「風俗営業」の版間の差分
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2018年1月14日 (日) 20:40時点における最新版
風俗営業 (ふうぞくえいぎょう) とは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風適法と略記)第2条で定義されている一定の営業をいう。キャバレー・料亭・クラブ・パチンコ店・ゲームセンターなどが該当する。
風俗営業、「性」を除けば減少の一途 年寄り増えて衰退に拍車(2017年3月)[編集]
風俗産業が衰退している。いわゆる風俗営業法に関連した営業は、いくつかの業種を除いて、減少の一途をたどっているのだ。
風俗営業には大きく分けて、接待飲食等営業、遊技場営業、性風俗関連特殊営業の3種類がある。
警察庁生活安全局保安課がまとめた「2016年における風俗環境の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」によると、接待飲食等営業は2012年には6万8558店だったのが、2016年には6万4599店と約4000店が消えた(以下、数字はいずれも年末時点)。接待飲食等営業は、いわゆる居酒屋から始まり、バー、キャバレー、クラブ、キャバクラ、料理屋、カフェなど飲食を伴う店のほとんどが含まれる。
飲食関係の雑誌記者は、「飲食業は、景気の影響を受けやすい業種の一つ。その上、高齢化社会になったことで、客の年齢層が上がり、外食をしなくなった。キャバクラやクラブも企業の社用による利用が減少し、まさしく斜陽業種になっている」と指摘する。
次は遊技場営業だが、中心はパチンコ店と雀荘、ゲームセンターになる。こちらも接待飲食等営業と同様だ。パチンコ店は2012年の1万2149店から2016年には1万986店に1000店以上がなくなった。雀荘は1万1450店から9176店に2000店以上が、そしてゲームセンターは6181店から4542店と1600店超が消えた。
ギャンブル雑誌の記者は、「雀荘はゲームの影響がある。若者は麻雀よりもゲーム。しかし、もっとも大きな要因は、かつて雀荘の中心だった層が定年に達したことではないか。パチンコは若者層がギャンブルをしないという一面もあるが、パチンコとゲームセンターには共通の傾向がある」という。
実は、パチンコ店もゲームセンターも減少しているものの、1店の規模が大型化している。例えば、パチンコ店では1店当たりの台数が2012年378.0台から2016年には411.9台に増加している。遊戯台が501-1000台のパチンコ店は2012年には2355店(19.4%)だったのが、2016年には2585店(23.5%)に増加、1001台以上の店も190店(1.6%)から287店(2.6%)に増加している。ゲームセンターも1店舗当たりの台数は72.2台から79.7台に増加、101台以上を設置する店が占める割合は28.3%から30.6%に増加している。
つまり、「パチンコ店もゲームセンターも、顧客の減少を中小店の淘汰で、1店が大型化することで乗り切っている」(同)というのだ。
では、性風俗関連特殊営業はどうか。こちらは2012年の3万133件から2016年の3万1892件に1700件超の増加となっている。しかし、これにも大きな特徴がある。性風俗関連には、店舗型、無店舗型、映像送信型、電話異性紹介と4つのカテゴリーがあるが、増加しているのは、無店舗型、映像送信型だ。
店舗型には、ソープランド、店舗型ファッションヘルス、モーテル・ラブホテル、アダルトショップなどが含まれるが、そのすべてが減少している。一方、無店舗型には派遣型ファッションヘルスとアダルトビデオ等の通信販売があるが、派遣型ファッションヘルスは2012年の1万8119件から2016年の1万9856件に1700件超(9.6%)増加、アダルトビデオ等の通信販売は1138件から1267件に11.3%増加している。
だが、これよりも大きい伸び率で増加しているのは、映像送信型で1879件から2536件に35.0%も増加している。映像送信型とは、インターネットの有料アダルトサイトを指すのだが、これが急速に増加しているわけだ。
しかし、2017年初めに、無修正アダルト動画No.1を掲げる「カリビアンコム」という大手アダルトサイトが無修正の猥褻動画を配信したとして、AV製作会社の社長ら6人がわいせつ電磁的記録等送信頒布の疑いで警視庁に逮捕された。「この件は、アダルトサイト、特に無修正アダルトサイトに強い警戒感を与えた。無修正サイトは、徐々に減少していくだろう」(アダルト雑誌記者)と見られている。
意見を聞いた記者の多くは、少子高齢化や人口減少という要因も挙げながら、「良かれ悪しかれ、風俗に元気がないということは、人間に活力がないということ。景気や賃金の問題があるのだろうが、生活がどんどん質素にこじんまりしていく傾向が強まっているような気がしてならない」と話していた。
風俗営業の定義[編集]
風適法第2条では、次の各号のいずれかに該当する営業を風俗営業と定義して、業務適正化の措置を図っている。
- キヤバレー(キャバレー)、待合、料理店、カフエー(カフェー)その他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業 - クラブなどもこれに該当する。
- 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業として営むものを除く。)
- 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの
- まあじやん屋(雀荘)、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
- スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。) - ゲームセンターなどが該当する。
- 上記のうち1号から3号までが、風適法第2条4項で接待飲食等営業(酒類を提供しつつ異性による接客サービスを提供する店)と定義されている。
- この法律において『接待』とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」を言う(警察庁の解釈基準を含めた詳細については、接待#風俗営業法の定義を参照されたい)。
風俗営業に対する規制[編集]
- 風俗営業を営むには、所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を要する。
- 風俗営業は、午前0時から午前6時までの深夜は営業できない(風適法第13条)。ただし、各都道府県が条例で地域や業種を定めて、午前0時より制限することも、延長することも可能である。(風適法第13条:詳細については、各都道府県の条例を参照されたい)
- 風適法第2節における『深夜酒類提供飲食店営業』であれば午前0時以降の営業も可能であるが、『風俗営業』の営業時間制限逃れに利用されることを防止するため深夜酒類提供飲食店営業との併用は認められていない(風適法第32条2号)。2006年頃から広まりを見せているガールズバーの多くは、上記の『深夜酒類提供飲食店』として営業しているが、風俗営業に近い営業形態のため規制強化の傾向にある。
- 風適法第2条5号に該当する営業(ゲームセンターなど)では、18歳未満の立ち入りや利用が可能であるが、風適法第18条により18歳未満の入場は午後10時迄に規制されている。ただし、都道府県市町村によっては条例により更に早い時間に規制している場合もある。
- メイド喫茶やコスプレ系飲食店は、通常「風俗営業」にはならないが、店の接客形態によっては(行政から指導を受けるなどして)風俗営業許可を取得して営業しているところもある。「風俗営業」となった場合、18歳未満の客の入店はできず、18歳未満の従業員に接客させることもできない。そのため、風適法の適用外の店では、「風俗店では、ございません」等の注意書きや張り紙がなされている場合もある。
- 接待飲食等営業を営む場合は風俗営業の許可を要するが、性的なサービスを伴う場合は風適法第2条の第5項などで定義される性風俗店などの性風俗関連特殊営業となり、営業の許可ではなく所轄する公安委員会に所定の届出書を提出する必要がある。ただし、ピンクサロンやセクキャバは性的サービスがありながら、接待飲食等営業として営業していることが多い。近年はサービスが多角化しその区別が曖昧になっている。