トヨタ・キジャンのソースを表示

'''キジャン''' (''Kijang'') は、[[トヨタ自動車]]が[[東南アジア]]、[[インド]]、[[南アフリカ]]等で販売していた[[MPV|多目的車]]である。[[ピックアップトラック|ピックアップ]]も存在する。

「キジャン」はインドネシアにおける車名で、マレーシアでは'''ウンセル''' (''Unser'') 、台湾とベトナムでは'''ゼイス''' (''Zace'') <ref>台湾でゼイスはピックアップトラック仕様を指し、ワゴンは'''ゼイス・サーフ'''の名で販売されていた。</ref>、フィリピンでは'''タマラオ・レボ''' (''Tamaraw Revo''）、インドでは'''クオリス''' (''Qualis''）、南アフリカでは'''コンドル''' (''Condor''）を名乗る。日本にも並行輸入されていた。

== 歴史 ==
===初代（1976年-1981年）===
[[1976年]]12月、[[フィリピン]]で発売（車名はタマラオ）。翌年[[インドネシア]]で発売された。大型[[プレス加工|プレス]]機や[[スポット溶接]]の自動化以前の設計のため、また、アジア各国に存在する悪路や[[過積載]]を考慮した[[シャシ (自動車)|シャシ]]強度とするため、[[モノコック]]構造は採用されておらず、[[フレーム形式 (自動車)|はしごフレーム]]に、[[トヨタ・カローラ|カローラ]]系の足回り、パワー＆ドライブトレインを組み合わせ、その上にほとんど平面で構成された車体を載せている。[[ボンネット (自動車)|エンジンフード]]や[[フロントグリル]]、鉄板むき出しのインパネ、蹴飛ばし式の[[カウル]][[ベンチレーター]]などの[[インダストリアルデザイン|デザイン]]に、当地で[[ノックダウン生産]]され、トヨタ車でもっともポピュラーな存在となっていた[[トヨタ・ランドクルーザー|ランドクルーザー 40系]]の影響が見て取れる。

[[トヨタ・アストラ・モーター]]の完成車としては、[[ピックアップトラック|ピックアップ]]、ワゴン、ワゴンの右リアのドアを無くし、左側を[[扉#折戸|折戸]]にしたミニ[[バス (交通機関)|バス]]、それに[[ボンネット (自動車)|ボンネット]]のみの[[カウル]]シャーシがあるが、そのカウルシャーシに、「[[カロッツェリア|カロセリ]]」と呼ばれる[[コーチビルダー]]が独自設計のボディーを架装したものが非常に多く見られるのも特徴である。これらのスタイルは、純正車体に準じたものから全く異なるものまで、多岐にわたる。また、小規模なカロセリの製品は全国流通ではないものもあり、地方では[[ジャワ島]]や[[バリ島]]で見られない車体が見られる。

搭載エンジンは [[水冷]] [[直列4気筒]] [[OHV]] 1.2Lの[[ガソリンエンジン]]である[[トヨタ・K型エンジン|3K型]]で、T40系4速[[シフトレバーの配置|フロア]][[マニュアルトランスミッション|MT]]が組み合わされている。K系エンジンとT 系[[トランスミッション]]は、初代カローラ以来、2代目以降の[[トヨタ・パブリカ|パブリカ]]、[[トヨタ・スプリンター|スプリンター]]、[[トヨタ・セリカ|セリカ]]/[[トヨタ・カリーナ|カリーナ]]、[[トヨタ・ライトエース|ライトエース]]/[[トヨタ・タウンエース|タウンエース]]など、多くのトヨタ製小型[[二輪駆動|FR]]車に使われてきた、実績のある組み合わせである。[[燃料]]供給はシングル[[キャブレター|キャブ]]であるが、エンジンの[[自動車排出ガス規制|排ガス対策]]が行われていないことや、低めのギア比であることから、10人乗り（ピックアップやミニバスではそれ以上の人数 + 荷物となることも）でも実用になっている。

===2代目（1981年-1986年）===
[[1981年]]登場。[[ボンネット (自動車)|エンジンフード]]がフルワイズ（全幅と同じ）となり、前端と面一となった[[フロントグリル]]に間隔が広げられた[[前照灯|ヘッドランプ]]など、車体は若干ながら近代的なスタイルとなったが、相変わらずの平面構成であるキャビンが逆に見劣りする結果となっている。また、近代化と引き換えに、初代に見られたかわいらしさは影を潜めている。

搭載エンジンは [[トヨタ・K型エンジン|4K 型]] となり、[[排気量]]は1.3Lに拡大された。
{{-}}

===3代目（1986年-1997年）===
[[1986年]]登場。ついに車体部品の全てがプレス品となり、車両の外観が大きく変わっている。

そのアピールのため、車体には「Full Pressed Body」（全プレス車体）の[[デカール]]が張られており、車名も'''スーパー・キジャン'''（''Super Kijang''）と呼ばれるようになった。後に[[いすゞ・パンサー]]が良く似た意匠の外観をまとって登場している。

同時に室内にはトリム（セミトリム）が施され、[[ダッシュボード (自動車)|ダッシュボード]]も[[樹脂]]製となり、つり下げ式の[[冷房|クーラー]]も[[オプション]]設定されるなど、その進化の度合いは飛躍的であり、名実ともに「トヨタ」の看板にふさわしい見栄えと品質を得た。

一方、カロセリ製ボディーも健在で、実用本位のボディー以外にも、スポーティーなローバー（[[ローバー (自動車)|英国のローバー]]とは無関係）や、ラグジュアリー系のジャンタンなどがあり、[[カスタム]]系ボディーの代表的な存在となっている。

搭載エンジンはさらに拡大され、1.5Lの [[トヨタ・K型エンジン|5K]] 型となる。トランスミッションは[[シフトレバーの配置|フロアシフト]]の4速[[マニュアルトランスミッション|MT]]。

[[1992年]]マイナーチェンジ。エンジンが1.8Lの[[トヨタ・K型エンジン|7K型]]となり、初設定の5速MTも追加された。

インドではこの型のキジャンを手直しした現地生産モデルが「クオリス」の車名で[[2000年]]から[[2004年]]まで販売された。

=== 4代目（1997年-2007年） ===
[[1997年]]登場。搭載エンジンは[[直列4気筒]][[OHV]] 1.8Lの[[トヨタ・K型エンジン|7K型]]、[[SOHC]] 2.0Lの[[トヨタ・RZエンジン|1RZ型]]に加え、キジャン史上初となる[[ディーゼルエンジン]]が設定され、SOHCの[[トヨタ・L型エンジン|2L 型]]が加わった。

[[2000年]]マイナーチェンジ。外観を変更した他、ガソリンエンジンを、[[燃料噴射装置|EFI]]の7K-E、1RZ-Eに変更。

[[2004年]]に後継車種の[[トヨタ・イノーバ|キジャン・イノーバ]]に置き換えられた。ピックアップトラックは[[2007年]]まで販売が続けられた。

== 生産拠点 ==
トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア (TMMIN：PT. Toyota Motor Manufacturing Indonesia) とトヨタ・アストラ・モーター (TAM：PT. Toyota－Astra Motor) が生産していた。

== 車名の由来 ==
* キジャン (Kijang) はインドネシア語で「[[シカ|鹿]]」の意。
* タマラオ (Tamaraw) は[[タガログ語]]で「[[ウシ|牛]]」の意。
* インド向けモデル名の「クオリス」は、日本専売モデルの[[トヨタ・マークIIクオリス|マークIIクオリス]]とは関係がない。
* 南アフリカ向けモデル名の「コンドル」は、[[UDトラックス|UDトラックス（旧:日産ディーゼル）]]の中型・小型トラック、「[[UD・コンドル|コンドル]]」とは関係がない。

== 脚注 ==
<references />

== 関連項目 ==
{{commonscat|Toyota Kijang|<br />トヨタ・キジャン}}
* [[トヨタ・デリボーイ]]
* [[トヨタ・イノーバ]]
* [[いすゞ・パンサー]]
* [[スズキ・APV]]
* [[三菱・フリーカ]]

== 外部リンク ==
* [http://www.toyota.astra.co.id/welcome/ トヨタ・アストラ・モーター（インドネシアの販売会社）]

{{デフォルトソート:とよたきしやん}}
[[Category:トヨタの車種|きしやん]]
[[Category:貨物自動車]]
{{Wikipedia/Ja}}
[[en:Toyota Kijang]]