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2015年6月16日 (火) 12:04時点における最新版

文学
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官能小説かんのうしょうせつ)とは、男女間もしくは同性間での交流と性交を主題とした小説の一ジャンル。ポルノ小説とも。

広義にはジュブナイルポルノボーイズラブ小説なども含まれるが、この項ではこれらを除いた成人男性向けに書かれた官能小説(狭義の官能小説)について主に述べる。

概説[編集]

専門のレーベルから出版される事が多いが、これは出版社が世間体を気にしているためである。わざわざ別会社を設立して販売している例もある。

大半が書き下ろしとして文庫新書の形で出版されるが、人気作家になるとスポーツ新聞や男性向け週刊誌小説誌などに連載する場合も多い。もちろん一般の小説と同様に、ウェブサイトに掲載したり携帯電話で配信したりする事もある。

店頭では人目を気にして内容を吟味しにくいためか、タイトルは「美少女」「女教師」「熟女」「未亡人」「お姉さま」など「○○もの」をストレートに表現している事が多い。これは多数の作家が、出版社やジャンルによって筆名を使い分けている(あるいは使い分けさせられている)事にも現れている。

販売方法[編集]

販売場所としては書店のほか、コンビニエンスストアおよび駅の売店などが挙げられる。書店以外では文庫本が主で、かつ一つのテーマ、作家などによる短編集が多く売られる傾向にある。

又、コンテンツの特殊さゆえに消費者が対面販売での購入に抵抗感を持つ事が多いため、多くの専門レーベルでは直販を積極的に推進している。単行本に通販用の注文用紙を挟み込む事はかなり以前から行っており、近年ではオンライン通販も展開している。特に、他ジャンルでは電子出版という言葉すらなく、デジタル著作権管理技術が確立される以前の時代からテキストデータでの販売すら行っていたのは特筆すべき事である。

しかし、電子出版では黎明期から行ってきているためか、紙媒体より高めの価格設定(1.5倍前後)が多く、価格面での心理的抵抗が大きい。

昨今ではレーベルによってはまず携帯電話等への配信で徐々に値段が下がる傾向にあり、以前からのノウハウを生かして「すぐに手に入る」ためだけ、単純に販路を増やすだけの配信方法から、より読者の要望にあわせた電子出版に変わっていく事が期待されている。

表紙の装丁[編集]

単行本の表紙の多くはエアブラシなどを用いた写実的な女性の絵である。芸術的に見て優れた絵も多く、画家にも少数だがファンが付いているほどである(画家達の表紙絵作品だけを集めてJPEGデータ化したCD-ROMアルバムが販売されている)。

装丁は、新書より大きな判で発売される時には、銀や金などの金属光沢のある素材によって飾られる事もある。しかし、この独特の装丁では買いにくいという声や(アダルトビデオのパッケージと同じである)、読者の嗜好の変化などから、主に官能小説専門以外のレーベルにおいて、それよりも少し柔らかな画風の絵が、表紙に用いられる事が増えている。

また、官能小説専門のレーベルでも、一般書店用に従来と同じ装丁のものを発売する一方、煽動的な文言の帯をのぞき、明るめの色を使ったカバーに差し替えたバージョンの本を作成し、コンビニエンスストアや駅売店等で販売するなどということも行っている。

内容[編集]

各話毎に性描写を入れなければならないため話の展開に無理が生じやすく、文学的に見るべき内容がある作品は殆ど無い。

狭義の官能小説では現代社会を舞台とする事が多く、SFやファンタジーを採用する事は少ない。 これは読者に前提知識を要求するような要素を加えると、内容が散慢となり話に集中出来なくなる恐れがあるからだと考えられる。ただし、過去には当局の取り締まりを避けるために「核戦争後の日本」といった荒唐無稽な未来小説や魔女狩りの横行した中世ヨーロッパを舞台にしたSM小説などの作品も書かれていた。 このような状況ながら、中にはあそびごころ的にちらりとSFやファンタジーの芽を見せる作家も存在する。

規制[編集]

性的な主題を扱った他のジャンルと同様に、官能小説にも検閲・規制の問題があり、表現の自由等をめぐって様々な論争があった。中でも

などは有名である(これらが官能小説にあたるかどうかも異論がある)。 しかし、その是非とは別に、摘発や規制がかえって官能小説独特の比喩などの表現方法を発展させたという事実もある。 近年ではアダルトビデオ成人向け漫画など、より刺激の強いメディアが登場した事もあり、小説の性描写が問題になる事はごく稀である。

ジャンル[編集]

一般の小説は読者の趣味・嗜好に合わせた様々なジャンルに分化しているが、官能小説はさらに読者の性的嗜好にも合わせた膨大なジャンルのバリエーションがある。(詳細は性的嗜好を参照)


又、傍流のものとして、

がある。これらは、タイトルのなかにそのまま含まれる事が多い。


又、最近ではライトノベル同人誌の隆盛に伴って、女性向け、少年向けの官能小説(ジュブナイルポルノ)が出版される事も増えている。

1980年代から90年代にかけては、実写系のメディアミックス作品として、アダルトビデオピンク映画の女優をヒロインとしグラビアを挿絵とした官能小説があった。又、(小説の範疇から外れるが)女優が官能小説を朗読するカセット集等も存在した。ただし、これらはキワモノ的な企画である事が多く、イメージのギャップや表現の限界もあって現在はほとんど廃れてしまっている。 とはいえ現在でもインターネット上でこういったコンテンツを配信している企業も存在する。

告白本・実話物[編集]

「告白本」「実話物」と呼ばれる独特のジャンルが存在する。これは、読者より寄せられた告白体験をまとめたと称する書籍である。告白と言われているが実際はほぼすべてがフィクションであり、事実上作家の名前を出さない短編集である。 ほぼすべてがフィクションであるということは、読者側もある程度暗黙の了解として承知している。なぜならば、中には読者からの投稿により作られていると書かれているのに、読者が実際に投稿する宛先がかかれていなかったり、募集していてもあからさまに「フィクションであってもよい」「年齢性別等は自称でよい」といった但し書きがあったりするからである。

ジュブナイルポルノ[編集]

詳細はジュブナイルポルノを参照

ライトノベルのような体裁をした少年向けの官能小説をこう呼ぶ事がある。

ジュブナイルポルノでは、狭義の官能小説ではタブーとされるSF・ファンタジーの要素が小説の中にふんだんに取り込まれている。これは、ジュブナイルポルノが対象としている読者はある程度そのような世界観についての予備知識があると考えられているからである。

ジュブナイルポルノはアダルトゲームアダルトアニメとの関連性が高く、ジュブナイルポルノを原作としたアダルトゲームが作られていた。又、近年ではアダルトゲームのノベライズが多数出版されている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]