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2017年9月6日 (水) 18:44時点における版
呉 清源(ご せいげん、1914年5月19日 - 2014年11月30日)は、囲碁棋士。日本棋院名誉客員棋士。勲三等旭日中綬章受章。2015年、囲碁殿堂入り。
経歴
中国・福建省に生まれる[1]。5歳から父に四書五経を学び、7歳のとき囲碁を教わる。幼少期から中国の北京碁界で天才棋童と言われる。1928年に 14歳で渡日し、瀬越憲作名誉九段に入門。日本棋院では段位を決めるための試験碁が行われ、篠原正美四段に先で勝ち、本因坊秀哉名人に二子(二三二)で勝ち、村島義勝四段、前田陳爾四段らにも勝ち、1929年に飛付三段の段位を認められた。1930年から大手合に出場し、3年間に29勝3敗という成績を挙げ、18歳で五段に昇段する。1932年の時事碁戦で18人抜きを果たす。1933年に五段に昇段。
時事新報主催で同じ五段で新進棋士として注目を浴びていた木谷実との十番碁を行う(第一次十番碁)。十番碁5局目打ち掛け後の夏、木谷は長野県の地獄谷温泉に呉を誘い、そこで中央重視の布石を研究した。二人の打ち出した布石法は「新布石」として話題になった。1933年、「日本囲碁選手権手合」の決勝で橋本宇太郎に勝って優勝し、10月に本因坊秀哉との記念碁を打つ。1939年から1941年までかけて木谷との打込み十番碁(第二次十番碁)を打つ[2]。6局目まで呉の5勝1敗で先相先に打込み、6勝4敗で終了した。対局場に鎌倉の建長寺、円覚寺、鶴岡八幡宮などを使われたため、「鎌倉十番碁」と呼ばれた。1941年には瓊韻社の雁金準一と十番碁を互先で打ち、5局まで打って呉の4勝1敗で打ち切りとなった。1942年木谷とともに八段に進む。同年、喜多文子・六平太夫妻の媒酌で中原和子と結婚した。
1942年12月に藤沢庫之助六段と十番碁を開始(第一次)。7局目まで4勝3敗と勝ち越すが、藤沢が残りを3連勝し、1944年8月までで4勝6敗となった。戦後は、日本棋院を離脱して読売新聞と特約関係に入り,十番碁で一流棋士をことごとく打ち込んだ。 1946年、戦後の対局として、橋本宇太郎八段との十番碁が行われ、8局目まで6勝2敗で先相先に打込む。1948年には岩本薫本因坊との十番碁で、6局目までで5勝1敗で先相先に打込む。1941年、雁金準一と打込み十番碁を開始し、翌年第5局まで4勝1敗となり、その後は打ち切りとなった。1949年、呉は日本棋院の六、七段の棋士との高段者総当り十番碁で8勝1敗1ジゴの成績を挙げた。 1950年、日本棋院から九段に推挙された。 1952年、台湾の中国囲棋会から招待されて台湾を訪問し、大国手の称号を授与された。 1953年から1954年に坂田栄男八段と十番碁を打ち、8局まで6勝2敗と定先に打込んで終了した。 十番碁で当時のトップ棋士をすべて先相先ないし定先に打ち込み、第一人者として君臨した。 1958年、第1期日本最強決定戦で優勝した。 1984年2月24日に引退。引退式はホテルオークラで行われ、記念の連碁に多数の棋士が参加した。 1988年日本文化界囲碁代表団の名誉顧問として中国を訪問し、大歓迎を受けた。 2014年11月30日 老衰の為、小田原市内の病院で逝去。 2015年、遺族の許可を得て正式に囲碁殿堂入りした[3]。
棋風
- 変幻自在の棋風で神通の呉清源といわれた。
- 抜群の戦績と華やかな芸風で、戦前から戦後にかけて「昭和最強の棋士」といわれた[4]。
人物
映画『呉清源〜極みの棋譜〜』は2006年公開。呉清源の生涯を描いた伝記映画。原作は呉清源の自著『中の精神』[5]
長兄呉浣は満州国官吏となり、終戦直後に台湾に渡り米国で生涯を終えた。次兄呉炎は抗日戦を戦い共産党に入党し教師になるが、政治闘争の嵐に巻き込まれる[6]。
門下生
参考文献
- ↑ 呉 清源>,日本棋院
- ↑ 田中 恒寿「呉清源打込み十番碁と読売新聞」札幌大学総合論叢,Vol.40,pp.27-41,2015
- ↑ 呉清源九段、囲碁殿堂入り,産経新聞,2015-07-29
- ↑ 【甘口辛口】呉清源さんの死去とともに昭和はますます遠くなるサンスポ,2014-12-02
- ↑ 呉清源『中の精神』東京新聞出版局,ISBN:48083075102002
- ↑ 桐山 桂一『呉清源とその兄弟―呉家の百年』,岩波書店,ISBN:4006031904,2009年7月16日
- ↑ 「献石」でお別れ、昭和最強の囲碁棋士・呉清源九段を送る会,産経新聞,2015-04-05