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2007年6月4日 (月) 00:15時点における版

テンプレート:Infobox 鉱物

石膏(せっこう、gypsum)は、硫酸カルシウム(化学式CaSO4)を主成分とする鉱物

性質

硫酸カルシウム(無水物)は、融点1450℃の無色の結晶で水にほとんど不溶。比重2.96。カルシウム塩水溶液と硫酸塩水溶液との複分解により、66℃以下では無水和物、それ以上では2水和物CaSO4・2H2Oが得られる。

また、水酸化カルシウムと硫酸の中和によっても得られる。(沈殿)

<math>

\rm Ca(OH)_2 + H_2SO_4 \longrightarrow 2H_2O + CaSO_4 </math>

天然には硫酸カルシウムの1/2水和物がバサニ石(Bassanite)、2水和物が石膏(Gypsum、CaSO4・2H2O)、無水物が硬石膏(Anhydrite、CaSO4)として産する。

これら硫酸カルシウムの各水和物および無水物を一纏めに「石膏」という場合もあるので注意を要する。

化学石こう(合成品、2水和物相当)の2004年度日本国内生産量は5,864,884t、工業消費量は142,098tである。

半水石膏

硫酸カルシウム・1/2水和物(CaSO4・1/2H2O)を半水石膏または焼石膏という。

天然物は、バサニ石といい土壌中及び溶岩内から発見されている[1]

半水石膏は、水と化学反応し二水石膏に変化する。骨折時の治療用具としてのギプス、型取り用の石膏は、粉末状の半水石膏を水と反応させ、二水石膏(単に「石膏」ともいう)として硬化させたものである。

日本薬局方では「焼石膏」として記載されている。

豆腐凝固剤としても用いられており、中華人民共和国南部や台湾などでは「豆腐花」など、日本では絹ごし豆腐といった柔らかい豆腐の製造に適する。これは溶解してイオン化し、塩析効果を発揮する速度が苦汁よりも遅いため、濃厚な豆乳の全体を均質に凝固させやすいからである。

二水石膏

硫酸カルシウム・2水和物(CaSO4・2H2O)を二水石膏軟石膏、または単に石膏(狭義の「石膏」)という。

二水石膏は、加熱(160℃~170℃)により水分を失い、半水石膏に変化する。

天然には、温泉作用や閉じ込められた海水からの岩塩の形成に付随して生じる。比重2.23の無色の結晶。硬度1.5~2。水に難溶。単斜晶系に属する。天然には単結晶のほかに結晶集合体が生じ、透明のものをセレナイト(透明石膏、Selenite)、不透明のものをアラバスター(雪花石膏、Alabaster)と呼ぶ。セレナイトは窓用として、アラバスターは彫刻の素材として古来より用いられてきた。また、排気ガスの脱硫過程、燐酸系化学肥料の製造工程でも生じるため、これらは回収される。

また、生薬として漢方薬に配合されたり、防火用の石膏ボード、彫刻などに使われる。

石膏ボード

石膏ボード建築材料として幅広く用いられる材料であり。防火性、遮音性に優れている。石膏ボードには約21%に相当する結晶水が含まれており、これが耐火性に大きく寄与している。近年、建築物の建て替えに伴い発生する廃石膏ボードが、廃棄物処理場の地下水に生息する硫酸塩還元細菌に代謝されて硫化水素を発生し、環境上の問題となっており、リサイクルなど廃棄物化させない処理方法が研究されている。

  • ラスボードとは、塗壁の下地に使用される孔あき石膏ボードのことである。左官材の付着をよくするために孔があけられている。施工性、耐火性、遮音性に優れている。

生薬

天然の二水石膏は、日本薬局方に医薬品名「石膏」として記載されている生薬である。天然物であるから、純粋の硫酸カルシウム・2水和物ではなく、ケイ素、アルミニウム、鉄などの化合物が少量含まれる。

生薬としての石膏は、解熱作用や止渇作用などがあるとされる。 石膏を含む漢方方剤は、竹葉石膏湯、防風通聖散、桔梗石膏など多数ある。

無水石膏

無水硫酸カルシウム(CaSO4)を無水石膏または硬石膏という。

主に無色から白色の結晶。斜方晶系に属し、硬度は3~3.5と石膏より硬い。同様にアルカリ土類金属硫酸塩の無水結晶である重晶石天青石に性質が似ている。正方形のへき開を持ち、漢方での「方解石」とは本来これをさす。現在の方解石は、炭酸カルシウムであり劈開も異なる。

関連項目

参考文献

外部リンク