は存在するため、注意が必要である。なお、申請には期限がある(10月1日まで)。
2000年国勢調査によれば、学齢超過(=子ども手当対象外)の小中学生は5万6千人存在することが分かっている。これ以外にも学齢期の不就学者も外国籍児童を中心として多数おり、彼らも子ども手当の対象である。
条文[編集]
子ども手当法においては、旧児童手当法の規定と連動して、各自治体に政府が子ども手当費用を交付することになっているが、その対象年齢の書き方において、下記のように年齢ではなく学歴を指す用語が使われている。
- 五 三歳以上小学校修了前の子どもが二人以上あり、かつ、十二歳に達する日以後の最初の三月三十一日を経過した児童手当法第三条第一項に規定する児童(※)(次号において「小学校修了後高等学校修了前の児童」という)が一人いる者に対する費用(当該三歳以上小学校修了前の子どもの数から一を控除して得た数に一人当たりの子ども手当の額を乗じて得た額に係る部分に限る) 三十九分の十九
- (※)「児童手当法第三条第一項に規定する児童」とは「18歳の4月1日の前日までの児童」のことである。
- 七 十二歳に達する日以後の最初の三月三十一日を経過した子ども(※)(以下この号並びに附則第四条第二号及び第五条において「小学校修了後中学校修了前の子ども」という)がいる者に対する費用(当該小学校修了後中学校修了前の子どもに係る子ども手当の額に係る部分に限る) 十分の十
- (※)子ども手当法第三条において「子ども」とは、15歳の4月1日の前日までの子どものことである。
このように、小学校は12歳で卒業し、中学校は15歳で卒業し、高校は18歳で卒業することを前提とした、年齢主義に基づいた書き方がなされている。なお、旧児童手当法にも「小学校修了」などの表現は存在したが、「中学校修了」や「高等学校修了」などの表現はなかった。また、子ども手当法案は民主党が野党時代にも何回か提出したが、そのときの法案には学歴に関する表現は(一部を除き)含まれておらず、2010年1月29日に、第174回国会に提出された法律案で出現している。「小学」は2006年法案のみに含まれる(児童手当法と同じ)。
なお、この法律の原文作成者は民主党ではなく厚生労働省である。
出生月による格差[編集]
子ども手当は、何月生まれの子であっても生涯に同じ月数の分が養育者に支給されるわけではなく、最大11ヶ月の格差がある。例えば4月1日生まれと4月2日生まれでは、11ヶ月の差があるため、月2万6千円で計算すると28万6千円の差が存在する。誕生日のある月単位の支給ではなく、誕生日の属する年度単位での支給となっているため、こういった現象が生じる。旧児童手当でも同様だったが、子ども手当になって金額が大きく増えたため、差額も大きくなっている。
また、各種控除の基準日と一致させていないため、それらの格差も含めると、さらに差が出る場合もある。ただしこれらの資料にある学年の箇所は誤りであり、実際は4月1日時点の年齢で決まる。これらの、「早生まれは損」の現象に対しては、2010年3月1日の衆議院財務金融委員会で共産党の佐々木憲昭議員が指摘している。